介護の記録解説2026.05.13 公開KK-41

個別機能訓練計画書とは?加算の要件になる記録

目次

個別機能訓練加算を取っている。計画書も作っている。ところが、計画に書いた訓練が日々の記録のどこに残っているかというと、はっきりしない。実地指導で返還を求められる話を聞くと、不安になります。

この記事では、個別機能訓練計画書を、何のための書類か・書く項目・記録とのつながりの3つに分けて整理します。読み終えたときに、自社の書類を確かめられる状態を目指します。

ケアプランとのつながりから確かめたい方は、こちらを読むと早いです。→ ケアプランとは

結論:加算の要件であり、記録とセットで見られる

個別機能訓練計画書とは、利用者ごとに、身体の機能や生活の動作について、目標と訓練の内容を決めた計画のことです。

個別機能訓練加算を算定する場合、計画の作成が要件になります。作成に関わる職種や、実施の体制についても要件が定められています。

4つがつながる計画目標と内容を決める実施計画に沿って行う記録行った日ごとに残す評価3か月ごとに
計画・実施・記録・評価という4つのつながりを示した層の図

ポイントはここです。計画があるだけでは足りません。計画に沿って実施し、記録に残し、定期的に評価する。この一連がそろって、初めて要件を満たします。

返還を求められる事例の多くは、計画はあるが実施の記録が無い、あるいは計画と記録が対応していないという形です。

書く項目

様式は示されているものがあります。書く内容はおおむね次のとおりです。

利用者の基本の情報。氏名、要介護度、病名、既往。

本人と家族の希望。「どうなりたいか」を本人の言葉で。

評価の結果。関節の可動域、筋力、バランス、日常生活の動作。

長期目標と短期目標。期間を入れます。

訓練の内容。何を、どれくらいの頻度と時間で。

担当者。

実施の記録と評価。

主な項目と、抜けやすいところ項目抜けやすいところ長期と短期の目標数字で測れる形か訓練の内容計画と同じ言葉で実施した日と人行った人の職種も評価と見直し変えた記録を残す
主な項目と、抜けやすいところを並べた表

抜けやすいのは、本人の希望を本人の言葉で書くことです。「歩行の改善」と書かれていると、事業所が決めた目標に見えます。「トイレに自分で行きたい」と書けると、計画の説得力が変わります。

目標の立て方

目標が抽象的だと、記録につながりません。生活の場面に落とすのが要点です。

身体の機能の目標だけにしない。「下肢筋力の向上」で止めず、その先に何ができるようになるかを書きます。

場面と動作を入れる。「手すりを使って浴室の段差をまたげる」「椅子から立ち上がって5歩歩ける」。

期間を入れる。短期目標は3か月程度で設定されることが多くあります。

目標はどちらに置くか機能に置く下肢の筋力を向上する可動域を広げる家族に伝わらない生活の場面に置くトイレまで自分で歩く孫の家まで歩いて行く本人も家族も分かる
機能の目標と、生活の場面の目標を並べた比較の図

目標が生活の場面になっていると、記録も書けます。「浴室の段差をまたげたか」は、入浴の記録に書けます。

ケアプランの目標とも対応させます。別々の目標が並んでいると、どちらを見ればよいか分かりません。

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実際に使える様式が必要な方へ

個別機能訓練計画書のExcelの様式が、商い屋の介護向けのページにあります。この記事は中身の話です。

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実施の記録

計画に書いた訓練を、実際に行った記録が要ります。書くのは4つです。

実施した日。

実施した内容。計画に書いた訓練のうち、何を行ったか。

実施した時間または回数。

本人の様子。できたこと、難しかったこと、訴え。

実施の記録の4項目項目書き方日付と時間始めと終わりの時刻内容回数・距離・秒数行った人氏名と職種できなかった日理由と代わりの内容
実施の記録の4項目を並べた表

日々の記録の中に埋もれさせないのが要点です。個別機能訓練の欄を作るか、別の様式にします。

行わなかった日も記録します。体調不良、本人の希望で中止。空白だと、やっていないのか書き忘れたのかが分かりません。

記録は、その日のうちに書きます。まとめ書きは、加算の記録としては弱くなります。

評価と見直し

計画は定期的に評価し、見直します。時期は短期目標の期間に合わせる形が一般的です。

評価で見るのは3つです。

1つ目は、目標に届いたかです。目標ごとに書きます。

2つ目は、訓練の内容が合っていたかです。きつすぎた、易しすぎた、続かなかった。

3つ目は、状態が変わっていないかです。

3つの観点で評価する目標届いたか、どこまで来たか内容合っていたか状態体調と意欲
目標・内容・状態という3つの評価の観点を並べた層の図

評価の結果は、次の計画に反映します。評価だけして計画が同じままだと、見直していないことになります。

見直した計画は、本人や家族に説明して同意を得ます。同意の記録を残します。

加算の要件を確かめる

加算には、計画以外にも要件があります。自社が算定しているものについて、一覧にしておきます。

確かめるのは4つです。

1つ目は、人員の要件です。機能訓練指導員として配置できる職種が定められています。

2つ目は、実施の体制です。誰が、どこで、どういう形で行うか。

3つ目は、計画の作成に関わる職種です。

4つ目は、記録の要件です。

4つの要件を確かめる要件確かめること人員機能訓練指導員がいるか体制資格の写しがあるか作成計画に指導員が関わったか記録実施の記録が日ごとにあるか
人員・体制・作成・記録という4つの要件を並べた表

