保育日誌の書き方|ねらいと子どもの姿を残す
目次
保育日誌は、書く時間が取れないことでいちばん悩まれている書類です。子どもが帰ってから書き始めると、そこから片付けと会議が続く。結局持ち帰る、という話をよく聞きます。
この記事では、保育日誌に何を書くのか、「ねらい」と「子どもの姿」をどう書き分けるのか、そして勤務時間内に書き終える形にどう整えるのかを整理します。
結論:保育日誌は「ねらい」「子どもの姿」「振り返り」の3つ
保育日誌とは、その日の保育の内容と子どもの様子を記録したもののことです。
日誌の様式は園によって違いますが、柱は共通しています。書くのは3つです。ねらい(その日に何をねらったか)、子どもの姿(実際にどうだったか)、振り返り(次にどうするか)。この3つがつながっていることが、日誌の形になります。
ポイントはここです。3つはバラバラに書くものではありません。ねらいに対して子どもがどうだったかを書き、そこから次の手を考える。1本の流れとして書くと、短くても中身のあるものになります。
逆に、3つが独立していると、「ねらい:友だちと関わる」「子どもの姿:元気に遊んだ」「振り返り:明日も楽しく」のような、どの日にも当てはまる文になります。
ねらいは月案・週案から持ってくる
ねらいを毎日ゼロから考えていると、時間がかかります。月案と週案から降ろしてくるのが本来の形です。
月の指導計画にねらいがあり、それを週に割り、さらに日に落とす。日誌のねらいは、週案のねらいをその日の活動に当てはめたものになります。
週案が無い、あるいは形だけになっている園では、まずそちらを整えるほうが先になります。
こうしておくと、日誌を書くときにねらいを考える必要がありません。週案を見て写すだけです。書く時間が短くなるうえ、計画と記録がつながります。
指導検査では、このつながりが見られます。逆に言えば、週案がしっかりしていれば日誌は短くて構いません。日誌だけを厚くしても、計画とつながっていなければ評価されません。日誌のねらいが週案と関係ない内容になっていると、計画に沿った保育が行われているかを確かめられません。
子どもの姿は「具体的な1場面」で書く
いちばん差が出るところです。クラス全体をまとめて書こうとすると、抽象的になります。
クラス全体を書こうとすると、かえって何も伝わりません。
書き方のこつは、具体的な場面を1つか2つ選ぶことです。「みんな楽しそうだった」ではなく、「◯◯ちゃんが積み木を高く積み、崩れると『もう1回』と言って何度も作り直していた」。
全員について書く必要はありません。その日のねらいに関わる場面が見えた子を、数人選んで書きます。日を変えれば別の子が書かれるので、1か月で見れば全員が出てきます。
1日に3人書けば、20人のクラスでも1か月で全員が2回は出てきます。
その日いちばん心が動いた場面を選ぶ、という決め方でも構いません。印象に残った場面には、たいてい書く価値があります。
書く子が偏らないよう、名前の一覧にチェックを付ける運用にしている園もあります。今週まだ書いていない子が分かる形にしておくと、気になる子ばかりになりません。
場面を選ぶときは、ねらいに関係するものを優先します。関係しない場面でも、印象的なら書いて構いません。
子どもの言葉はそのまま書きます。「楽しそうだった」より「『もう1回』と言った」のほうが、その子の姿が伝わります。
振り返りは「次の一手」まで書く
振り返りが「よかった」「明日も続けたい」で終わっていると、次につながりません。
書きたいのは2つです。ねらいに対してどうだったか(届いたか、届かなかったか)、次に何を変えるか(環境、声かけ、時間の取り方)。
書き方の例を挙げます。
> ねらいの「順番を待つ」は、滑り台では自然にできていたが、ブランコでは待ちきれない姿が見られた。明日は待つ場所に印を置いてみる。
振り返りを書くときは、その日の出来事よりねらいに戻るのがこつです。ねらいから始めれば、自然に次の手が出てきます。
「明日は◯◯してみる」まで書くと、翌日の計画がそのまま出てきます。日誌を書く時間が、翌日の準備の時間にもなります。
振り返りは、1行で足ります。長く書くより、次の行動が1つ書いてあるほうが価値があります。
うまくいかなかったことも書きます。できなかったことを書くのが評価に響くと感じると、日誌は当たり障りのない文章になります。園として、そうならない前提を共有しておきます。
書いてはいけない書き方
あとで問題になる書き方があります。3つ挙げます。
