感染症の登園基準|意見書と登園届の使い分け
目次
「いつから登園できますか」と保護者に聞かれて、その場で答えられない。調べると病気ごとに違い、書類が要るものと要らないものがある。毎回調べ直していると、答えるまでに時間がかかります。
この記事では、感染症の登園基準を、基準の考え方・書類の使い分け・園での運用の3つに分けて整理します。読み終えたときに、聞かれたその場で答えられる状態を目指します。
結論:病気ごとに基準があり、書類も2種類ある
感染症の登園基準とは、感染症にかかった子どもが、いつから登園できるかの目安のことです。
保育所における感染症対策のガイドラインなどで示されており、病気ごとに基準が違います。
ポイントはここです。書類は2種類あります。医師が記入する意見書と、保護者が記入する登園届です。どちらが必要かも、病気によって変わります。
園が独自に基準を決めることはできません。ガイドラインと、自治体の方針に沿って運用します。
基準の考え方
登園を控えてもらう期間は、他の子にうつす可能性がある期間で決まります。
考え方は3つに分かれます。
1つ目は、日数で決まるものです。「解熱後3日を経過するまで」など。
2つ目は、症状で決まるものです。「発しんが消失するまで」「下痢が治まるまで」など。
3つ目は、医師の判断によるものです。
1つ目と2つ目が組み合わさるものもあります。「発症後5日を経過し、かつ解熱後3日を経過するまで」。
「熱が下がったから登園できる」とは限りません。解熱後に日数が必要なものがあります。ここが保護者といちばん行き違いやすいところです。
意見書と登園届
2種類の書類を使い分けます。
意見書は、医師が記入するものです。「医師の診断を受け、意見書が提出されることが望ましい感染症」に使います。
登園届は、保護者が記入するものです。「医師の診断を受け、保護者が登園届を記入することが望ましい感染症」に使います。
どちらが必要かは、病気ごとに決まっています。一覧にして、受付のそばに置いておきます。
書類を求めること自体は、園が一律に決められません。自治体の方針や、ガイドラインの区分に沿います。独自に厳しくすると、保護者の負担が増えます。
一覧を作る
毎回調べ直さなくて済むように、一覧を作ります。列は4つです。
病気の名前。
登園の目安。日数と症状。
必要な書類。意見書、登園届、不要。
備考。気をつけること。
置き場所は、受付のそばです。聞かれたその場で開ける場所に置きます。事務室の奥にあると、調べに行くことになります。
保護者向けにも配ります。入園のときと、流行の時期に。あらかじめ知っていれば、受診のときに医師に伝えられます。
一覧は、ガイドラインが改定されたときに見直します。古い基準のまま運用していると、実際と合わなくなります。
受診を勧めるとき
園で症状が出た場合、受診を勧めることになります。伝え方を決めておきます。
1つ目は、症状を具体的に伝えることです。「熱が38.5度、10時ごろから。食欲なし。発しんはなし。」
2つ目は、園での流行の状況を伝えることです。「クラスで同じような症状の子が3人います。」医師の診断の手がかりになります。
3つ目は、書類が要る可能性を伝えることです。「もし○○と診断されたら、意見書が必要になります。」
2つ目が効きます。医師は園の状況を知りません。流行の情報があると、診断が早くなることがあります。
診断名が分かったら、園に伝えてもらいます。他の子への注意喚起と、記録に必要です。
保護者への周知
行き違いを減らすには、あらかじめ伝えておくのがいちばんです。伝えるのは3つです。
1つ目は、登園の基準があることです。入園のときに、一覧を渡します。
2つ目は、書類が要る場合があることです。費用がかかることも伝えます。
3つ目は、園から連絡する基準です。何度の熱で連絡するか。
「熱が下がったのに登園できない」と言われるのは、基準を知らないためです。あらかじめ渡しておけば、受診のときに確かめてもらえます。
流行が出たときは、クラスや園全体に知らせます。病名、症状、注意すること。個人が特定されない形で書きます。
記録に残すこと
感染症に関する記録は、後から流行の状況を追うために残します。書くのは4つです。
1つ目は、欠席の理由です。出席簿の欄に、症状か病名を書きます。
2つ目は、診断名と期間です。いつからいつまで休んだか。
3つ目は、提出された書類です。意見書か登園届か。
4つ目は、園での対応です。消毒、お知らせ、報告。
