サービス提供体制強化加算|割合の数え方
目次
介護福祉士は足りているはずなのに、計算してみると割合が届かない。数え方を変えたら届いた。そんなやり取りが毎年起きます。この加算は、要件そのものより数え方でつまずく加算です。
この記事では、サービス提供体制強化加算を、割合の数え方・そろえる書類・届出の時期の3つに分けて整理します。区分の一覧ではなく、自分の事業所で計算して、説明できる形にすることを中心に書きます。
結論:計算の根拠が残っているか
サービス提供体制強化加算とは、介護福祉士の割合や、職員の勤続年数などの体制を評価する加算です。区分は(I)(II)(III)に分かれ、単位数はサービスの種類によって違います。
要件の代表的な形は次のとおりです。
加算(I)は、介護職員の総数のうち介護福祉士が70%以上、または勤続10年以上の介護福祉士が25%以上とされています。
加算(II)は、介護福祉士が50%以上とされています。
ポイントはここです。割合を計算した根拠が残っているかどうか。届出の用紙に数字だけ書いて出し、元の計算が手元に無い事業所が多くあります。実地指導で聞かれるのは、その元の計算です。
区分と単位数はサービスによって違います。自分の事業所の区分は、所轄の指定権者(都道府県または市町村)の資料で確かめてください。
割合は常勤換算で数える
いちばん多い間違いが、人数をそのまま数えてしまうことです。
割合は、常勤換算の数で計算するのが基本の形です。常勤換算とは、その事業所の常勤の職員が働く時間を1として、全員の勤務時間を足したときに何人分になるかという数え方です。
例えば常勤が週40時間の事業所で、週20時間働く職員は0.5人分になります。
短時間の職員が多い事業所ほど、頭数と常勤換算の差が開きます。介護福祉士が常勤中心で、資格の無い職員が短時間中心なら、常勤換算のほうが割合は高く出ます。逆の構成なら低く出ます。
どの職員を分母に入れるかも決まっています。介護職員として数える範囲を間違えると、計算全体がずれます。看護職員や事務の職員を入れるかどうかは、サービスの種類ごとに確かめてください。
勤続年数の数え方
もう1つの落とし穴が、勤続年数の数え方です。
数えるときの基本は3つです。
1つ目は、同じ法人での勤続を通算することです。系列の事業所を異動した場合も、通算できる形になっています。
2つ目は、資格を取った時期とは別だということです。勤続10年以上の介護福祉士という要件は、介護福祉士として10年働いたという意味ではありません。勤続が10年以上あり、かつ介護福祉士である職員、という読み方です。
3つ目は、休職の期間の扱いです。産休や育休の期間をどう数えるかは、確かめてから決めてください。
2つ目は誤解されやすいところです。資格を取ってから10年と読むと、届くはずの事業所が届かない計算になります。
数えた結果は、職員ごとの一覧にしておきます。氏名、資格、入職日、勤続年数、常勤換算の数。この5列があれば、毎年の計算が使い回せます。
実際に計算してみる
言葉だけでは分かりにくいので、数え方の流れを追います。
手順は4段です。
1つ目は、対象の月を決めることです。どの期間の勤務で数えるかを先に決めます。
2つ目は、介護職員を書き出すことです。分母に入る人を全員並べます。
3つ目は、1人ずつ常勤換算の数を出すことです。その月の勤務時間を、常勤の職員の勤務時間で割ります。
4つ目は、介護福祉士の分だけを足すことです。分子になります。
3つ目で時間がかかります。勤務形態一覧表が整っていれば、そこから写すだけで済みます。整っていない事業所は、まずその表を作るところからです。
出た数字は、小数点以下をどう扱うかまで決まっていることがあります。切り上げか切り捨てか。ここも窓口に確かめて、事業所の手順に書いておいてください。
そろえる書類は4つ
計算の根拠としてそろえるのは4つです。
1つ目は、勤務形態一覧表です。誰が、どの時間帯に、何時間働いたか。
2つ目は、資格証の写しです。介護福祉士の登録証など。
3つ目は、入職の日が分かるものです。労働者名簿や雇用契約書。
4つ目は、計算の過程を書いたものです。分母と分子、割り算の結果。
