介護の記録書き方2026.08.27 公開KK-73

訪問看護計画書|指示書から目標に落とす

目次

主治医の指示書は届いている。訪問もしている。それなのに訪問看護計画書の目標の欄が「病状の安定」で毎月同じ。評価のしようがない目標が続いている事業所は多くあります。

この記事では、訪問看護計画書を、指示書との関係・目標の立て方・見直しの3つに分けて整理します。様式の説明ではなく、指示書の内容を、看護の目標に落とす手順を中心に書きます。

介護記録のExcelの様式が、商い屋の介護向けのページにあります。訪問時の記録に使えます。

結論:指示書と計画書は別のもの

訪問看護計画書とは、主治医の指示書と、実際に訪問して見た療養の状況をもとに、看護の目標と内容を書いた計画です。

指示書を書くのは主治医、計画書を作るのは訪問看護事業所です。指示書の内容をそのまま写すものではありません。

指示書と計画書は別のもの指示書主治医が書く医療の方針期間がある計画書事業所が作る看護として何をするか状態と突き合わせる
指示書と訪問看護計画書で、作る人と書く内容が違うことを並べた比較の図

ポイントはここです。指示書は医療の方針、計画書は看護として何をするかです。指示書に「血糖のコントロール」とあれば、計画書には「毎回の訪問で血糖値を測り、食事の内容を聞き取る」まで書きます。

厚生労働省が記載の要領を示しています。様式に迷ったときは、そちらを確かめてください。

計画書に書く6つ

書くのは6つです。

1つ目は、利用者の基本の情報です。氏名、生年月日、要介護度、主たる傷病。

2つ目は、今の状態です。訪問して見た療養の状況。

3つ目は、看護の目標です。指示書と状態を踏まえて設定します。

4つ目は、問題点と解決の方法です。何が起きていて、どう関わるか。

5つ目は、評価の時期です。

6つ目は、リハビリテーションを行う場合はその内容です。

計画書に書く4項目項目書き方今の状態訪問して見た様子看護の目標確かめられる形で問題点と対応3つまでに絞る評価の時期何月に見るか
計画書に書く4項目と、書き方を並べた表

3つ目と4つ目が、いちばん手が止まるところです。ここを埋める手順を次に書きます。

目標は3段で作る

目標の作り方は3段です。

1つ目は、指示書を読むことです。医師が何を目指しているかを押さえます。

2つ目は、訪問して見た状態と突き合わせることです。指示書に書かれた状態と、実際が違うことはよくあります。

3つ目は、看護として関われる部分に絞ることです。医療そのものではなく、訪問看護の時間で何ができるかを書きます。

目標は3段で作る1指示書を読む医師の方針2状態と比べる実際は違うことも3関われる部分へ訪問の時間でできること
指示書を読む・状態と突き合わせる・関われる部分に絞るという3段のフロー

2つ目を飛ばさないでください。指示書は前回の受診のときの状態で書かれています。訪問したら変わっていることがあります。違いに気づいたら、その時点で主治医に伝えます。