要件は改定で変わります。前の要件のまま運用していると、算定できない状態が続きます。改定のたびに、自社が算定している加算の要件を確かめます。

分からない点は、所管の自治体に確かめます。算定してから確かめるのではなく、算定の前に確かめるほうが安全です。

ケアプランとの整合

個別機能訓練計画書は、ケアプランの目標を受けて作ります。食い違うと、どちらが正しいか分からなくなります。

ケアプランの目標を確かめてから作る。第2表に書かれた目標のうち、自社が担う部分を受けます。

サービス担当者会議で共有する。評価の結果を持っていくと、次のケアプランに反映されます。

変更したら伝える。個別機能訓練計画を変えたら、ケアマネジャーに伝えます。

どちらも本人のための計画なので、2つが別々に動くのは本来おかしい形です。

保存と管理

計画も記録も、介護保険の記録として保存します。完結の日から2年が国の基準で、条例で5年としている自治体があります。

利用者ごとのつづりに、計画・実施の記録・評価・同意の記録をまとめます。加算の算定期間と、記録の期間が対応しているかを確かめます。

算定していた期間に記録が無い月があると、その月の分の返還を求められることがあります。月ごとに記録がそろっているかを確かめる時間を、月末に取ります。

誰が訓練を行うか

個別機能訓練は、行う人の職種が加算の要件になっています。ここを外すと、記録が整っていても算定できません。

確かめるのは3つです。

1つ目は、計画を作る人です。機能訓練指導員が関わる形が求められているとされています。機能訓練指導員になれる職種は定められているので、所轄の市町村に確かめてください。

2つ目は、実際に訓練を行う人です。計画に沿って介護職が行える部分と、指導員が直接行う必要がある部分があります。加算の区分によって扱いが変わります。

3つ目は、記録に名前が残っているかです。行った人の名前が無いと、要件を満たした人が行ったことを示せません。

職種の名前だけでなく、資格を確かめた記録も残します。採用時に免許証の写しを取っているか。加算を算定している事業所で、ここが抜けている例が実際にあります。

集団の体操と何が違うか

個別機能訓練は、全員で同じ体操をする時間とは別のものです。ここを混同すると、記録が実態と合わなくなります。

違いは3つあります。

1つ目は、目標が人ごとに違うことです。同じ動きをしていても、その人の目標に向かっているかで見ます。

2つ目は、内容が計画に書かれていることです。その日に思いついた運動ではなく、計画に沿った内容になっているかです。

3つ目は、記録が人ごとに残ることです。「全員で体操を実施」という記録は、個別機能訓練の記録にはなりません。

集団の形で行うこと自体は否定されていません。同じ場で行っていても、人ごとに目標と内容と結果が残っていれば構わないとされています。ただし要件は加算の区分ごとに違うので、算定の前に所轄の市町村に確かめてください。

