モニタリング記録とは?目標に届いたかを確かめる
目次
モニタリングの用紙に「変化なし」「継続」と書いて提出する。毎回同じ内容になり、書いている側も意味を感じない。それでも期限が来るので書く。多くの事業所で起きていることです。
この記事では、モニタリング記録を、何を確かめるのか・書く項目・使える形にする方法の3つに分けて整理します。読み終えたときに、次のモニタリングの書き方を変えられる状態を目指します。
結論:目標に届いたかを、記録から確かめる作業
モニタリング記録とは、立てた計画が目標に近づいているかを、定期的に確かめた記録のことです。
確かめるのは3つです。目標に届いたか。支援が合っているか。状態や意向が変わっていないか。
ポイントはここです。材料になるのは日々の記録です。モニタリングの日に思い出して書くのではなく、蓄まった記録から読み取ります。
日々の記録が「変わりなし」ばかりだと、モニタリングも「変化なし」になります。書けない原因は、モニタリングの側ではなく日々の記録の側にあることが多くあります。
書く項目
様式はサービスによって変わりますが、書く内容は共通しています。6つです。
実施した年月日。
実施した方法。訪問、面談、電話、記録の確認。
目標の達成の状況。短期目標ごとに、どこまで届いたか。
サービスの実施の状況。計画どおりに提供できているか。
利用者と家族の意向。変わっていないか。
今後の方針。継続、変更、終了。
抜けやすいのは「目標の達成の状況」を目標ごとに書くことです。まとめて「概ね達成」と書くと、どの目標がどうだったかが分かりません。
短期目標が3つあるなら、3つそれぞれについて書きます。様式に欄が無いなら、欄を足します。
達成の状況をどう書くか
いちばん手が止まるところです。書き方の型を決めておきます。
「(目標)について、(記録から分かること)。(達成の程度)。」
例を1つ通します。
目標:「手すりを使って、1人でトイレまで歩ける」
書き方:「日中は手すりを使って1人で歩けている。夜間は付き添いが必要な日が週に2日ある。日中については達成、夜間は継続して支援が必要。」
数字が入ると、次の回と比べられます。「週に2日」「10回のうち8回」。記録に数字が残っていれば、ここで使えます。
達成できていない場合も、そのまま書きます。「できていない」は悪い記録ではありません。次の計画を変える材料になります。
実施の時期
モニタリングを行う時期は、サービスの種類によって定められています。
居宅介護支援では、少なくとも月1回、利用者の居宅を訪問することなどが求められているとされています。
事業所の個別計画についても、定期的に見直すことが求められます。短期目標の期間の終わりに合わせる形が一般的です。
状態が変わったときは、期間の途中でも行います。入院から戻った、転倒した、家族の状況が変わった。定期の時期を待たずに見直します。
実施の時期を管理表に入れておくと、抜けません。利用者ごとに、次の実施の予定日を持っておきます。
日々の記録から読み取る
モニタリングの質は、日々の記録の質で決まります。読み取りやすくする工夫が3つあります。
1つ目は、計画の項目を記録の欄にすることです。目標に関わる項目が毎日書かれていれば、そのまま材料になります。
2つ目は、数字を書くことです。回数、時間、量。「よく歩けた」より「手すりを使って20メートル」のほうが、比べられます。
3つ目は、変化があった日に印を付けることです。後から探しやすくなります。
モニタリングの前に、期間中の記録を読み返す時間を取ります。30分でも、読めば材料が出てきます。読まずに書くと、「変化なし」になります。
変更につなげる
モニタリングの結果、計画を変えることがあります。変更の判断は3つに分かれます。
1つ目は、継続です。目標に向かって進んでいて、支援も合っている。
2つ目は、変更です。目標に届いた、届かない、状態が変わった、意向が変わった。
3つ目は、終了です。目標を達成し、支援が不要になった。
「継続」が続く場合、本当に変化が無いのかを疑います。半年も1年も同じ計画が続いているなら、目標が高すぎるか、低すぎるか、そもそも合っていない可能性があります。
変更する場合は、ケアマネジャーに伝えます。事業所だけで計画を変えることはできません。サービス担当者会議で調整されます。
家族への共有
モニタリングの結果は、家族にも伝えると効果があります。伝える内容は3つです。
できるようになったこと。小さなことでも伝えます。