目標は「病状の安定」ではなく、確かめられる形にします。「褥瘡の大きさが縮小する」「服薬の飲み忘れが週1回以下になる」。

問題点の書き方

問題点は、優先順位を付けて3つまでにします。

書き方の決まりは3つです。

1つ目は、観察した事実から書くことです。「食事量が半分以下の日が週3日ある」。

2つ目は、原因の見立てを分けて書くことです。「入れ歯が合っていない可能性」。

3つ目は、関わる内容を書くことです。「歯科の受診を勧め、食事の形を家族と相談する」。

3つまでに絞るのは、全部に手を出すと記録が薄くなるからです。優先度の高いものから書いて、解決したら次を足します。

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実際に使える様式が必要な方へ

介護記録のExcelの様式が、商い屋の介護向けのページにあります。訪問のたびの観察を書き留めておくと、計画の見直しが早くなります。

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誰が作り、誰が見るか

計画書を作るのは、訪問看護の看護師です。事業所の管理者が確認する形が一般的です。

渡す先は3つあります。

1つ目は、主治医です。計画書を提出します。

2つ目は、利用者と家族です。説明して同意を得ます。

3つ目は、ケアマネジャーです。介護保険のサービスと合わせるために共有します。

計画書を渡す先渡す先目的主治医方針の共有本人と家族説明と同意ケアマネジャー介護との調整
主治医・利用者と家族・ケアマネジャーという3つの渡し先を並べた表

3つ目が抜けやすいところです。医師には出しているが、ケアマネジャーには渡していない。サービス担当者会議で内容が食い違う原因になります。

渡した日を記録に残してください。誰に、いつ、どの方法で渡したか。1行で足ります。

見直しの時期

見直すのは4つの場面です。

1つ目は、指示書が新しくなったときです。

2つ目は、状態が変わったときです。

3つ目は、目標の期間が終わったときです。

4つ目は、サービスの内容を変えたときです。

1つ目が基本の周期になります。指示書には有効の期間があるので、更新のたびに計画書も見直す流れにしておくと抜けません。

見直したら、変えた部分が分かるようにします。前の計画書を捨てないでください。経過が追えなくなります。

報告書との関係

訪問看護には、計画書と別に訪問看護報告書があります。計画が先、報告が後という関係です。

分け方は単純です。

計画書には、これから何をするかを書きます。

報告書には、実際に何をして、どうだったかを書きます。

計画が先、報告が後計画書これから何をするか月の初めに目標を書く報告書実際にどうだったか月の終わりに経過を書く
計画書と報告書で、書く時点と内容が違うことを並べた比較の図

2つがつながっていないと、主治医が状況を追えません。計画に書いた目標に対して、報告でどうだったかを書く。この対応が取れていれば、医師の判断が早くなります。

医師とのやり取りを残す

訪問看護では、医師への連絡が頻繁に発生します。ここの記録が抜けると、後から経過を説明できません。

残すのは4つです。

1つ目は、連絡した日時です。

2つ目は、伝えた内容です。観察した事実。

3つ目は、医師の指示です。返ってきた内容。

4つ目は、その後の対応です。

3つ目を、言われたとおりに書いてください。要約すると、後から解釈が変わります。「様子を見る」と言われたなら、そのまま書きます。

口頭の指示で処置を変えた場合は、次の指示書に反映されているかを確かめます。反映されていないと、記録と指示が食い違ったままになります。

家族の介護力も書いておく

在宅の看護は、家族が担う部分を抜きにしては組めません。ここを計画書に書いておくと、目標の大きさが現実に合います。

見るのは4つです。

1つ目は、同居しているかです。日中だけ不在、週末だけ来る、といった形も書きます。

2つ目は、できる処置の範囲です。吸引、インスリンの注射、褥瘡の処置。教えれば行える範囲は人によって違います。

3つ目は、家族自身の体調です。高齢の配偶者が介護している場合、そちらも見ます。

4つ目は、いざというときの連絡先です。

2つ目を書いておくと、訪問の回数が決まります。家族ができる処置は家族に任せ、看護師は確認と手技の見直しに回る。この組み立てができると、限られた訪問の回数で回ります。

家族に手技を教えたら、教えた日と、できるようになった範囲を記録に残してください。後から誰が教えたかを聞かれます。

状態が急に変わったとき

訪問看護では、計画の想定から外れる日が必ず出ます。熱が出た、転んだ、食べられなくなった。

その場でやることは4つです。

1つ目は、観察した事実を書き留めることです。数値と、見たままの様子。

2つ目は、主治医に連絡することです。判断を仰ぐ前に、状況を短く伝えます。

3つ目は、家族に伝えることです。不在の家族にも、その日のうちに。

4つ目は、ケアマネジャーに連絡することです。ほかのサービスの調整が要ることがあります。

4つ目が抜けます。医療の側だけで完結させてしまい、翌日の訪問介護やデイの送迎が止められない。同じ日に動く人が全員いることを思い出してください。

落ち着いたら、計画書に反映します。その出来事があった前提で、次の1か月をどう関わるか。書き換えずに元の計画のまま進めると、記録と実際がずれていきます。

記録を短くする工夫

計画書も報告書も、毎月作ります。負担を減らす工夫が要ります。

方法は3つです。

1つ目は、前月分を写して、変わった部分だけ直すことです。

2つ目は、訪問のたびの記録から拾える形にすることです。

3つ目は、書く日を決めることです。月末にまとめると、月初が詰まります。

1つ目には注意が要ります。写したまま状態の欄が去年のまま、という計画書が実際にあります。写したら、必ず今月の状態に直すところまでを手順にしてください。

実地指導で見られるところ

見られるのは4つです。

1つ目は、指示書と計画書の対応です。指示に無い処置をしていないか。

2つ目は、同意の記録です。

3つ目は、主治医への提出です。

4つ目は、記録との一致です。計画にある内容が、訪問の記録から追えるか。

実地指導で見られる4点見られる点そろえ方指示書との対応範囲を超えない同意の記録日付と署名主治医への提出渡した日を残す記録との一致訪問の記録から追う
見られる4点と、そろえ方を並べた表