報告が求められる場合があります。一定の人数や、特定の感染症について。基準は自治体や感染症の種類によります。確かめて紙に控えておきます。
同じクラスで何人目かが分かる形にしておくと、報告の判断が早くなります。
出席停止の扱い
感染症による欠席は、通常の欠席と扱いが分かれる場合があります。
出席簿の記号を分けておきます。後から集計するときに、感染症による欠席だけを数えられます。
保育料や給食費の扱いも、園の規程で決まっている場合があります。あらかじめ保護者に伝えておきます。
登園を控えてもらうことと、出席停止は、制度上の言葉として使い分けられることがあります。自治体の案内で確かめておきます。
保護者に納得してもらうために
登園の基準は、保護者の生活に直接ひびきます。納得してもらえないと、毎回もめます。
伝える順番は3つです。
1つ目は、基準の出どころを示すことです。園が決めた基準ではなく、国の示す考え方や自治体の指導に沿ったものであることを伝えます。
2つ目は、理由を伝えることです。本人の回復のためと、他の子にうつさないため。2つあることを言います。
3つ目は、入園のときに渡すことです。病気になってから伝えると、断られたと感じられます。
一覧の紙を、入園のときと年度の初めに配ります。掲示だけでは読まれません。手元に残る形で配ってください。最新の扱いは所轄の市町村の保育担当課や保健所に確かめます。
判断に迷う場面の決め方
基準があっても、当てはめにくい場面が出ます。迷ったときの決め方を先に持っておきます。
決め方は4つです。
1つ目は、診断がついていない段階では、症状で判断することです。熱、下痢、嘔吐、発疹。園の基準で線を引きます。
2つ目は、園で判断しないことを決めておくことです。病名の判断は医師が行います。園は受診を勧めるところまでです。
3つ目は、迷ったときに相談する先を決めることです。嘱託医、市町村の保育担当課、保健所。
4つ目は、決めた内容を記録に残すことです。誰が、いつ、何を根拠に判断したか。
4つ目が抜けると、次に同じ場面が来たときに判断が変わります。同じ症状で登園できた日とできなかった日があると、保護者の不信につながります。
園で発症したときの流れ
登園の基準は、朝の受け入れだけの話ではありません。日中に症状が出たときの流れも決めます。
流れは4段です。
1つ目は、他の子と離すことです。別の部屋か、仕切った場所。寝かせる場所を決めておきます。
2つ目は、保護者に連絡することです。症状と、いつからかを伝えます。
3つ目は、お迎えまでの様子を記録することです。熱の推移、水分、嘔吐や下痢の回数。
4つ目は、受診を勧めるかを判断することです。緊急性があれば救急も含めて判断します。
お迎えを頼む基準も先に決めて、保護者に伝えておきます。「37.5度」といった数字だけでなく、普段との違いも基準に入れます。数字だけだと、明らかに具合が悪い子を帰せません。
流行したときの対応
同じ病気が園内で広がったとき、基準の運用が変わることがあります。
することは4つです。
1つ目は、発生の状況を記録することです。クラスごとの人数と日付。
2つ目は、市町村や保健所に報告することです。報告が必要になる基準があるとされています。基準は自治体によって違うので、所轄の市町村の保育担当課や保健所に確かめてください。
3つ目は、保護者に知らせることです。クラスと人数、症状、家庭で気をつけること。個人が特定される書き方はしません。
4つ目は、消毒や動線の見直しです。
2つ目の判断を園だけで抱えないことです。報告が遅れると、地域での広がりを止められません。迷ったら早めに相談してください。
記録に残す項目を決める
登園の基準に関わる記録は、あとから経緯をたどれる形にします。
残すのは4つです。
1つ目は、症状が出た日と内容です。熱の数値、回数、時刻。
2つ目は、受診の結果です。診断名、医師の指示、登園の可否。
3つ目は、受け取った書類です。意見書か登園届か、受け取った日。
4つ目は、登園を再開した日です。
4つを1人1行で並べた一覧にすると、流行の状況が見えます。個別の記録だけだと、クラスで何人目なのかが分かりません。
まとめ
感染症の登園基準は、病気ごとに違います。保育所における感染症対策のガイドラインなどで示されており、園が独自に決めることはできません。
書類は2種類。医師が記入する意見書と、保護者が記入する登園届。どちらが必要かも病気によって変わります。