難しくなってきたこと。変化を早めに共有すると、後の相談がしやすくなります。
これからの方針。
「変わりありません」だけを伝えていると、状態が悪くなったときに急な話に聞こえます。少しずつ伝えていると、受け止めが変わります。
伝えた内容と日付は、記録に残します。家族に伝えたことと、記録が食い違わないようにします。
様式を使える形にする
書きにくい様式が、モニタリングを形だけにします。見直すところが4つあります。
1つ目は、目標ごとの欄があるかです。まとめて書く欄しか無いと、目標ごとに書けません。
2つ目は、前回の内容が見えるかです。前回どう書いたかが分からないと、比べられません。前回の記載を印刷しておく形が効きます。
3つ目は、数字を書く欄があるかです。
4つ目は、方針を選択式にできるかです。継続・変更・終了に丸を付ける形。
2つ目がいちばん効きます。前回の記載が見えると、「前回から何が変わったか」を書く形になり、「変化なし」が減ります。
誰がモニタリングをするか
モニタリングは、計画を作った人が担当するのが基本の形です。ただし現場では、そこに他の職種の目を入れるかどうかで質が変わります。
入れ方は3つあります。
1つ目は、担当の職員から聞き取ることです。毎日関わっている人がいちばん変化に気づいています。「先月と比べて変わったことはありますか」と1つ聞くだけで材料が出ます。
2つ目は、看護職の見立てを入れることです。体重、食事量、皮膚の状態、薬の変更。介護の記録だけでは拾えない変化が出てきます。
3つ目は、家族からの話を入れることです。面会や電話のときに聞いた内容を、モニタリングの材料として書き留めます。
3つを集めてから書くと、モニタリングが計画の見直しにつながります。計画を作った人が1人で書くと、自分の立てた目標を自分で評価することになり、届いていないと書きにくくなります。
届かなかったときの書き方
目標に届かなかったとき、そのまま書けるかどうかでモニタリングの価値が決まります。
書き方は3つです。
1つ目は、届かなかった事実を先に書くことです。「歩行距離は20メートルのままで、目標の50メートルには届いていない」。ここを曖昧にしません。
2つ目は、理由を1つに決めつけないことです。本人の意欲、体調、環境、職員の関わり方。思い当たるものを並べて書きます。1つに決めると、次の手が1つしか出ません。
3つ目は、次にどうするかまで書くことです。目標を下げる、期間を延ばす、方法を変える、いったん外す。外すことも選択肢に入れます。届かない目標を残し続けると、記録が形だけになります。
届かなかったことは、失敗ではありません。計画を立てた時点の見立てと実際が違っただけです。違いが分かったから直せる、という順番で書きます。
記録が薄いとモニタリングが書けない
モニタリングが書けないときの原因は、モニタリングの側ではなく日々の記録にあります。
よくある形は3つです。
1つ目は、記録が「変わりなし」ばかりになっている場合です。変わりが無いことも情報ですが、それだけだと目標に届いたかが分かりません。目標に関係する項目だけ、数字か様子で書く欄を作ります。
2つ目は、書く人によって書き方が違う場合です。同じ場面が「見守りで歩行」「一部介助で歩行」と分かれていると、変化なのか書き手の違いなのか分かりません。言葉をそろえます。
3つ目は、目標が測れない形になっている場合です。「安心して過ごせる」では、記録のしようがありません。目標を立てるときに、何を見れば届いたと分かるかを決めておきます。
モニタリングが書きにくいと感じたら、日々の記録の様式を見直す合図です。モニタリングの様式をいくら整えても、材料が無ければ書けません。
様式を1枚に収める
モニタリングの様式は、1人につき1枚に収まる形にします。枚数が増えると、実施の頻度が落ちます。
収めるための工夫は3つあります。
1つ目は、目標を転記する欄を印字しておくことです。毎回手で書き写すと、そこで時間が終わります。
2つ目は、達成の状況を選択式にすることです。「達成」「一部達成」「未達成」を丸で囲み、そのうえで一言だけ書く形にします。
3つ目は、次の一手を4つから選ぶ形にすることです。継続、期間延長、方法変更、目標変更。選んだうえで理由を1行足します。
書く量を減らすほど、実施の記録が残ります。丁寧に書く様式を作って月に1回も書けていない状態より、簡素な様式で毎月残っているほうが、モニタリングとしては機能しています。
まとめ
モニタリング記録は、計画が目標に近づいているかを定期的に確かめた記録です。確かめるのは、目標に届いたか、支援が合っているか、状態や意向が変わっていないかの3つです。