1つ目がいちばん重い指摘になります。指示書の範囲を超えた処置は、記録に残っている時点で問題になります。迷ったら、その場で医師に確かめてください。

まとめ

訪問看護計画書は、指示書の写しではありません。指示書は医療の方針、計画書は看護として何をするかです。

目標は3段で作ります。指示書を読み、訪問して見た状態と突き合わせ、看護として関われる部分に絞る。2つ目を飛ばすと、実際と合わない計画になります。

問題点は優先順位を付けて3つまで。観察した事実から書き、原因の見立てと関わる内容を分けて書きます。

渡す先は主治医、利用者と家族、ケアマネジャーの3つです。3つ目が抜けやすいところです。様式と記載の要領は厚生労働省が示しているので、迷ったらそちらを確かめてください。

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実際に使える様式が必要な方へ

介護記録のExcelの様式が、商い屋の介護向けのページにあります。訪問のたびの観察を残しておくと、計画書が早く書けます。

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よくある質問

Q. 訪問看護計画書は誰が作りますか。 A. 訪問看護の看護師です。管理者が確認する形が一般的です。

Q. 指示書と何が違いますか。 A. 指示書を書くのは主治医で、医療の方針が書かれています。計画書は事業所が作り、看護として何をするかを書きます。

Q. 指示書の内容を写してもよいですか。 A. 写すだけでは計画になりません。訪問して見た状態と突き合わせて、看護の目標に落としてください。

Q. 目標が毎月同じになります。 A. 「病状の安定」のような書き方だと評価できません。確かめられる形にしてください。「褥瘡の大きさが縮小する」といった書き方です。

Q. 問題点はいくつ書きますか。 A. 優先順位を付けて3つまでにしてください。全部に手を出すと、記録が薄くなります。

Q. 誰に渡しますか。 A. 主治医、利用者と家族、ケアマネジャーの3つです。ケアマネジャーが抜けやすいので注意してください。

Q. 主治医への提出に期限はありますか。 A. 明確な期限は定められていないのが通常です。指示書の更新に合わせる形にしておくと、流れが決まります。

Q. 同意は書面で取りますか。 A. 説明して同意を得た記録を残します。署名をもらう形が確実です。

Q. 見直しはどのくらいの頻度ですか。 A. 指示書が新しくなったとき、状態が変わったとき、目標の期間が終わったとき、内容を変えたときです。

Q. 前月分を写してもよいですか。 A. 写して構いませんが、今月の状態に直すところまでを手順にしてください。去年の状態のまま、という計画書が実際にあります。

Q. 報告書との違いは何ですか。 A. 計画書はこれから何をするか、報告書は実際に何をしてどうだったかです。計画が先、報告が後という関係です。

Q. リハビリテーションを行う場合は。 A. 計画書にその内容を書きます。誰が、どの頻度で、何を行うかを明確にしてください。

Q. 医師の口頭の指示で処置を変えました。 A. 連絡した日時、伝えた内容、医師の指示、その後の対応を記録に残します。次の指示書に反映されているかも確かめてください。

Q. 指示書の範囲を超えていないか不安です。 A. 迷ったらその場で医師に確かめてください。記録に残った時点で問題になります。

Q. 利用者が計画の内容を望みません。 A. 本人の希望を記録に残し、主治医とケアマネジャーに伝えます。計画は変えられます。

Q. 複数の看護師が訪問します。 A. 1つの計画書で構いません。誰が入っても同じ関わりができるよう、問題点と対応を具体的に書いてください。

Q. 計画書はいつ作りますか。 A. サービスを始める前に作ります。以降は指示書の更新に合わせるのが基本の形です。

Q. 家族ができる処置はどこに書きますか。 A. 計画書に書いておきます。家族ができる範囲が決まると、訪問の回数と内容が決まります。教えた日と、できるようになった範囲も記録に残してください。

Q. 家族の負担が大きそうです。 A. 家族自身の体調も含めて記録に残し、主治医とケアマネジャーに伝えてください。サービスの組み替えが要る合図です。

Q. 評価の時期はどう決めますか。 A. 目標の内容によります。1か月で見るもの、3か月で見るものがあります。計画書に評価の月を書いておくと、見直しが流れません。

Q. 介護保険と医療保険で計画書は変わりますか。 A. 制度によって様式や扱いが違う部分があります。どちらの保険で入っているかを利用者ごとにはっきりさせて、迷ったら窓口に確かめてください。

Q. 急な変化があったとき、誰に連絡しますか。 A. 主治医、家族、ケアマネジャーの3つです。ケアマネジャーが抜けやすいところで、翌日のほかのサービスが止められません。

Q. 落ち着いたあとに計画書を直しますか。 A. 直してください。その出来事があった前提で次の1か月をどう関わるかを書き換えます。元のままだと記録と実際がずれます。

Q. 保存期間はどのくらいですか。 A. 介護保険や医療の記録と同じ扱いです。自治体の条例や制度によって違うので、確かめてください。