連絡帳の書き方|保育日誌との違いと1日の1行
目次
連絡帳は毎日書きます。人数分を、限られた時間で。だからこそ、何を書けばよいか決まっていないと、毎回ゼロから考えることになります。「元気に過ごしました」が並ぶ理由は、ここにあります。
この記事では、連絡帳を、保育日誌との違い・書く中身・時間を短くする工夫の3つに分けて整理します。読み終えたときに、自社の書き方を決められる状態を目指します。
結論:読む人が違う。だから書く中身も違う
連絡帳とは、園と保護者が、その子の様子をやり取りするための記録のことです。
法令で作成が義務づけられた書類ではありません。それでも書くのは、家庭と園で、その子の1日がつながるためです。
ポイントはここです。保育日誌は職員と検査が読むもの、連絡帳は保護者が読むものです。読む人が違うので、書く中身も違います。
日誌の文章をそのまま連絡帳に写すと、クラス全体の話になり、その子のことが書かれていない状態になります。
書く中身
連絡帳に書くのは4つです。
1つ目は、その子の1場面です。クラス全体ではなく、その子が何をしていたか。
2つ目は、食事・睡眠・排泄です。家庭での続きにつながる情報。
3つ目は、体調です。気になったこと。
4つ目は、家庭からの記載への返しです。保護者が書いてきたことに触れます。
1つ目がいちばん大事で、いちばん時間がかかります。「みんなで砂場遊びをしました」ではなく、「砂場でトンネルを掘り、崩れても何度も掘り直していました」。
4つ目が抜けやすいところです。保護者が「昨夜あまり眠れませんでした」と書いてきたのに、それに触れていないと、読まれていない感じが残ります。
1場面をどう見つけるか
毎日1場面を書くには、見つける工夫が要ります。3つあります。
1つ目は、その場でメモすることです。ポケットに小さな紙を入れておき、気づいたときに一言書きます。
2つ目は、担当を決めることです。その日、誰がどの子を見るかを決めておくと、全員の場面が拾えます。
3つ目は、写真を手がかりにすることです。撮った写真を見返すと、場面を思い出せます。
1つ目がいちばん効きます。夕方に思い出そうとすると出てきませんが、その場で一言書いておけば、そこから広げられます。
毎日違う場面である必要はありません。同じ遊びを続けている子なら、「今日は昨日より高く積めた」と変化を書きます。
時間を短くする
人数分を毎日書くので、1人あたりの時間が効いてきます。短くする工夫が4つあります。
1つ目は、定型の欄を作ることです。食事の量、睡眠の時間、排泄の回数は、数字や丸で記入できる形にします。
2つ目は、自由記述を1場面に絞ることです。あれもこれも書こうとすると長くなります。
3つ目は、書く時間を確保することです。午睡の時間に書ける形にします。
4つ目は、連続して書かないことです。気づいたときに1人分ずつ書くほうが、まとめて20人分より早く終わります。
1つ目で半分になります。文章で「給食はよく食べました」と書くより、「主食:全量/副食:8割」と欄にするほうが、書くのも読むのも早くなります。
気になることの伝え方
体調や発達で気になることを、連絡帳でどう伝えるかは難しいところです。3つの原則があります。
1つ目は、事実を書くことです。「落ち着きがない」ではなく「製作の時間に3回席を離れました」。
2つ目は、園での対応も書くことです。気づいたことだけを伝えると、保護者は不安になります。「声をかけると戻ってきました」まで書きます。
3つ目は、重い内容は口頭で伝えることです。連絡帳は残るものなので、受け止め方が難しい内容は、直接話す場を作ります。
3つ目が要点です。発達の心配や、けがの状況などは、連絡帳だけで伝えると誤解が生まれます。書くのは事実、詳しい話は口頭という使い分けにします。
保護者からの記載への対応
保護者が書いてきたことへの対応も決めておきます。
読んだことが分かる形にします。触れるだけでもかまいません。「昨夜眠れなかったとのこと、園では午睡をいつもより長めに取りました」。
相談が書かれていた場合は、口頭でも話します。連絡帳だけで返すと、短い返事になりがちです。
クレームに近い内容の場合は、管理者に伝えます。担任1人で抱えず、園として対応します。
書かれていることに触れていない返事が、いちばん不信を生みます。長く書く必要はなく、1行触れるだけで伝わります。
電子の連絡帳
アプリで連絡帳をやり取りする園が増えています。紙と違う点が3つあります。
1つ目は、記録が残りやすいことです。検索でき、過去を見返せます。