「熱が下がったから登園できる」とは限りません。解熱後に日数が必要なものがあります。ここが保護者といちばん行き違いやすいところです。
一覧を作って受付のそばに置き、保護者にも配ります。あらかじめ知っていれば、受診のときに医師に伝えられます。基準と報告の要否は、所管の自治体に確かめるのが確実です。
よくある質問
Q. 園が独自に厳しい基準を決めてもよいですか。 A. ガイドラインや自治体の方針に沿うのが基本です。独自に厳しくすると、保護者の負担が増え、就労にも影響します。心配な点があれば、自治体や嘱託医に相談してから決めます。
Q. 意見書の費用は誰が負担しますか。 A. 保護者の負担になることが一般的です。費用がかかることを、入園のときに伝えておきます。自治体によっては、様式や費用について案内がある場合があります。
Q. 診断名が分からない場合は。 A. 症状で判断することになります。熱、下痢、嘔吐、発しん。医師にかかっている場合は、登園の可否を確かめてもらいます。分からないまま登園してもらうと、他の子に広がる可能性があります。
Q. 兄弟が感染した場合、本人は登園できますか。 A. 本人に症状が無ければ登園できるのが一般的です。ただし、感染症の種類によって扱いが分かれます。自治体や嘱託医に確かめます。健康観察を丁寧に行う対象にはなります。
Q. 報告はどんなときに必要ですか。 A. 一定の人数や、特定の感染症について求められる場合があります。基準は自治体や感染症の種類によります。確かめて紙に控えておき、迷うときは電話で相談します。
Q. 一覧はどこで手に入りますか。 A. ガイドラインや、自治体の案内に示されています。そこから自園の一覧を作ります。改定があったときに見直す形にしておきます。
Q. 保護者に病名を伝えてもよいですか。 A. 個人が特定されない形で、クラスや園全体に知らせます。「3歳児クラスで○○が3名」といった形です。個人名は出しません。
Q. 登園を控えてもらう間、保育料はどうなりますか。 A. 園の規程や自治体の定めによります。あらかじめ保護者に伝えておくと、行き違いが減ります。出席簿の記号を分けておくと、集計もしやすくなります。
Q. 症状が軽い場合も休んでもらいますか。 A. 基準に当てはまるかどうかで判断します。軽くても、うつす可能性がある期間は基準で決まっています。判断に迷う場合は、嘱託医や自治体に相談します。
Q. 職員が感染した場合は。 A. 職員についても、就業の再開の目安を決めておきます。自治体や保健所の案内に沿って決め、職員に伝えます。休みにくい雰囲気があると、無理して出てくることになります。
Q. 登園届は保護者が書いてよいのですか。 A. 医師の診断を受けたうえで保護者が記入する形の書類として使われています。医師が記入する意見書とは役割が違います。どの病気にどちらを使うかは、所轄の市町村の保育担当課に確かめてください。
Q. 書類に費用がかかると言われました。 A. 医師が記入する書類は費用がかかることがあります。園が負担するか保護者が負担するかを決めて、入園のときに伝えておいてください。あとから決めると、もめる原因になります。
Q. きょうだいが感染した場合、本人は登園できますか。 A. 病気によって扱いが違います。本人に症状が無ければ登園できる場合が多くありますが、判断は病気ごとに異なります。所轄の市町村の保育担当課や保健所に確かめてください。
Q. 解熱剤を使って熱が下がった場合はどうしますか。 A. 薬で下げた状態は、回復したこととは別に扱うのが一般的です。解熱後の経過時間で線を引く基準が使われています。園の基準に、薬を使った場合の扱いを書いておいてください。
Q. 基準の一覧は、どのくらいの頻度で見直しますか。 A. 年に1回は確かめます。国の考え方や自治体の指導が変わることがあります。所轄の市町村の保育担当課に確かめて、変わっていれば一覧を差し替えて配り直してください。
Q. 登園を断った記録は残しますか。 A. 残します。いつ、どの症状で、何を根拠に断ったか。同じ症状で扱いが変わらないための記録です。保護者から説明を求められたときにも使えます。
Q. 園医にはどのくらい相談してよいものですか。 A. 判断に迷う場面は相談してよい関係を作っておきます。年度の初めに、相談の方法と連絡先を確かめておいてください。相談しにくい関係だと、園だけで抱えることになります。