材料になるのは日々の記録です。「変わりなし」ばかりだと、モニタリングも「変化なし」になります。書けない原因は、日々の記録の側にあります。
達成の状況は、目標ごとに書きます。「概ね達成」ではなく、どの目標がどこまで届いたかを、記録から分かることとあわせて書きます。
様式で効くのは、前回の記載が見える形です。比べる形になると、「変化なし」が減ります。実施の時期は、サービスの種類によって定められているので、所管の自治体に確かめるのが確実です。
よくある質問
Q. モニタリングは誰が行いますか。 A. 居宅介護支援ではケアマネジャーが行います。事業所の個別計画については、計画を作成した職員が行うのが一般的です。誰が行ったかを記録に残します。複数の職員で確かめる形にしている事業所もあります。
Q. 訪問しないとモニタリングになりませんか。 A. サービスの種類によって、訪問が求められる場合があります。居宅介護支援では、少なくとも月1回の居宅の訪問などが求められているとされています。事業所の個別計画については、日々の記録と面談で確かめる形が一般的です。
Q. 「変化なし」と書いてはいけませんか。 A. 本当に変化が無ければ、そう書きます。ただし、毎回同じだと、確かめていないように見えます。何をもって変化が無いと判断したか、記録から分かることを1行添えると、確かめた跡が残ります。
Q. 目標に届いた場合、どうしますか。 A. 次の目標を立てます。同じ目標を続けると、本人の変化に計画が追いつきません。届いたことを記録に残し、ケアマネジャーに伝えて次の計画につなげます。
Q. 短期目標の期間が過ぎても、計画がそのままです。 A. 期間が切れたまま続いているのは、見直していないことになります。期間の終わりに合わせてモニタリングを行い、継続・変更・終了を判断します。管理表に次の実施の予定日を持っておくと抜けません。
Q. 日々の記録が薄くて、書く材料がありません。 A. 計画の項目を記録の欄にするところから直します。目標に関わる項目が毎日書かれていれば、材料が溜まります。様式を変えるだけで、次のモニタリングから変わります。
Q. 家族の意向はどう確かめますか。 A. 面談や電話で聞きます。「お変わりありませんか」だけだと「変わりません」で終わるので、「最近気になることはありますか」「してほしいことはありますか」と具体的に聞きます。聞いた内容をそのまま記録します。
Q. 状態が急に変わった場合、定期を待ちますか。 A. 待ちません。入院から戻った、転倒した、家族の状況が変わったといった場合は、その時点で見直します。定期の時期はあくまで最低限の頻度です。
Q. モニタリングの記録は何年残しますか。 A. 介護保険の記録として、完結の日から2年が国の基準です。条例で5年としている自治体があります。計画や日々の記録と同じつづりに入れておくと、まとめて管理できます。
Q. 実地指導では何を見られますか。 A. 定められた時期に実施しているか、目標ごとに確かめているか、結果が次の計画につながっているか。とくに3つ目で、モニタリングの結果と計画の変更が結びついているかが見られます。
Q. モニタリングの頻度に決まりはありますか。 A. サービスの種類によって扱いが違います。居宅介護支援では月に1回の訪問と記録が求められているとされています。施設や他のサービスは扱いが異なるので、所轄の市町村や指定権者に確かめてください。
Q. 訪問できなかった月はどうしますか。 A. できなかった理由を記録に残します。入院や本人の都合など、事実を書きます。空白のまま飛ばすと、実施していないのか記録が無いだけなのかが分かりません。
Q. モニタリングの結果を家族に渡しますか。 A. 渡す義務が一律にあるわけではありませんが、共有すると次の計画の話が早くなります。渡すなら、届かなかった目標についても同じ紙で伝えます。良い部分だけを渡すと、計画変更の話が唐突になります。
Q. 電子の記録システムにモニタリングの機能がある場合、紙は要りませんか。 A. 要りません。ただし印刷して出せる状態にしておきます。実地指導では画面で見せる形も増えていますが、すぐに出せることが前提です。
Q. 目標を外すと、家族に説明しにくいのですが。 A. 外す理由を、本人の状態の変化として説明します。「できなくなったから外す」ではなく「いまはこちらを優先する」という形にします。優先するものを1つ示せば、話は進みます。