4つ目が、いちばん抜けます。結果の数字だけが届出に書かれていて、どう計算したかが残っていない。計算した用紙をそのまま1枚とじておくだけで済みます。
資格証の写しは、採用のときに必ず取る形にしてください。後から集めるのは手間がかかり、退職した職員の分は取れなくなります。
いつの実績で判断するか
判断に使う期間は決まっています。一般には、前年度の実績、または算定する月の前の数か月の実績で見る形です。
年度の途中で職員が入れ替わると、割合が動きます。毎月計算する必要はありませんが、年に1回は必ず計算してください。
確かめる時期を決めておくのが確実です。
1つ目は、年度が変わるときです。前年度の実績が固まります。
2つ目は、職員が辞めたときです。割合の高い職員が抜けると、区分が変わることがあります。
3つ目は、届出の前です。
2つ目が抜けます。退職の手続きに追われて、加算の計算まで頭が回りません。退職の届けを出す流れに、加算の確認を1行入れておくと気づけます。
届出のあとにやること
届け出て終わりではありません。算定を続ける間、要件を満たしていることを説明できる状態を保ちます。
やることは3つです。
1つ目は、計算の控えを保管することです。届出のたびに1枚ずつ、日付を入れて残します。
2つ目は、職員の入れ替わりを追うことです。入職と退職があった月に、一覧を更新します。
3つ目は、年に1回まとめて見直すことです。年度の初めに、前年度の実績で計算し直します。
2つ目を習慣にできるかどうかで決まります。一覧の更新を後回しにすると、年度末にまとめて作り直すことになります。入職と退職の手続きの中に、一覧の更新を入れてください。
控えは、ほかの加算の届出と同じつづりにまとめておくと探しやすくなります。実地指導では複数の加算をまとめて見られるので、1か所にあるほうが説明が早く終わります。
加算を取ると何が変わるか
この加算は、職員の構成を評価するものです。取れると収入が増えますが、それだけではありません。
変わるのは3つです。
1つ目は、資格を取る動機が生まれることです。事業所として資格の取得を後押しする理由ができます。
2つ目は、勤続年数が見える形になることです。長く勤めている職員の存在が、数字として表れます。
3つ目は、利用者への説明の材料になることです。重要事項説明書で、体制を数字で示せます。
2つ目を職員に伝えてください。自分の勤続が事業所の加算につながっていると分かると、受け止め方が変わります。
逆に、取れない状態が続くのは構成の課題が続いているという合図でもあります。割合が届かない年が2年続いたら、採用と育成の計画を見直す時期です。
要件を満たさなくなったとき
割合が下がって要件を満たさなくなった場合、その時点で区分を下げるか、算定をやめる届出が要ります。
そのまま算定を続けると、返還の対象になります。金額が大きくなりやすいので、ここは早めに動いてください。
流れは3段です。
1つ目は、計算して確かめることです。本当に下がっているか。
2つ目は、届け出ることです。変更の届出を出します。
3つ目は、記録に残すことです。いつ下がって、いつ届け出たか。
気づいた時点で窓口に相談してください。自分で判断して遡って処理すると、かえって複雑になります。
割合を上げる手は3つ
届かない年が続くなら、構成を変えるしかありません。打てる手は3つです。
1つ目は、資格の取得を支援することです。すでにいる職員が介護福祉士になれば、分子が増えます。実務者研修の費用の補助、受験の日のシフトの配慮。
2つ目は、勤務時間の組み方を見直すことです。常勤換算は勤務時間で決まります。資格のある職員の時間を増やすと割合が動きます。
3つ目は、採用の条件を変えることです。資格のある人を採るか、資格を取る前提で採るか。
1つ目がいちばん確実です。採用は相手のある話ですが、いまいる職員の資格取得は自分たちで進められます。誰があと何年で受験できるかを一覧にしておくと、計画が立ちます。
数字あわせのために勤務時間をいじるのは避けてください。実際の勤務と一覧表が合っていないほうが、はるかに重い指摘になります。
まとめ
サービス提供体制強化加算は、割合の数え方でつまずく加算です。加算(I)は介護福祉士70%以上または勤続10年以上の介護福祉士25%以上、加算(II)は介護福祉士50%以上が代表的な形とされています。