1つ目が、子どもを評価する言葉です。「落ち着きがない」「わがまま」「乱暴」。これは子どもの姿ではなく、書いた人の評価です。行動で書きます。「順番を待つ場面で、前に並んでいた子を押して前に出た」。
2つ目が、他の子の氏名を書くことです。トラブルの場面で相手の名前を書くと、開示を求められたときに別の子の個人情報になります。「同じクラスの子」と書きます。
3つ目が、保護者や家庭への評価です。「家庭でのしつけが」「保護者の対応が」。日誌は園の記録なので、家庭を評価する場所ではありません。事実として必要なら、「朝、保護者から『昨夜は遅くまで起きていた』とのお話があった」と、聞いたことを書きます。
子どもの姿は、良いところも困っているところも書いて構いません。評価にせず、行動で書くという一点だけを守ります。
言葉づかいは、保護者や自治体が読む可能性がある前提で選びます。園の中だけで通じる言い回しは避けます。
訂正の仕方も決めておきます。電子の場合は、修正の履歴が残る仕組みにしておきます。書き間違いを塗りつぶすと、何を消したか分かりません。二重線を引いて訂正します。
勤務時間内に書き終える
いちばん切実な部分です。時間を作る工夫を4つ挙げます。
手が空くのを待っていると、書く時間は来ません。
1つ目が、その場でメモを取ること。全部を文にせず、場面と言葉だけを書き留めます。「積み木/もう1回/◯◯ちゃん」。あとで文にするのは数分で済みます。
2つ目が、ねらいを週案から写すこと。前に書いたとおりです。考える時間が丸ごと消えます。
3つ目が、書く欄の大きさを実際に書ける量にすること。半ページ空いていると、埋めなければと感じます。4行から5行に収まる欄にしておけば、そのぶんの時間で済みます。
4つ目が、午睡の時間を書く時間に充てること。ただし午睡チェックの担当と兼ねないようにします。書類に集中すると、チェックが飛びます。
持ち帰って書くのが常態になっているなら、それは様式か体制の問題です。個人の工夫で解決する話ではないので、園として見直す議題にします。
クラスごとの違い
年齢によって、書ける内容も書くべき内容も変わります。同じ様式でも、重心が違います。
0歳児は、生活のリズムが中心になります。睡眠、授乳やミルクの量、排泄、機嫌。個人差が大きいので、1人ずつの記録が厚くなります。クラス全体のねらいより、その子の状態のほうが情報量が多くなります。
1〜2歳児は、できるようになったことが日々変わります。「初めて」の場面を拾うと、記録として価値が出ます。自分でスプーンを持った、靴を履こうとした。
3歳以上になると、友だちとの関わりが中心になります。ここからは場面を切り取る書き方が効いてきます。誰と誰が何をしていて、どんなやり取りがあったか。
年齢が上がるほど、クラスとしてのねらいに沿った記録が書きやすくなります。逆に0歳児クラスでは、ねらいが「安心して過ごす」のように大きくなりがちなので、その子ごとの姿で具体化します。
様式を年齢で分けている園もあります。0歳児クラスだけ個人記録の欄を大きくする、といった形です。同じ様式を全クラスに当てると、どこかが書きにくくなります。
連絡帳との書き分け
保育日誌と連絡帳は、読む人が違います。書き分けを決めておくと、二度手間になりません。
日誌は園の記録です。計画との対応、クラス全体の動き、次の一手。読むのは同僚と、指導検査です。連絡帳は保護者への報告です。その子の様子、体調、家庭に伝えたいこと。
保護者に伝えたいことと、園として残したいことは、重なる部分もあれば違う部分もあります。
同じ場面を両方に書くのは構いません。ただし、書き方は変えます。日誌には「ねらいに対してどうだったか」、連絡帳には「その子が今日どんな顔をしていたか」。
連絡帳のほうが量が多くなる園もあります。1人ずつ書くので、人数ぶんの時間がかかります。日誌を短くして、連絡帳に時間を回すという配分も、園の考え方として成り立ちます。
書き方をそろえる
複数の担任がいる園では、人によって書き方が違うと読みにくくなります。そろえる工夫を3つ挙げます。
1つ目が、見本を1枚用意すること。よく書けた日誌を、名前を伏せて見本にします。説明を10分するより、埋まった1枚を見せるほうが早く伝わります。
複数の目で同じ子を見ることにもなり、担任以外が気づいた場面が拾えます。
2つ目が、書き出しの型を決めること。子どもの姿は「◯◯ちゃんが〜」から始める、振り返りは「ねらいの◯◯は〜」から始める。型があると、迷う時間が減ります。
3つ目が、読み合う場を作ること。月に1度、他のクラスの日誌を読む時間を取ります。書き方の違いに気づけますし、他のクラスの取り組みも知れます。
