入浴介助加算|研修の記録と区分の選び方
目次
入浴の介助は毎日している。加算も取っている。ところが2024年度から研修の実施が要件に入ったことを知らないまま、算定を続けている事業所があります。
この記事では、入浴介助加算を、区分の違い・研修の記録・毎日の記録の3つに分けて整理します。算定を続けるために必要なものを中心に書きます。
結論:(I)にも要件が増えた
入浴介助加算とは、通所介護などで入浴の介助を行った場合に算定する加算です。区分は2つあります。
入浴介助加算(I)は1日40単位、入浴介助加算(II)は1日55単位です。両方を同時に算定することはできません。
ポイントはここです。2024年度の改定で、(I)の算定要件に入浴介助に関する研修等の実施が加わりました。以前から(I)を取っている事業所ほど、見落としやすい変更です。
(II)は、自宅での入浴を目指す関わりが求められる区分です。要件が重いぶん、単位数も高くなっています。
(I)で必要なもの
(I)で求められるのは、大きく3つです。
1つ目は、人員と設備が整った環境で、安全に入浴の介助を行うことです。
2つ目は、入浴介助に関する研修等を職員に行うことです。
3つ目は、記録を残すことです。
2つ目を今すぐ確かめてください。やっていない場合、算定の要件を満たしていない状態になります。研修は外部のものでも、事業所の中で行うものでも構いません。
内容は、入浴の介助の手順、事故の防止、体調の確認など。1時間の勉強会でも記録に残ります。
研修の記録に残す5つ
研修の記録に残すのは5つです。
1つ目は、実施した日です。
2つ目は、内容です。何を扱ったか。
3つ目は、講師です。外部か、内部の誰か。
4つ目は、参加した職員です。氏名を全員書きます。
5つ目は、参加できなかった人への対応です。
5つ目が抜けます。シフトの都合で全員は集まれません。別の日に短く行う、資料を配って確認の印をもらう。どちらでも構いませんが、記録に残してください。
年に何回という決まりが示されていない場合も、年1回は行う形にしておくと説明しやすくなります。
(II)を取るかどうか
(II)は、利用者が自宅で入浴できるようになることを目指す区分です。
求められるのは3つです。
1つ目は、医師や理学療法士などが自宅の浴室の環境を評価することです。
2つ目は、その評価にもとづいて個別の入浴の計画を作ることです。
3つ目は、その計画にもとづいて入浴の介助を行うことです。
1つ目が壁になります。自宅の浴室を見に行く人と、その時間をどう作るか。訪問の機会があるサービスと連携する形もあります。
単位数の差は1日15単位です。要件を満たす手間と見比べて、取るかどうかを決めてください。無理に上げて要件が崩れるより、(I)を確実に続けるほうが安全な場合があります。
毎日の記録に残す4つ
入浴の記録に残すのは4つです。
1つ目は、実施した日です。
2つ目は、入浴の方法です。一般浴、機械浴、シャワー浴。
3つ目は、介助の内容です。どこを介助したか。
4つ目は、体調です。入浴の前後の状態。
4つ目を必ず書いてください。入浴は、体への負担が大きい行為です。入浴の前に確認した体温や血圧が残っていないと、何かあったときに説明できません。
中止した日も記録します。発熱で中止、本人が希望せず中止。理由を書いておけば、算定しない判断の根拠にもなります。
入浴を断られたとき
入浴を嫌がる方は必ずいます。断られた日の扱いを決めておきます。
やることは4つです。
1つ目は、理由を聞くことです。寒い、恥ずかしい、疲れている、前に嫌なことがあった。
2つ目は、別の形を提案することです。時間を変える、担当を変える、足浴にする。
3つ目は、記録に残すことです。断られた事実と理由。
4つ目は、続くようなら計画を見直すことです。
1つ目でほとんど解決します。「前に湯が熱かった」という理由が出ることがあります。理由を聞かずに毎回誘うだけでは、断られ続けます。
断られた日は算定できません。記録に残しておけば、算定しなかった理由として説明できます。
職員の負担を見る