割合は常勤換算で数えます。頭数で数えると、短時間の職員が多い事業所ほど大きくずれます。
勤続年数は、資格を取ってからの年数ではありません。勤続が10年以上あり、かつ介護福祉士である職員を数えます。ここを誤解すると、届くはずの区分に届きません。
そろえる書類は4つ。勤務形態一覧表、資格証の写し、入職の日が分かるもの、計算の過程を書いたもの。4つ目がいちばん抜けます。区分・単位数・判断に使う期間は、所轄の指定権者の資料で確かめてください。
よくある質問
Q. サービス提供体制強化加算の単位数はいくらですか。 A. サービスの種類と区分によって違います。自分の事業所の分は、所轄の指定権者の資料で確かめてください。
Q. 割合は人数で数えるのですか。 A. 常勤換算で数えるのが基本です。頭数で数えると割合がずれます。
Q. 常勤換算とは何ですか。 A. 常勤の職員が働く時間を1として、全員の勤務時間が何人分になるかという数え方です。週40時間の事業所で週20時間の職員は0.5人分です。
Q. 分母にはどの職員を入れますか。 A. 介護職員として数える範囲が決まっています。看護職員や事務の職員の扱いはサービスによって違うので、確かめてください。
Q. 勤続10年以上の介護福祉士とは、資格を取って10年ですか。 A. 違います。勤続が10年以上あり、かつ介護福祉士である職員という読み方です。ここを誤解すると計算が変わります。
Q. 系列の事業所から異動してきた職員は。 A. 同じ法人での勤続は通算できる形になっています。異動の記録を残しておいてください。
Q. 育休の期間は勤続年数に入りますか。 A. 扱いを確かめてから決めてください。事業所の判断で決めず、窓口に聞いた内容を記録に残しておくと、次の年も迷いません。
Q. 計算はいつすればよいですか。 A. 年度が変わるとき、職員が辞めたとき、届出の前の3つです。辞めたときの確認が抜けやすいので、退職の手続きに1行入れておいてください。
Q. 計算の根拠は何を残しますか。 A. 勤務形態一覧表、資格証の写し、入職の日が分かるもの、計算の過程を書いたものの4つです。
Q. 資格証の写しが見当たりません。 A. 本人に再発行を依頼する形になります。採用のときに取る手順にしておくと、後から困りません。
Q. 割合が下がってしまいました。 A. 区分を下げるか、算定をやめる届出が要ります。そのまま続けると返還の対象になるので、気づいた時点で窓口に相談してください。
Q. 一時的に下がっただけでも届け出ますか。 A. 判断に使う期間の取り方によって変わります。自分で決めず、窓口に確かめてください。
Q. 新しく開設した事業所はどうなりますか。 A. 前年度の実績が無いので、別の扱いが用意されています。開設のときに窓口で確かめてください。
Q. 職員の一覧はどう作りますか。 A. 氏名、資格、入職日、勤続年数、常勤換算の数の5列で足ります。毎年これを更新すれば、計算が使い回せます。
Q. ほかの加算の計算にも使えますか。 A. 使えます。常勤換算と勤続年数は、ほかの加算や人員基準でも出てきます。1つの表を作って、全部の計算の土台にするのが効率的です。
Q. 資格の取得を支援したいのですが。 A. 実務者研修の費用の補助や、受験の日のシフトの配慮が一般的です。誰があと何年で受験できるかを一覧にしておくと、計画が立てやすくなります。
Q. 割合を上げるために勤務時間を調整してもよいですか。 A. 実際の勤務と一覧表が合っていれば問題ありません。数字を合わせるために実態と違う表を作らないでください。そちらのほうが重い指摘になります。
Q. 加算を取っていることを職員に伝えていますか。 A. 伝えている事業所は多くありません。自分の勤続や資格が加算につながっていると分かると、受け止め方が変わります。年度の初めに一度伝えてください。
Q. 実地指導では何を見られますか。 A. 届出の控えと、計算の根拠です。数字だけでなく、どう計算したかを見られます。
Q. 計算が合っているか自信がありません。 A. 届出の前に窓口へ相談してください。多くの自治体が、計算の確認表を用意しています。