新しく入った職員には、最初の1か月は一緒に書きます。書いたものに赤を入れるのではなく、隣で一緒に考えるほうが身につきます。「この場面、どう書く?」と聞くところから始めます。
そろえるのは書き方であって、内容を型にはめることではありません。その人が見た場面が書かれていることが大事なので、表現の個性は残して構いません。
保存と見返し
日誌は、書いたあとに読まれる場面があります。
月末の振り返りでは、1か月ぶんを並べて、ねらいが達成できたかを見ます。次の月案を立てる材料になります。指導検査では、計画と日誌の対応が見られます。
保存の年数は、自治体によって運用が異なります。所在地の自治体の保育担当課に確かめて、社内の基準として決めておきます。
月末の振り返りは、担任だけでやらずに他のクラスの職員も入ると、気づきが増えます。同じ子でも、見ている場面が違います。
綴じ方は、クラスごと・月ごとが基本です。年度をまたぐと担任が変わるので、年度末に1年ぶんをまとめるところまでやっておくと、翌年度の担任が引き継げます。
電子化を考えるとき
手書きの負担が大きいので、電子化を検討する園が増えています。判断の材料を整理します。
効くのは、週案からの写しが自動になることです。ねらいの欄に週案の内容が最初から入っていれば、そこを考える時間がゼロになります。手書きでいちばん時間のかかる部分が消えます。
もう1つが、子どもごとの検索です。「◯◯ちゃんについて今月何を書いたか」がすぐ出ます。個人面談の前や、保護者から相談があったときに役立ちます。
一方、入力の速さは人によります。手書きのほうが速い職員もいます。端末の台数が足りないと、順番待ちが発生して逆に時間がかかります。
現実的なのは、その場のメモは紙、清書は端末という形です。メモは走り書きで済み、清書のときに週案からの写しと検索の利点を使えます。
導入するなら、年度の切り替わりに合わせます。年度の途中で変えると、その年度の記録が紙と電子に分かれて、あとから追いにくくなります。
まとめ
保育日誌は、ねらい・子どもの姿・振り返りの3つを1本の流れとして書きます。ねらいは週案から写し、子どもの姿は具体的な1場面で書き、振り返りには次の一手まで書くのが要点です。
まず手を付けるなら、ねらいを週案から写す形に変えるところからです。次に、その場でメモを取る習慣をつけると、書く時間が数分まで縮みます。
日誌は、書く時間が長いほど良いものになるわけではありません。その場で見たことを1場面、次の一手を1つ。これだけで、読まれる日誌になります。
なお、日誌として求められる内容や保存の年数は、自治体によって運用が異なります。最終的な判断は、所在地の自治体の保育担当課にご確認ください。
保育日誌は、書くのが目的ではなく、明日の保育を良くするための記録です。振り返りに「明日は◯◯してみる」と書けていれば、それだけで役目を果たしています。
よくある質問
保育日誌には何を書くのですか。
ねらい、子どもの姿、振り返りの3つです。3つがつながった1本の流れとして書くと、短くても中身のあるものになります。
ねらいは毎日考えるのですか。
月案と週案から降ろしてきます。日誌のねらいは、週案のねらいをその日の活動に当てはめたものになります。考える時間が丸ごと省けます。
全員について書くのですか。
書く必要はありません。その日のねらいに関わる場面が見えた子を数人選びます。書く子が偏らないよう、一覧にチェックを付ける形が使われます。
電子化したほうがよいですか。
ねらいを週案から自動で写せる点と、子どもごとに検索できる点が効きます。ただし入力の速さは人によるので、その場のメモは紙、清書は端末という形が現実的です。
書く時間が取れません。
その場でメモを取る、ねらいを週案から写す、欄を4〜5行に収める、の3つで大きく縮みます。持ち帰りが常態なら、様式か体制の問題として園で扱います。
連絡帳と同じことを書いてもよいですか。
構いませんが、書き方を変えます。日誌はねらいに対してどうだったか、連絡帳はその子が今日どんな顔をしていたか、という違いになります。
クラスによって書き方は変わりますか。
年齢で重心が変わります。0歳児は生活のリズムと個人差、1〜2歳児は「初めて」の場面、3歳以上は友だちとの関わり。様式を年齢で分けている園もあります。
うまくいかなかったことも書くのですか。
書きます。次の一手につながるのは、むしろこちらです。書くことが評価に響かない前提を、園として共有しておきます。