指導計画とは?年・月・週・日がつながる作り方
目次
月案を書き、週案を書き、日誌を書く。どれも期限があるので、それぞれを埋めることが目的になっていきます。3つがつながっていないと、書く量だけが増えて、保育は変わりません。
この記事では、指導計画を、何の計画か・つなげ方・書く時間を短くする方法の3つに分けて整理します。読み終えたときに、自社の書き方を見直せる状態を目指します。
結論:長いものから短いものへ、ねらいが降りてくる
指導計画とは、保育のねらいと内容を、期間ごとに定めた計画のことです。保育所保育指針にもとづいて作成します。
期間で分けると4つになります。年間計画、期(または月)の計画、週の計画、日の計画。
ポイントはここです。下の計画は、上の計画から降りてきます。月案のねらいを週案に割り、週案を日の保育に落とす。ゼロから考えるのは年間計画だけです。
つながっていないと、月案と日誌のねらいが別のものになります。書く側の負担も増え、読む側にも伝わりません。
4つの計画の役割
それぞれの役割を分けて押さえます。
年間計画。1年を通した育ちの見通し。期ごとのねらい。
月の計画。その月のねらいと、活動の内容、環境の構成、配慮。
週の計画。月のねらいを、その週の活動に割る。
日の計画。その日の流れと、配慮すること。日誌と一体になっている園もあります。
個別の計画も別に求められる場合があります。3歳未満児や、配慮が必要な子について、一人ひとりの計画を作る形です。
自社にどれが必要かは、施設の種類と自治体の指導によって変わります。確かめて一覧にしておきます。
つなげ方
つなげるコツは、言葉をそろえることです。3つあります。
1つ目は、ねらいの言葉を変えないことです。月案に「友達と一緒に体を動かすことを楽しむ」と書いたなら、週案でも同じ言葉を使います。
2つ目は、週案に月案のねらいを書く欄を作ることです。毎週書き写すと、自然につながります。
3つ目は、日誌に週案のねらいを書く欄を作ることです。同じ形です。
欄を作るだけで、つながります。書く人が意識しなくても、様式が誘導します。
言い換えると、つながりが切れます。「体を動かす」が「運動遊び」になり、次に「戸外活動」になると、同じことを言っているのか分かりません。
子どもの姿から書く
ねらいを先に立てるのではなく、子どもの姿から考えるのが指針の考え方です。
手順は3段です。
1つ目は、いまの姿を書くことです。何ができるようになったか、何に興味があるか、どこでつまずいているか。
2つ目は、ねらいを立てることです。その姿から、次にどう育ってほしいか。
3つ目は、内容と環境を決めることです。ねらいに向かって、何をするか、どんな場を用意するか。
1つ目が薄いと、ねらいが毎年同じになります。「季節の行事を楽しむ」「友達と仲良く遊ぶ」。どの年のどのクラスにも当てはまる言葉です。
姿を書く材料は、日誌と連絡帳にあります。月末に読み返すと、その月に何が変わったかが見えてきます。
振り返りを次に回す
計画には、振り返りの欄があります。ここが次の計画の出発点になります。
書くのは2つです。
1つ目は、ねらいに対してどうだったかです。届いたか、届かなかったか。子どもの具体的な姿で書きます。
2つ目は、次にどうするかです。続ける、変える、やめる。
振り返りを書いてから、次の計画を書く。この順番にすると、次の計画の「子どもの姿」の欄が自然に埋まります。
逆にすると、つながりません。次の月案を先に書いてしまうと、振り返りが後付けになります。
書く時間を短くする
計画は量が多いので、時間の工夫が要ります。4つあります。
1つ目は、上から写せる形にすることです。月案のねらいを週案に写す。考え直さない。
2つ目は、様式の欄を絞ることです。細かく分かれた様式ほど時間がかかります。
3つ目は、書く時間を確保することです。午睡の時間、ノンコンタクトタイムを作る。
4つ目は、複数の目で作ることです。1人で抱えると時間がかかります。クラスの担任で分担します。
1つ目がいちばん効きます。週案でねらいをゼロから考えていると、時間が倍かかります。
様式を見直すときは、書く人に聞くのがいちばん早く分かります。「この欄は何を書けばよいか分からない」という欄は、たいてい要りません。
個別の計画
3歳未満児や、配慮が必要な子については、個別の計画が求められる場合があります。
書くのは、その子のいまの姿、ねらい、配慮すること、家庭との連携です。
クラスの計画と別に作りますが、切り離しません。クラスのねらいの中で、その子にどう関わるかを書きます。