入浴の介助は、職員の体への負担がいちばん大きい業務です。ここが崩れると、加算どころではなくなります。
見るのは3つです。
1つ目は、1人あたりの介助の件数です。
2つ目は、腰や肩の不調です。
3つ目は、休憩が取れているかです。
1つ目を数えてください。午前中に10人を2人で回している、といった状態が続くと、事故と離職の両方につながります。
機械や道具で減らせる部分があります。移乗の道具、シャワーチェア、脱衣の動線。生産性向上推進体制加算の委員会で、入浴の場面を扱うのもよい方法です。
中止の基準を決めておく
入浴を中止する基準は、事業所として決めておきます。
決めるのは3つです。
1つ目は、数値の線です。体温、血圧。
2つ目は、様子の線です。ふらつき、食欲、傷の状態。
3つ目は、誰が判断するかです。看護職員に確認するか、その場の職員が決めるか。
1つ目を書いた紙を、浴室の入口に貼っている事業所があります。その場で見られる形にしておくと、迷いません。
基準を決めたら、家族にも伝えてください。「今日はお風呂に入れませんでした」と伝えたときに、理由が分かると納得が違います。
順番と時間の組み方
入浴は、順番の組み方で安全も負担も変わります。
考えるのは4つです。
1つ目は、体調の不安がある方を先にすることです。時間が経つほど疲れが出ます。
2つ目は、介助の重い方を分散させることです。続けて入れると職員が持ちません。
3つ目は、待つ時間を短くすることです。脱衣室で長く待つと体が冷えます。
4つ目は、終わったあとの水分です。
3つ目が見落とされます。呼ばれてから入るまでの時間を1度測ってみてください。10分以上待っている方がいれば、順番の組み方を変える価値があります。
4つ目は記録に残してください。入浴の後に水分を取ったかどうかは、体調の変化を追うときの材料になります。
足浴や清拭の扱い
全身の入浴ができない日に、足浴や清拭を行うことがあります。加算の対象になるかは別の判断です。
確かめるのは2つです。
1つ目は、その行為が算定の対象になるかです。指定権者の説明を確かめてください。
2つ目は、記録で区別できるかです。入浴と足浴が同じ欄に書かれていると、後から分けられません。
2つ目を先に直してください。記録の欄に、入浴の方法を選ぶ形にしておけば、迷いません。
職員の配置と安全
入浴の場面は、事故が最も多い場所の1つです。加算の要件とは別に、安全の備えが要ります。
確かめるのは4つです。
1つ目は、1人の職員が同時に何人を見るかです。
2つ目は、呼べる位置に人がいるかです。
3つ目は、床の滑りやすさです。
4つ目は、湯温の確認の手順です。
2つ目がいちばん大事です。転倒したとき、1人では起こせません。声が届く範囲に必ず人がいる配置にしてください。
ひやりとした場面は記録に残します。同じ場所で繰り返し起きていることが見えます。
事故が起きたときの流れ
入浴中の事故は、急ぐ対応が要ります。
流れは4段です。
1つ目は、安全を確保することです。湯から出す、体を保温する。
2つ目は、状態を確かめることです。意識、呼吸、外傷。
3つ目は、連絡することです。看護職員、医師、家族。
4つ目は、記録することです。
4つ目は落ち着いてからで構いません。ただし、時刻だけはその場でメモしてください。何時に何があったかは、後から正確に思い出せません。
記録の書き方は、介護事故報告書の考え方と同じです。
算定をやめる判断
要件を満たさなくなったら、その時点で算定をやめるか区分を下げます。
よくあるのは3つです。
1つ目は、研修を行っていない年があることです。
2つ目は、(II)の計画が作られていない利用者がいることです。
3つ目は、記録が残っていない日があることです。
1つ目に気づいたら、すぐ研修を行ってください。過去にさかのぼることはできませんが、今後の分は守れます。
まとめ
入浴介助加算は、(I)が1日40単位、(II)が1日55単位です。両方は同時に算定できません。
2024年度の改定で、(I)にも入浴介助に関する研修等の実施が要件として加わりました。以前から取っている事業所ほど見落としやすい変更です。
