園外保育の安全|人数確認を3回入れる形にする
目次
散歩や遠足は、子どもにとって大きな経験になります。同時に、園の外に出ることで危険も増えます。置き去りの事故が報じられるたびに、自園の手順で本当に防げるのかが気になります。
この記事では、園外保育を、計画の立て方・人数の確認・当日の流れの3つに分けて整理します。読み終えたときに、自社の手順を見直せる状態を目指します。
結論:人数の確認を、決められた回数入れる
園外保育とは、散歩、公園への外出、遠足など、園の外で行う保育のことです。
安全のために求められるのは、下見、計画、人数の確認、緊急時の備えの4つです。
ポイントはここです。人数の確認を、決められた場面で決められた回数行うことが、置き去りを防ぐいちばんの形です。
「気づいたときに数える」形だと、忙しい場面で抜けます。出発前、到着時、移動のたび、帰園時。場面を決めておきます。
下見をする
初めて行く場所は、下見をします。見るのは5つです。
1つ目は、経路です。車の通り、信号、歩道の幅、工事の有無。
2つ目は、目的地の状況です。遊具の状態、危険な場所、死角。
3つ目は、トイレです。場所、数、和式か洋式か。
4つ目は、避難できる場所です。急な雨、体調不良のときに入れる場所。
5つ目は、他の利用者です。同じ時間に他の園が来ないか、一般の利用者が多くないか。
4つ目が抜けやすいところです。急な雨や、子どもの体調不良のときに、どこに入れるか。近くの建物、公共施設を確かめておきます。
下見の結果は記録に残します。次の年の担当が読める形にしておくと、毎回下見をしなくても済みます。
計画を立てる
計画に書くのは6つです。
日時と行き先。
参加する子と職員の人数。
経路。行きと帰り。
職員の配置。先頭、中間、最後尾。誰がどこに付くか。
持ち物。救急セット、水分、連絡先の一覧、携帯電話。
緊急時の対応。連絡先、近くの医療機関。
職員の配置がいちばん大事です。先頭と最後尾に必ず職員を置き、真ん中にも配置します。配置を書いておくと、当日に迷いません。
持ち物のうち、連絡先の一覧は忘れやすいものです。携帯電話が使えない場面もあるため、紙でも持ちます。
人数の確認を入れる場面
置き去りを防ぐ中心が、ここです。数える場面を決めます。
1つ目は、出発前です。園を出る前に、参加する子の人数を確かめます。
2つ目は、到着時です。目的地に着いたとき。
3つ目は、遊びの区切りです。移動する前、集まったとき。
4つ目は、出発前(帰り)です。目的地を出る前。
5つ目は、帰園時です。園に着いたとき。
2人で数えるのが確実です。1人が数え、もう1人が別に数える。同じ人が2回数えるより、違う人が1回ずつ数えるほうが間違いに気づけます。
人数だけでなく、名簿で名前を確かめる形も取られています。人数が合っていても、別の子が混ざっていることがあります。
トイレと死角
置き去りが起きやすい場面が2つあります。
1つ目は、トイレです。入った子が出てきたかを確かめます。個室の中まで確かめる手順にしておきます。
2つ目は、遊具の中や裏です。大型の遊具、茂み、建物の裏。死角になる場所を下見で把握しておきます。
トイレに職員が付く形にします。付けない場合は、出入りを見られる位置に立ちます。
帰る前に、死角を見て回る手順を入れておきます。人数が合っていても、確かめる形にしておくと確実です。
バスや車を使う場合
バスや車で移動する場合、降車時の確認が加わります。
1つ目は、降りた人数の確認です。
2つ目は、車内の確認です。座席の下、最後列まで、実際に歩いて見ます。
3つ目は、確認した人の記録です。誰が車内を見たか。
車内の確認は、必ず人が歩いて行います。座席に座ったまま振り返るだけでは、見えない場所があります。
置き去りの事故は、降車後の車内で起きています。確認の手順を紙にして、車内に貼っておく形もあります。
記録に残すこと
実施の記録を残します。書くのは5つです。
日時と行き先。
参加した子と職員の人数。
人数を確認した場面と時刻。
天候と気温。
特記事項。けが、体調の変化、ヒヤリとした場面。
3つ目を書く欄を作っておくと、数える手順が定着します。欄があると、数えないと埋まりません。
ヒヤリとした場面は必ず書きます。「一瞬見失った」「交差点で列が伸びた」。次の計画の材料になります。
保護者への周知と同意
園外保育について、あらかじめ保護者に伝えます。伝えるのは3つです。
