ケアプランとは?3つの表と、記録とのつながり
目次
ケアプランは、ケアマネジャーが作るもの。事業所はそれを受け取って、サービスを提供する。そこまでは分かっていても、自分たちの記録とどうつながっているのかが曖昧なまま日々が過ぎていきます。
この記事では、ケアプランを、何の書類か・3つの表・記録とのつながりの3つに分けて整理します。読み終えたときに、自社の記録がプランとつながっているかを確かめられる状態を目指します。
結論:プランと記録がつながって初めて意味が出る
ケアプランとは、利用者の課題に対して、どんなサービスを、どれくらい、何のために行うかを決めた計画のことです。正式には居宅サービス計画や施設サービス計画と呼ばれます。
作るのは介護支援専門員(ケアマネジャー)です。サービスを提供する事業所は、それを受けて個別の計画を作ります。
ポイントはここです。計画と記録がつながっていないと、何をやっているか説明できません。プランに書かれた目標に対して、日々どう関わり、どう変わったか。ここがつながって初めて、計画の意味が出ます。
実地指導でも、このつながりが見られます。プランがある、記録がある、でも別々、という状態が指摘されます。
3つの表
居宅サービス計画は、複数の表で構成されています。主なものを3つ押さえます。
第1表は、利用者と家族の意向、総合的な援助の方針です。その人がどう暮らしたいか、事業所全体でどう支えるか。
第2表は、課題、目標、サービスの内容です。いちばん中心になる表で、長期目標と短期目標が書かれています。
第3表は、週間のサービス計画表です。何曜日の何時に、どのサービスが入るか。
事業所が日々見るのは第2表です。そこに書かれた目標が、自分たちの記録につながります。
第2表には、誰が担当するかも書かれています。自社が担う部分を確かめておきます。
事業所の個別計画
ケアプランを受けて、事業所は個別のサービス計画を作ります。訪問介護計画、通所介護計画、施設の個別援助計画など、名前はサービスによって変わります。
書く内容は3つです。
1つ目は、ケアプランの目標を受けた、自社の目標です。もとの目標と食い違わないようにします。
2つ目は、具体的な支援の内容です。何を、どれくらいの時間、どんな手順で。
3つ目は、担当と頻度です。
個別計画は、本人や家族に説明して同意を得ることが求められます。同意の記録を残します。
「ケアプランをそのまま写す」形にしないのが要点です。事業所が実際に何をするかを書かないと、日々の記録とつながりません。
記録とのつなげ方
つなげ方は単純です。個別計画に書いた項目を、記録の欄にする。これだけです。
たとえば、計画に「入浴の際に、立位の保持を促す」と書いたなら、記録に「立位の保持」の欄を作ります。毎回書ければ、変化が見えます。
記録の様式が、全員同じだと、この形になりません。人によって計画が違うので、個別の項目を書ける欄が要ります。
自由記述の欄しかない様式だと、計画とつながるかどうかが書く人次第になります。計画の項目を印刷しておく形にすると、確実につながります。
モニタリングとの関係
計画は、作ったら終わりではありません。定期的に見直します。その材料になるのが、日々の記録です。
流れは4つです。
1つ目は、アセスメントです。その人の状態と課題を把握します。
2つ目は、計画の作成です。課題に対して目標と支援を決めます。
3つ目は、サービスの提供と記録です。
4つ目は、モニタリングです。目標に近づいているかを確かめます。
4つ目から、また1つ目に戻ります。この循環が回っていることが、計画が生きている状態です。
記録が薄いと、モニタリングの材料がありません。「変わりなし」しか書かれていないと、目標に近づいたかどうかが分かりません。
目標の書き方
計画がつながらない原因の多くは、目標の書き方にあります。
抽象的な目標は、記録につながりません。「安全に生活できる」「意欲を持って過ごす」では、何を記録すればよいか分かりません。
つながる目標は、場面と動作が入っています。「手すりを使って、1人でトイレまで歩ける」「週に2回、他の利用者と会話する」。
事業所の個別計画では、もとの目標を具体化することができます。ケアプランが抽象的でも、自社の計画で場面と動作に落とせば、記録につながります。
目標には期間も入れます。いつまでに、どこまで。期間が無いと、見直しの時期も決まりません。
担当者会議
計画を作るときや見直すときに、サービス担当者会議が開かれます。事業所は参加する側になります。
持っていくものは3つです。
1つ目は、日々の記録から見えたことです。できるようになったこと、難しくなったこと。