家庭との連携の欄は、連絡帳や面談の内容とつながります。保護者と共有した内容を書いておくと、次の面談でも使えます。
個別の計画は、月ごとに見直す形が一般的です。見直した記録が、その子の育ちの記録にもなります。
監査や指導で見られるところ
指導計画について確かめられるのは4つです。
1つ目は、作成しているかです。求められている種類がそろっているか。
2つ目は、つながっているかです。年・月・週・日のねらいが対応しているか。
3つ目は、振り返りがあるかです。書きっぱなしになっていないか。
4つ目は、個別の計画があるかです。対象の子について作られているか。
2つ目と3つ目でつまずく園が多くあります。それぞれの計画はあるが、別々に書かれている状態です。
欄を作って写す形にしておけば、自然に対応します。指摘を受けてから直すより、様式を変えるほうが早く済みます。
年度の途中で計画が合わなくなったとき
指導計画は、立てた時点の子どもの姿で作られています。年度の途中で合わなくなるのは自然なことです。
合わなくなる場面は4つあります。
1つ目は、子どもの育ちが早く進んだときです。ねらいがすでに達成されています。
2つ目は、逆に届かないときです。段階を1つ戻します。
3つ目は、新しい子が入ったときです。クラスの雰囲気が変わります。
4つ目は、行事や季節の都合で予定が動いたときです。
4つのどれでも、月の計画から直します。年の計画まで毎回直す必要はありません。年の計画は方向、月と週が実際の動きという役割の分け方をしておくと、直す範囲が決まります。
直したことは、次の月の計画の「前月の姿」に書きます。直した記録が残っていないと、なぜ変えたのかが分からなくなります。
複数担任で計画を共有する
担任が2人以上いるクラスでは、計画を共有できていないことが、いちばんの混乱のもとになります。
共有の形は3つあります。
1つ目は、作るときに一緒に話すことです。1人が書いて回覧する形だと、書いた人の計画になります。15分でよいので、一緒に決める時間を取ります。
2つ目は、週の初めに確かめることです。今週のねらいを口に出して1回確かめます。
3つ目は、掲示することです。保育室の見えるところに、今週のねらいを1枚貼ります。パートや補助の職員にも伝わります。
3つ目が抜けている園が多くあります。計画を知らないまま入る職員がいると、同じ場面で違う関わりになります。子どもが混乱します。
個別の記録とつなげる
指導計画は、クラス全体のものと個別のものがあります。つなげ方を決めておきます。
つなげ方は3つです。
1つ目は、気になる子を先に決めることです。全員分の個別計画を毎月作るのは現実的ではありません。必要な子を決めて、その子は毎月作ります。
2つ目は、日誌から拾うことです。日々の記録に出てくる名前が偏っていたら、その子の計画が要るという合図です。
3つ目は、保護者と共有するかを決めることです。共有すると、家庭での関わりがそろいます。ただし伝え方には配慮が要ります。
個別の計画が必要な範囲は、自治体の指導で違うことがあります。所轄の市町村の保育担当課に確かめてください。
書く時間を勤務の中に確保する
指導計画が形だけになる最大の理由は、書く時間が勤務の中に無いことです。
確保の仕方は3つあります。
1つ目は、午睡の時間を使うことです。ただし午睡中の見守りを減らさないことが前提です。見守りの人数を確保したうえで、交代で書く形にします。
2つ目は、ノンコンタクトタイムを作ることです。子どもから離れる時間を勤務表に組み込みます。
3つ目は、様式を軽くすることです。毎月書き写している部分を印字にする、選択式にする。
3つのうち、いちばん早く効くのは3つ目です。様式を1枚減らすだけで、クラスあたり数時間が戻ります。書く量が減ったぶん、中身に手をかけられます。
まとめ
指導計画は、年・月(期)・週・日の4つで、ねらいが上から降りてきます。ゼロから考えるのは年間計画だけです。
つなげるコツは、言葉をそろえることと、下の計画に上のねらいを書く欄を作ることです。欄があれば、書く人が意識しなくてもつながります。
ねらいは、子どもの姿から立てます。姿が薄いと、ねらいが毎年同じ言葉になります。姿の材料は、日誌と連絡帳にあります。
振り返りを書いてから、次の計画を書きます。この順番にすると、次の「子どもの姿」の欄が自然に埋まります。求められる計画の種類は、所管の自治体に確かめるのが確実です。
よくある質問