1つ目は、日常的に行う散歩についてです。入園のときに、行き先の範囲と体制を伝えます。
2つ目は、遠足など特別な行事についてです。そのつど案内を出します。
3つ目は、緊急時の連絡の方法です。外出中に何かあったときの連絡。
日常の散歩も、行き先を保護者が知っている状態にしておきます。掲示する園もあります。
けがや事故があった場合は、その日のうちに連絡します。軽いものでも伝えておくと、後の行き違いが減ります。
目的地の選び方
園外保育は、行き先を決める段階で安全の大半が決まります。
見るのは4つです。
1つ目は、道のりです。車の通る量、歩道の有無、渡る交差点の数。渡る回数が少ない道を選びます。
2つ目は、目的地の広さと見通しです。死角が多い場所は、人数の確認が難しくなります。
3つ目は、トイレの場所と数です。近くに無い場合は、出発前と到着後の使い方を決めます。
4つ目は、緊急のときに使える場所です。日陰、雨宿り、近くの医療機関。
4つを下見のときに地図に書き込みます。言葉で共有するより、地図に印を付けたものを配るほうが確実に伝わります。
引率の人数と役割
引率は、人数だけでなく役割で決めます。
決めるのは4つです。
1つ目は、先頭と最後尾です。先頭は道を確かめ、最後尾は全体が見えます。
2つ目は、列の途中に入る人です。人数が多いときは、間にも入ります。
3つ目は、記録と連絡の担当です。時刻を記録し、園と連絡を取ります。
4つ目は、けがのときに対応する人です。救急用品を持ちます。
引率の人数の基準は、自治体が示していることがあります。所轄の市町村の保育担当課に確かめてください。基準を満たしていても、役割が決まっていなければ意味がありません。
持ち物を決めておく
園外に出ると、園にあるものが使えません。持ち物を一覧にしておきます。
持つのは5つです。
1つ目は、名簿です。その日の参加者と緊急連絡先。
2つ目は、救急用品です。中身を定期的に確かめます。
3つ目は、連絡の手段です。携帯電話と、園の番号。
4つ目は、水分と着替えです。
5つ目は、その子に必要なものです。薬、エピペンなどの指示があるものは、誰が持つかを名前で決めます。
一覧は袋に貼っておきます。出発前に読み上げて確かめる形にすると、抜けません。
出発前と帰ってからの確認
人数の確認は、決められた場面で、決められた人が行います。
場面は4つです。
1つ目は、出発の前です。
2つ目は、目的地に着いたときです。
3つ目は、目的地を出るときです。ここがいちばん抜けます。
4つ目は、園に戻ったときです。
数えるのは2人です。1人が数え、もう1人が名簿で確かめます。数だけ合っていても、別の子が混ざっていれば気づけません。名前で確かめる形にしてください。
数えた結果は、その場で声に出して共有します。「20人、名簿と一致」。黙って数えると、数えたかどうかが他の人に伝わりません。
記録と次回への申し送り
園外保育の記録は、次に同じ場所へ行く人のために残します。
残すのは4つです。
1つ目は、行き先と経路、かかった時間です。
2つ目は、人数の確認をした時刻です。
3つ目は、気づいた危険です。工事、道の傷み、人の多い時間帯。
4つ目は、次に行くときに変えたいことです。
3つ目と4つ目が、次の下見の手間を減らします。記録が実施の証明だけになっていると、毎年ゼロから下見をすることになります。
交通の決まりを子どもに伝える
園外保育は、子ども自身が身につける機会でもあります。伝え方を決めておきます。
伝えるのは3つです。
1つ目は、出発の前に短く伝えることです。長い話は覚えられません。3つまでにします。
2つ目は、その場で伝えることです。渡る前に「右を見て、左を見て」。実際の場面で言うと残ります。
3つ目は、帰ってから振り返ることです。できたことを言葉にします。
伝える内容は毎回同じにします。変えると覚えられません。同じ言葉を繰り返すことが、身につく近道です。
まとめ
園外保育で求められるのは、下見、計画、人数の確認、緊急時の備えの4つです。
中心は人数の確認です。出発前、到着時、遊びの区切り、帰りの出発前、帰園時。5つの場面で数えます。2人で数えると確実です。
置き去りが起きやすいのは、トイレと死角です。トイレは個室の中まで、死角は帰る前に見て回ります。
バスや車を使う場合は、降車後に人が歩いて車内を確認します。座ったまま振り返るだけでは見えません。記録には、人数を確認した場面と時刻を書く欄を作ります。