2つ目は、目標に対する状況です。近づいているか、届いていないか。
3つ目は、気づいたことと提案です。「この支援は要らなくなった」「別の支援が要る」。
記録が薄いと、会議で言うことがありません。日々の記録の質が、そのまま会議での発言の質になります。
会議の内容は記録に残されます。自社でも、何を言ったか、何が決まったかを控えておきます。
保存の期間
計画も記録も、保存の対象になります。介護保険の記録は、完結の日から2年が国の基準で、条例で5年としている自治体があります。
利用者ごとに1つのつづりにまとめると、探しやすくなります。計画、個別計画、同意の記録、日々の記録、モニタリングの記録。1人分が1か所にある形です。
サービスが終了した日から数えるため、継続中の人は起算が始まりません。つづりの表紙に「継続中」と書いておくと、誤って処分しません。
本人の言葉をそのまま残す
ケアプランでいちばん弱くなりやすいのが、本人と家族の意向の欄です。ここを整えた文章にすると、誰のプランか分からなくなります。
残し方は3つあります。
1つ目は、聞いた言葉をかぎ括弧で入れることです。「風呂は自分で入りたい」。言い換えずにそのまま書きます。
2つ目は、言えない人の様子を書くことです。言葉で意向を出せない人でも、表情や動きに出ます。「浴室の前で足が止まる」。事実として書けば、意向を推し量った根拠になります。
3つ目は、家族の言葉と分けることです。本人の欄に家族の希望を書かないことです。混ざると、あとで食い違いが出たときに、どちらの意向だったのかをたどれません。
本人の言葉が入っているプランは、担当者会議で話が進みます。「本人はこう言っています」という一文があるだけで、参加者の話す向きがそろいます。
医療との連携をどう書くか
ケアプランには、医療の側で決まっていることが入ってきます。ここを曖昧にすると、現場が迷います。
書き分けるのは3つです。
1つ目は、医師の指示があるものです。服薬、食形態、水分の量、運動の制限。誰の指示かを書きます。「主治医より」と入れるだけで、現場が勝手に変えられないものだと分かります。
2つ目は、看護職の判断で動くものです。創部の処置、血圧の測定、状態の観察。医師の指示の範囲の中で看護が判断するものは、そう書きます。
3つ目は、介護職が気づいて伝えるものです。食事量の変化、いつもと違う様子。伝える先と、どこまでで呼ぶかを書いておきます。「38度を超えたら看護に連絡」という形です。
3つを混ぜて書くと、現場の判断が止まります。誰が決めたことなのかが分からないと、変えていいのか確かめるところから始まるからです。
医療の内容が変わったときは、プランの側も直します。主治医の指示が変わったのにプランが前のままだと、記録と指示が食い違います。実地指導で見られるのはこの食い違いです。
更新のタイミングを決めておく
ケアプランは、期間が来たから直すものではありません。変わったときに直します。
直す場面は4つあります。
1つ目は、認定の更新や区分の変更があったときです。
2つ目は、入退院があったときです。戻ってきたときの状態は、入る前と違います。
3つ目は、モニタリングで目標に届いたと分かったときです。届いたら次の目標に進みます。届いたのにプランが同じだと、ケアが止まります。
4つ目は、本人や家族の希望が変わったときです。
4つのどれかが起きたら、期間の途中でも直します。期間満了まで待つ理由はありません。ただし直したプランは、担当者会議と同意の手続きを踏みます。ここを飛ばすと、手続きの不備になります。
現場が読めるプランにする
ケアプランは、作った人だけが分かる書き方になりがちです。その日に入った職員が読んで動ける形にします。
読める形にする工夫は3つあります。
1つ目は、主語を書くことです。「移動時に見守る」ではなく「移動のとき、職員が斜め後ろについて見守る」。誰が何をするかまで書きます。
2つ目は、回数と場面を入れることです。「入浴介助」ではなく「週2回、火曜と金曜の午後に入浴介助」。予定表と突き合わせられます。
3つ目は、専門の言葉を減らすことです。ADLやIADLといった言い方は、伝わる相手が限られます。使うなら「ADL(食事や移動など、毎日の動作)」と1回開いておきます。
3つを入れると、プランが長くなります。長さは問題ではありません。読んで動けないプランが短くても、現場では使われません。
まとめ
ケアプランは、課題に対して、どんなサービスを、何のために行うかを決めた計画です。作るのはケアマネジャーで、事業所はそれを受けて個別の計画を作ります。