Q. 週案は必ず必要ですか。 A. 求められる計画の種類は、施設の種類や自治体の指導によって変わります。月案と日誌で回している園もあります。自社に何が求められるかを、所管の自治体に確かめて一覧にしておきます。
Q. ねらいが毎年同じになります。 A. 子どもの姿を書く欄が薄いことが原因です。その月に何ができるようになったか、何に興味が向いたかを具体的に書くと、ねらいも変わります。日誌と連絡帳を読み返す時間を月末に取ります。
Q. 振り返りに何を書けばよいか分かりません。 A. ねらいに対して、子どもの具体的な姿を書きます。「楽しんでいた」ではなく「砂場に毎日来て、トンネルを掘り続けていた」。そのうえで、次にどうするかを1行足します。
Q. 書く時間が取れません。 A. 上から写せる形にすると、週案の時間が半分になります。様式の欄を絞る、担任で分担する、午睡の時間に書く時間を確保する。この4つで、かなり変わります。
Q. 個別の計画は誰の分を作りますか。 A. 3歳未満児や、配慮が必要な子について求められる形があります。対象は施設の種類や自治体の指導によって変わるため、確かめます。作る対象を一覧にしておくと抜けません。
Q. 行事の計画も指導計画に入りますか。 A. 行事は、ねらいを達成する手段の1つです。行事そのものが目的にならないよう、月案のねらいとのつながりを書いておきます。行事のための練習が中心にならないかを見ます。
Q. 計画と実際の保育が違ってしまいます。 A. 子どもの姿に合わせて変えること自体は自然です。変えた理由と、実際に何をしたかを振り返りに書きます。計画どおりにいかなかったことが、次の計画の材料になります。
Q. 様式はどこで手に入りますか。 A. 自治体や事業者団体が公開しているものがあります。自社の実情に合わせて欄を絞ると使いやすくなります。書く人に「この欄は何を書くか分かるか」を聞いて見直します。
Q. 保存の期間はどれくらいですか。 A. 施設の種類や自治体の基準によります。児童票や日誌とあわせて残している園が多くあります。所管の自治体に確かめます。
Q. 電子で作ってもよいですか。 A. 作れます。上から写す作業が楽になるという利点があります。ただし、様式が複雑なままだと、電子にしても時間は短くなりません。まず欄を絞ってから電子にするほうが効きます。
Q. 指導計画の様式は決まっていますか。 A. 全国共通の様式はありません。自治体が例を示していることがあります。保育所保育指針に沿った内容になっていることが前提です。所轄の市町村の保育担当課に確かめてください。
Q. 日の計画は毎日書かなければなりませんか。 A. 園によって扱いが違います。週の計画に日ごとの欄を設けて、そこに書く形にしている園が多くあります。二重に書く形になっていないかを見直してください。
Q. 振り返りは、どこに書きますか。 A. 計画と同じ紙に書くと、次の月に使えます。別の紙にすると、読まれなくなります。ねらいのすぐ下に振り返りの欄を置く様式が使いやすい形です。
Q. 計画の保存期間は何年ですか。 A. 自治体の指導によって違います。所轄の市町村の保育担当課に確かめてください。要録や児童票の保存年数とは別の扱いになることがあります。
Q. 行事の準備で計画どおりに進みません。 A. 行事を計画に組み込んでおく形にします。行事の準備も保育の一部です。計画の外に置くと、毎年同じ時期に計画が止まります。
Q. 週の計画と日誌は、同じ紙にまとめられますか。 A. まとめている園があります。計画の下に実際の様子を書く形です。ただし計画と記録が見分けられる形にしてください。同じ欄に混ぜると、あとから計画だったのか結果だったのかが分かりません。
Q. 新しく入った職員が計画を書けません。 A. 前年度の同じ月の計画を渡します。写させるためではなく、書き方の見本として渡します。そのうえで、今年のクラスの姿を1つだけ足してもらう形から始めると書けるようになります。
Q. 異年齢の保育をしている場合、計画はどう作りますか。 A. 年齢ごとのねらいを持ちながら、同じ活動の中でどう関わるかを書きます。同じ活動に、年齢ごとの見方を並べる形の様式にすると1枚に収まります。所轄の市町村の保育担当課の指導も確かめてください。
Q. 計画を立てても、そのとおりに進みません。 A. そのとおりに進めることが目的ではありません。子どもの姿に合わせて変えた記録が残っていれば、計画は機能しています。変えた理由を1行書いてください。