よくある質問
Q. 毎回下見が必要ですか。 A. 初めて行く場所は行います。よく行く場所も、年に1回は確かめます。工事や遊具の変更があることがあります。下見の記録を残しておけば、毎回でなくても済みます。
Q. 職員の人数はどれくらい必要ですか。 A. 年齢と人数、行き先によって変わります。先頭と最後尾に必ず置き、真ん中にも配置します。自治体が基準を示している場合があるので、確かめます。足りない場合は、行き先や人数を見直します。
Q. 人数の確認は、何人で行いますか。 A. 2人で別々に数えるのが確実です。1人が2回数えるより、間違いに気づけます。人数だけでなく、名簿で名前を確かめる形も取られています。
Q. 散歩のたびに記録が要りますか。 A. 日常的な散歩も記録に残しておくと、事故のときに状況を示せます。簡単な様式にして、時刻と人数の確認だけでも書ける形にすると続きます。
Q. トイレはどう対応しますか。 A. 職員が付きます。付けない場合は、出入りを見られる位置に立ちます。個室の中まで確かめてから離れます。人数が合っていても、確かめる手順にしておきます。
Q. バスの車内確認は、誰が行いますか。 A. 降車後に、職員が歩いて確かめます。誰が確認したかを記録に残します。座席の下や最後列まで見ます。確認の手順を紙にして車内に貼っておく形もあります。
Q. 急な雨のときはどうしますか。 A. 下見のときに、避難できる場所を確かめておきます。近くの建物や公共施設。園に連絡する手順も決めておきます。判断する人を先に決めておくと、その場で迷いません。
Q. 子どもが体調を崩した場合は。 A. 連絡先の一覧を持っていれば、園と保護者に連絡できます。休める場所も下見で確かめておきます。1人が付き添い、他の職員で残りの子を見る体制を、あらかじめ決めておきます。
Q. 他の園と同じ公園になった場合は。 A. 自分の園の子が分かるよう、目印を決めている園があります。帽子の色など。人数の確認をより丁寧に行います。下見のときに、混み合う時間帯を確かめておくと避けられます。
Q. ヒヤリとした場面は、どこに書きますか。 A. 園外保育の記録の特記事項に書き、ヒヤリハットの記録にも残します。次の計画を立てるときに読み返すと、経路や配置を変える材料になります。
Q. 園外保育の計画書は、どこまで書きますか。 A. 行き先、経路、時間、引率者と役割、持ち物、緊急時の連絡先。この6つで足ります。自治体が様式を示していることがあるので、所轄の市町村の保育担当課に確かめてください。
Q. 保護者の同意はどう取りますか。 A. 年度の初めにまとめて取る形と、行事ごとに取る形があります。行き先が普段と違う場合は、その都度知らせてください。知らせた記録を残しておきます。
Q. 雨天のときの判断は誰がしますか。 A. 決める人と時刻を先に決めておきます。「当日の朝8時に園長が決める」という形です。決めたあとの連絡の順番も一緒に決めます。
Q. 途中で子どもが歩けなくなったらどうしますか。 A. 引率の役割の中に、対応する人を含めておきます。園に連絡して車を出す形を取る園もあります。その場で相談し始めないよう、手順を先に決めておいてください。
Q. 他の園と同じ場所で一緒になった場合は。 A. 場所を分けるか、時間をずらします。子どもが混ざると、人数の確認が難しくなります。目印になるものを身につけていると、見分けがつきます。
Q. 園外保育の記録は何年残しますか。 A. 自治体の指導によって違います。所轄の市町村の保育担当課に確かめてください。けがや事故があった回の記録は、事故の記録としてより長く残る扱いになることがあります。
Q. 少人数で近くの公園に行く場合も、計画書は要りますか。 A. 簡単な形で構いませんが、残しておいてください。行き先と時間、引率者、参加した子。近いから省くという運用が、いちばん事故のもとになります。
Q. バスを使う場合、降りたあとの確認はどうしますか。 A. 車内に残っている子がいないかを、降車のあとに座席を1つずつ見て確かめます。人数を数えるだけでは足りません。確かめた人の名前を記録に残してください。
Q. 引率の人数が足りない日は、中止しますか。 A. 中止するか、行き先を近い場所に変えます。人数の基準を下回ったまま出ないことです。基準は自治体が示していることがあるので、所轄の市町村の保育担当課に確かめてください。