第2表がいちばん中心で、長期目標と短期目標が書かれています。事業所が日々見るのはここです。
計画と記録がつながっていないと、何をやっているか説明できません。つなげ方は、個別計画に書いた項目を、記録の欄にすることです。
つながらない原因の多くは、目標の書き方にあります。「安全に生活できる」では記録につながりません。場面と動作を入れると、書けるようになります。保存の期間は、所管の自治体に確かめるのが確実です。
よくある質問
Q. ケアプランと個別のサービス計画は、両方要りますか。 A. サービスの種類によりますが、多くの場合、事業所は個別の計画を作ることが求められます。ケアプランの目標を受けて、自社が何をするかを書きます。そのまま写すのではなく、具体的な支援の内容を書くのが要点です。
Q. 個別計画の同意は、どう取りますか。 A. 本人や家族に説明し、同意を得たことを記録に残します。署名をもらう形が一般的です。計画を変更したときも、改めて説明と同意が要ります。同意の日付が計画の日付より前になっていないかも確かめます。
Q. 目標に届かなかった場合、どうしますか。 A. なぜ届かなかったかを見ます。目標が高すぎたのか、支援が合わなかったのか、状態が変わったのか。モニタリングで確かめ、次の計画に反映します。届かなかったこと自体が問題になるわけではありません。
Q. 記録に「変わりなし」しか書けません。 A. 計画の項目を記録の欄にすると書けるようになります。「立位の保持」「他者との会話」のように、見るものが決まっていれば、その日どうだったかを書けます。自由記述だけだと、何を書けばよいか分かりません。
Q. ケアプランが届くのが遅い場合は。 A. 計画が無い状態でサービスを提供することになり、後から整合を取るのが難しくなります。ケアマネジャーに早めに依頼します。暫定の計画で始まる場合は、正式なものが届いた時点で個別計画を見直します。
Q. 短期目標の期間はどれくらいですか。 A. 3か月から6か月で設定されることが多くあります。期間が終わる前にモニタリングを行い、達成の状況を確かめます。期間が切れたまま同じ計画で続いていると、見直していないことが分かります。
Q. サービス担当者会議に出られない場合は。 A. 照会という形で、書面で意見を出す方法があります。記録から見えたことをまとめて出します。出られないからといって何も伝えないと、計画に自社の視点が反映されません。
Q. 計画の変更は、どこまでなら軽微ですか。 A. 軽微な変更として扱える範囲が示されています。サービスの回数の増減など、内容によって扱いが変わります。判断に迷う場合は、ケアマネジャーや所管の自治体に確かめます。
Q. 利用者ごとのつづりには何を入れますか。 A. ケアプラン、個別計画、同意の記録、アセスメント、日々の記録、モニタリングの記録、事故や苦情の記録。1人分が1か所にあると、実地指導でも家族への説明でもすぐ出せます。
Q. 実地指導では、どこを見られますか。 A. 計画があるか、同意を得ているか、記録が計画とつながっているか、モニタリングを行っているか。とくに3つ目でつまずく事業所が多くあります。計画の項目が記録の欄になっているかを確かめておきます。
Q. ケアプランの同意は、署名と押印の両方が要りますか。 A. 押印については省略できる扱いが広がっています。ただし運用は保険者によって違うので、所轄の市町村に確かめてください。署名が難しい方の場合の代筆の扱いも、あわせて確かめておきます。
Q. 第2表の目標は、いくつまでが目安ですか。 A. 数の決まりはありません。多いほど良いものでもありません。本人が覚えていられる数が実際の目安で、3つから5つに収める事業所が多くあります。届いたものから差し替えていきます。
Q. 計画を作った人と、記録を書く人が違っていても構いませんか。 A. 構いません。ただし計画の意図が現場に伝わっていないと、記録が計画とつながりません。計画を配るときに、その月にとくに見てほしいことを1つだけ口頭で伝える形が使われています。
Q. 期間の途中で軽い変更をしたいときも、会議は要りますか。 A. 軽微な変更の扱いは、変更の内容によって異なるとされています。判断に迷うものは所轄の市町村に確かめてください。迷ったら会議を開いたほうが、あとで問われません。
Q. プランの原本はどこに置きますか。 A. 事業所内で職員が見られる場所に置きます。事務室の鍵付きの棚に入れたまま出さないと、現場が読めません。写しをフロアに置くなら、古い版が残らない仕組みをあわせて決めます。