目標を生活の場面に置く

個別機能訓練の目標は、体の機能ではなく生活の場面に置くと続きます。

置き方は3つです。

1つ目は、やりたいことから決めることです。「孫の家まで歩いて行きたい」「自分でトイレに行きたい」。本人の言葉から始めます。

2つ目は、そこから必要な動きに分けることです。歩く距離、段差を越える、立ち座り。動きに分けてはじめて訓練の内容が決まります。

3つ目は、測る形にすることです。距離、回数、秒数。数字にしないと、届いたかどうかが分かりません。

生活の場面に置いた目標は、家族にも説明できます。「大腿四頭筋の筋力向上」では家族に伝わりません。「トイレまで自分で行けるように」なら伝わります。

目標は、長期と短期に分けます。長期は3か月から6か月、短期は1か月から3か月。短期の目標が届いたら次に進む形にすると、記録に動きが出ます。

中止したときの記録

訓練は、その日に行えない場面が出ます。行えなかった日の記録が、実は算定のときに効いてきます。

残すことは3つです。

1つ目は、行えなかった理由です。体調不良、受診、本人の拒否。事実だけを書きます。

2つ目は、代わりに何をしたかです。軽い内容に変えた、見守りだけにした。変えたなら変えた内容を書きます。

3つ目は、続いたときの対応です。拒否が続くなら、内容が合っていない可能性があります。計画の見直しにつなげます。

行えなかった日を空欄にすると、実施の回数が数えられません。加算は回数や頻度の要件があるものが多くあります。空欄の日が何なのか分からない状態が、いちばん困ります。

まとめ

個別機能訓練計画書は、利用者ごとに目標と訓練の内容を決めた計画で、個別機能訓練加算の要件になります。

計画があるだけでは足りません。計画に沿って実施し、記録に残し、定期的に評価する。この一連がそろって要件を満たします。

目標は、生活の場面と動作に落とします。「下肢筋力の向上」で止めず、「手すりを使って浴室の段差をまたげる」まで書くと、記録につながります。

実施の記録は、日々の記録に埋もれさせず、欄を分けます。行わなかった日も記録します。加算の要件は改定で変わるため、所管の自治体に確かめるのが確実です。

点検表テンプレート
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実際に使える様式が必要な方へ

個別機能訓練計画書のExcelの様式が、商い屋の介護向けのページにあります。実施の記録と評価の欄が入った形です。

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よくある質問

Q. 計画は誰が作りますか。 A. 機能訓練指導員をはじめ、関わる職種が共同で作る形が求められます。誰が作成に関わったかを記録に残します。加算の区分によって求められる職種が変わるため、自社が算定している区分で確かめます。

Q. 本人の希望が「特にない」と言われたら。 A. 過去の暮らし方から聞きます。「どんなお仕事を」「休みの日は何を」。今できないことより、昔できたことから入ると出てきます。それでも出ない場合は、家族から聞き、その旨を記録に残します。

Q. 訓練を行わなかった日の記録は要りますか。 A. 残しておくほうが安全です。体調不良や本人の希望で中止した場合、その理由を書きます。空白だと、実施していないのか書き忘れたのかが区別できません。中止が続く場合は、計画の見直しの材料になります。

Q. 評価はどれくらいの頻度で行いますか。 A. 短期目標の期間に合わせる形が一般的で、3か月程度で設定されることが多くあります。加算の区分によって求められる頻度が異なる場合があります。所管の自治体の案内で確かめます。

Q. ケアプランの目標と違ってもよいですか。 A. 食い違うのは避けます。ケアプランの目標のうち、自社が担う部分を受けて具体化する形にします。違いが出たら、サービス担当者会議で調整します。両方が別々に動くのは本来おかしい形です。

Q. 同意は毎回必要ですか。 A. 計画を作成したとき、変更したときに説明と同意が求められます。同意の日付が計画の日付より前になっていないかも確かめます。署名をもらう形が一般的です。

Q. 集団で行う体操は、個別機能訓練になりますか。 A. 加算の区分によって扱いが変わります。個別の目標に沿って行われているか、記録に個別の実施が残っているかが見られます。集団の体操をそのまま記録しているだけだと、要件を満たさない場合があります。

Q. 機能訓練指導員が不在の日は、どうしますか。 A. 配置の要件を満たしていない日があると、算定に影響することがあります。勤務の記録と、加算の算定の期間が対応しているかを確かめます。不在が続く見込みなら、算定そのものを見直します。

Q. 記録の様式は、どこで手に入りますか。 A. 様式が示されているものがあります。自治体や事業者団体が公開しているものもあります。実施の記録と評価の欄が一体になっている様式のほうが、つながりを示しやすくなります。

Q. 返還を求められるのは、どんな場合ですか。 A. 計画が無い、実施の記録が無い、計画と記録が対応していない、人員や体制の要件を満たしていない。この4つが多い形です。月ごとに記録がそろっているかを確かめる時間を、月末に取っておくと防げます。

Q. 個別機能訓練計画書は、ケアプランとは別に作りますか。 A. 別に作ります。ケアプランの目標と矛盾しないようにそろえたうえで、訓練の内容と目標を具体的に書きます。両方の写しを同じファイルに並べておくと、つながりをその場で示せます。

Q. 計画の同意は誰から取りますか。 A. 本人から取ります。本人の同意が難しい場合の扱いは事業所の規程と保険者の運用によります。所轄の市町村に確かめてください。同意した日を記録に残すことは、どの形でも共通です。

Q. 訓練の記録は毎回書きますか。 A. 実施した日ごとに書きます。まとめて月末に書くと、実施していない日との区別がつきません。1日1行で構わないので、その日のうちに残す形にします。

Q. 加算の区分が変わったら、記録の様式も変えますか。 A. 要件が変われば必要な記録も変わります。区分を変える前に、新しい区分で求められる記録を確かめてください。算定を始めてから様式を直すと、始めの数か月が要件を満たさない形になります。

Q. 訓練の効果が出ないときは、加算を取り下げますか。 A. 効果が出ないこと自体が算定の可否を決めるわけではありません。ただし同じ内容を効果の確認なしに続けていると、計画が形だけになります。3か月ごとに見直して、内容を変えた記録を残してください。

Q. 訓練の内容は、理学療法士でなくても決められますか。 A. 計画の作成に機能訓練指導員が関わることが求められているとされています。指導員になれる職種は定められているので、自事業所の配置で要件を満たすかを所轄の市町村に確かめてください。

Q. 送迎の時間に訓練を行ってもよいですか。 A. 提供時間の数え方は加算やサービスの区分で扱いが違います。判断に迷うものは所轄の市町村に確かめてください。記録には、訓練を行った時間帯をはっきり書いておきます。