2つ目は、受け取る時間が変わることです。保護者が仕事中に見ることがあります。
3つ目は、写真を添えやすいことです。
便利になる一方、書く量が増えやすいという面もあります。定型の欄を作る工夫は、電子でも同じように要ります。
個人情報の扱いも決めておきます。写真の同意、退園後のデータの扱い。サービスを変えるときにデータをどうするかも確かめておきます。
保存と扱い
連絡帳は、法令で保存の期間が定められた書類ではありません。それでも、扱いを決めておきます。
紙の場合は、その子のものなので、卒園時や退園時に返すのが一般的です。園に残す場合は、同意を得ます。
電子の場合は、データの保存期間と、退園後の扱いを決めます。
園として残したいことは、児童票や保育日誌に書きます。連絡帳は保護者のものという前提で考えると、扱いがはっきりします。
けがや事故に関わることは、連絡帳だけでなく、事故の記録にも残します。連絡帳が手元を離れると、園に記録が残りません。
書く人と読む人の時間帯が違う
連絡帳がうまくいかない理由の多くは、書く人と読む人の時間帯が合っていないことにあります。
ずれるのは3か所です。
1つ目は、書く時間です。保育者は午睡の時間か夕方に書きます。その時点では、夕方の様子はまだ分かりません。
2つ目は、読む時間です。保護者は夜に読みます。聞きたいことがあっても、その場で聞けません。
3つ目は、返事の時間です。保護者が書いた内容を保育者が読むのは、翌朝の受け入れのときです。急ぎの内容だと間に合いません。
急ぎの内容は連絡帳に書かない、という決めごとが要ります。熱、けが、お迎えの変更。電話か口頭で伝えるものを一覧にして、年度の初めに保護者へ配ります。
書きにくい内容を書くとき
かみつき、けんか、けが。書きにくい内容ほど、書き方で結果が変わります。
書き方は4つです。
1つ目は、事実を先に書くことです。いつ、どこで、何があったか。
2つ目は、園がどう対応したかを書くことです。冷やした、様子を見た、看護師が見た。
3つ目は、今の状態を書くことです。帰るときにどうだったか。
4つ目は、これからどうするかを書くことです。見守りを増やす、環境を変える。
相手の子の名前は書かない扱いが一般的です。園の方針を決めて、年度の初めに伝えておきます。けがについては、連絡帳だけで済ませないほうが安全です。口頭でも伝え、園の記録にも別に残します。
書く量をそろえる
連絡帳は、書く人によって量が違うことが保護者の不満につながります。
そろえる工夫は3つあります。
1つ目は、行数の目安を決めることです。「3行から5行」と決めておきます。長く書ける人に合わせません。
2つ目は、型を決めることです。場面を1つ、その子の言葉か動き、保育者が感じたこと。この3つで1つの文章になります。
3つ目は、クラスで回し読みすることです。月に1回、他の人の書いたものを読む時間を作ります。言葉づかいと温度がそろいます。
量より、その子のことが書いてあるかどうかです。行事の説明や天気の話で埋まっていると、長くても読み手には残りません。
電子にするときに決めること
連絡帳を電子にする園が増えています。切り替える前に決めることがあります。
決めるのは4つです。
1つ目は、紙を選べるようにするかです。端末を持たない保護者がいます。
2つ目は、見られる時間帯です。夜間の通知をどうするか。保育者の勤務時間外に届くと、返信の期待が生まれます。
3つ目は、写真の扱いです。他の子が写り込む場合の扱いを決めます。
4つ目は、退園したあとのデータです。いつまで見られるか、いつ消すか。
4つを保護者に配る書面に書いておきます。始めてから決めると、途中で運用が変わることになります。変わると、不信につながります。
まとめ
連絡帳は、園と保護者がその子の様子をやり取りする記録です。保育日誌は職員と検査が読むもの、連絡帳は保護者が読むもの。読む人が違うので、中身も違います。
書くのは4つ。その子の1場面、食事・睡眠・排泄、体調、家庭からの記載への返し。1つ目がいちばん大事で、4つ目が抜けやすいところです。
1場面を見つけるには、その場でメモするのがいちばん効きます。夕方に思い出そうとしても出てきません。
時間を短くするには、定型の欄を作ることです。食事や睡眠を数字や丸にするだけで、半分になります。重い内容は、連絡帳ではなく口頭で伝えます。
よくある質問