研修の記録には、実施した日、内容、講師、参加した職員、参加できなかった人への対応の5つを残します。5つ目が抜けやすいところです。
毎日の記録では、入浴の前後の体調を必ず書いてください。入浴は体への負担が大きい行為で、何かあったときの説明はここから始まります。中止の基準を決めて、浴室の入口に貼っておくと迷いません。
よくある質問
Q. 入浴介助加算の単位数はいくらですか。 A. (I)が1日40単位、(II)が1日55単位です。両方を同時に算定することはできません。
Q. 2024年度に何が変わりましたか。 A. (I)の算定要件に、入浴介助に関する研修等の実施が加わりました。以前から取っている事業所は確かめてください。
Q. 研修は外部のものでもよいですか。 A. 外部でも、事業所の中で行うものでも構いません。記録を残すことが大事です。
Q. 研修の内容は何がよいですか。 A. 入浴の介助の手順、事故の防止、体調の確認などです。1時間の勉強会でも記録に残ります。
Q. 全員が参加できません。 A. 別の日に短く行うか、資料を配って確認の印をもらってください。参加できなかった人への対応を記録に残します。
Q. 研修は年に何回必要ですか。 A. 回数が示されていない場合も、年1回は行う形にしておくと説明しやすくなります。
Q. (II)は何が違いますか。 A. 自宅で入浴できるようになることを目指す区分です。自宅の浴室の環境の評価と、個別の入浴の計画が要ります。
Q. (II)を取るべきですか。 A. 単位数の差は1日15単位です。要件を満たす手間と見比べて決めてください。無理に上げて要件が崩れるより、(I)を確実に続けるほうが安全な場合があります。
Q. 毎日の記録には何を書きますか。 A. 実施した日、入浴の方法、介助の内容、体調の4つです。入浴の前後の体調を必ず書いてください。
Q. 中止した日も書きますか。 A. 書いてください。理由を残しておけば、算定しない判断の根拠になります。
Q. 中止の基準はどう決めますか。 A. 数値の線、様子の線、誰が判断するかの3つを決めます。紙にして浴室の入口に貼ると、その場で見られます。
Q. 足浴や清拭は算定できますか。 A. 対象になるかは指定権者の説明を確かめてください。記録で区別できる形にしておくことが先です。
Q. 職員の配置はどう考えますか。 A. 1人で何人を見るか、呼べる位置に人がいるか、床、湯温の4つを確かめてください。声が届く範囲に必ず人がいる配置にします。
Q. 入浴中に事故が起きました。 A. 安全の確保、状態の確認、連絡、記録の順です。時刻だけはその場でメモしてください。
Q. 要件を満たしていない期間がありました。 A. その期間は算定できません。気づいた時点で窓口に相談してください。今後の分は守れます。
Q. 家族に中止を伝えるときは。 A. 基準を先に伝えておくと納得が違います。「体温が37度5分を超えたので中止しました」と理由を添えてください。
Q. 機械浴でも算定できますか。 A. 入浴の介助を行っていれば対象になるのが通常です。記録に入浴の方法を書いておいてください。
Q. 入浴の順番はどう組みますか。 A. 体調の不安がある方を先に、介助の重い方を分散させ、待つ時間を短くします。呼ばれてから入るまでの時間を1度測ってみてください。
Q. 入浴の後の水分は記録しますか。 A. 残してください。体調の変化を追うときの材料になります。
Q. 入浴を断られました。 A. 理由を聞いてください。「前に湯が熱かった」といった理由が出ることがあります。理由を聞かずに毎回誘うだけでは断られ続けます。断られた日は算定できないので、記録に残します。
Q. 職員の負担が大きいです。 A. 1人あたりの件数を数えてください。道具で減らせる部分があります。生産性向上推進体制加算の委員会で入浴の場面を扱うのもよい方法です。
Q. 実地指導では何を見られますか。 A. 研修の記録、毎日の記録、(II)の場合は計画と評価です。研修の記録がいちばん新しい確認の対象です。