Q. 毎日書く必要がありますか。 A. 法令の義務ではないため、園の方針で決められます。0歳児は毎日、幼児クラスは週に何回といった形にしている園もあります。方針を保護者に伝えておくと、行き違いが減ります。
Q. 「元気に過ごしました」ではだめですか。 A. だめではありませんが、毎日それだけだと、読む側は何も分かりません。その子が何をしていたかを1つ書くだけで、まったく違うものになります。長く書く必要はありません。
Q. 書く時間が取れません。 A. 定型の欄を作ると半分になります。午睡の時間に書ける形にする、その場でメモしておく。まとめて20人分を書くより、気づいたときに1人分ずつ書くほうが早く終わります。
Q. けがのことは連絡帳に書きますか。 A. 事実は書きますが、詳しい状況は口頭で伝えます。連絡帳だけだと誤解が生まれることがあります。あわせて、園の事故の記録にも残します。連絡帳は手元を離れるため、園に記録が残りません。
Q. 保護者からの相談には、どう返しますか。 A. 連絡帳では触れるだけにして、詳しくは口頭で話す時間を作ります。短い返事だと、軽く扱われたように感じられることがあります。内容によっては、管理者に伝えて園として対応します。
Q. 発達の心配は、連絡帳で伝えてよいですか。 A. 連絡帳だけで伝えるのは避けます。受け止め方が難しい内容なので、面談の場を作ります。連絡帳には事実を書き、話したい旨を伝える形が取られています。
Q. 電子の連絡帳に変えたほうがよいですか。 A. 検索できる、写真を添えられるといった利点があります。一方で、書く量が増えやすくなります。定型の欄を作る工夫は、紙でも電子でも同じように要ります。データの扱いも決めておきます。
Q. 写真を載せてもよいですか。 A. 同意を得てから使います。他の子が写り込む場合の扱いも決めておきます。使い道ごとに同意を取り、同意の記録を残します。
Q. 連絡帳は園で保管しますか。 A. 紙の場合、その子のものとして卒園時や退園時に返す園が一般的です。園として残したいことは、児童票や保育日誌に書きます。残す場合は同意を得ます。
Q. 担任が休んだ日は、誰が書きますか。 A. その日に見ていた職員が書きます。担任でないと書けない形にすると、休んだ日に空白ができます。誰が書いても書ける形(定型の欄+1場面)にしておくと回ります。
Q. 連絡帳は何歳児まで書きますか。 A. 0歳から2歳までは毎日、3歳以上は必要に応じてという形が多く使われています。園の方針として決めて、年度の初めに伝えてください。途中で変えると、理由を聞かれます。
Q. 保護者が何も書いてくれません。 A. 書くことを求めない形にしても構いません。園から伝える一方向の連絡帳もあります。書いてもらいたい項目を3つに絞ると、書かれるようになります。項目が多いほど、書かれなくなります。
Q. 連絡帳は園で保存しますか。 A. 使い終わった連絡帳は保護者に返す園が多くあります。ただしけがや事故に関する記載は、園の記録として別に残しておいてください。返したあとに内容を確かめられなくなります。
Q. 保護者から園への不満が書かれていました。 A. その場で返事を書く前に、クラスの担任と主任、園長で共有します。連絡帳の中だけで解決しようとしないことです。面談の場を作るほうが、早く収まります。
Q. 誤字や書き直しはどうしますか。 A. 二重線を引いて直します。修正テープで消して書き直すと、何を直したのか分かりません。連絡帳は保護者と園の両方が読む記録なので、直した跡が見える形にしておきます。
Q. お迎えの人が毎日違います。連絡帳で伝えて大丈夫ですか。 A. お迎えの変更は連絡帳では伝えません。当日の人員に関わるので、電話か口頭で受けます。受けた内容は、その日の記録に時刻と受けた人の名前とともに残してください。
Q. きょうだいがいる場合、連絡帳は1冊にできますか。 A. 分けます。クラスが違えば書く人も違い、記録の保存の扱いも変わります。1冊にすると、上の子の記録を下の子の担任が読むことになります。
Q. 連絡帳に書いた内容が、あとで事故の記録と食い違いました。 A. 食い違ったまま放置しないことです。園の記録を確かめたうえで、保護者に訂正と経緯を伝えます。連絡帳は保護者の手元に残るので、園の記録と同じ事実が書かれている必要があります。
Q. 写真を貼ってもよいですか。 A. 他の子が写っていないかを確かめてから貼ります。貼る運用にするなら、年度の初めに保護者へ扱いを説明してください。あとから方針を変えると、既に配ったものの扱いに困ります。