介護の記録書き方2026.08.29 公開KK-74

訪問看護報告書|月末にためない書き方

目次

月末になると、20人分の訪問看護報告書を一気に書く。訪問の記録をさかのぼって読み返し、思い出しながら埋めていく。月末の2日が報告書で消える事業所は珍しくありません。

この記事では、訪問看護報告書を、何を書くか・いつ出すか・ためない書き方の3つに分けて整理します。様式の説明より、毎月の作業を軽くする形を中心に書きます。

介護記録のExcelの様式が、商い屋の介護向けのページにあります。訪問のたびの記録に使えます。

結論:訪問の記録から積み上げる

訪問看護報告書とは、その月に行った訪問看護の内容と、利用者の状態を主治医に報告する書類です。

計画書と対になっています。計画書がこれからのこと、報告書が実際にどうだったかです。

計画書と報告書の違い計画書これからのこと目標と内容月の初めに報告書実際にどうだったか経過と特記事項月の終わりに
計画書と報告書で、書く時点と内容が違うことを並べた比較の図

ポイントはここです。月末に思い出して書くものではありません。訪問のたびの記録から積み上げれば、月末の作業は10分で終わります。

積み上げる形にできるかどうかで、毎月の負担がまったく変わります。

報告書に書く5つ

書くのは5つです。

1つ目は、訪問した日です。日付を並べます。

2つ目は、病状の経過です。その月の状態の動き。

3つ目は、看護の内容です。行った処置と関わり。

4つ目は、家庭での療養の状況です。家族の関わり、生活の様子。

5つ目は、特記すべきことです。変化、受診、事故、相談した内容。

報告書に書く4項目項目書き方訪問した日日付を並べる病状の経過先月と比べて療養の状況家族の関わりも特記事項空欄にしない
報告書に書く4項目と、書き方を並べた表

2つ目と5つ目が、医師がいちばん見るところです。処置の一覧より、前の月と比べて何が変わったかを知りたがっています。

「変化なし」で構いません。ただし、変化なしと書けるのは、毎回の記録を見て判断したときだけです。

病状の経過は3つの軸で書く

経過の欄が埋まらないときは、軸を決めると書けます。

1つ目は、数値です。体温、血圧、体重、血糖値。動きがあった数値だけ書きます。

2つ目は、できることの変化です。歩ける距離、食べられる量、眠れる時間。

3つ目は、症状です。痛み、むくみ、息切れ、傷の状態。

経過は3つの軸で書く数値動いた数字だけできること歩ける距離・食べる量症状痛み・むくみ・傷
数値・できること・症状という3段の層の図

2つ目がいちばん医師に伝わります。検査の数値は病院でも取れますが、家でどう暮らせているかは訪問した人しか分かりません。

比べる相手は、先月の報告書です。先月の文章を横に置いて書くと、変化が自然に出てきます。

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実際に使える様式が必要な方へ

介護記録のExcelの様式が、商い屋の介護向けのページにあります。訪問のたびの記録を残しておくと、報告書がすぐ書けます。

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いつ、誰に出すか

提出先は主治医です。期限は法律で決まっていないのが通常です。

一般的な形は、月末までの内容を、翌月の初旬までに出すというものです。7日から10日までを目安にしている事業所が多くあります。

決めておくのは3つです。

1つ目は、出す日です。毎月何日までに出すか。

2つ目は、出す方法です。郵送、持参、ファクス、電子。

3つ目は、控えの残し方です。

1つ目を決めていない事業所が多くあります。期限が無いので後回しになり、気づくと2か月分たまっている、という形です。事業所として日を決めてください。

ケアマネジャーにも共有しておくと、サービス担当者会議で話が早くなります。

ためない書き方

月末にためない方法は3つです。

1つ目は、訪問のたびに1行だけ足すことです。その日の記録を書くときに、報告書の下書きに1行写します。

2つ目は、月の途中で一度見ることです。15日ごろに、それまでの分をまとめておきます。

3つ目は、利用者を分けて書くことです。月末に20人分をまとめてやらず、週ごとに5人ずつ。

ためない3段1訪問ごと1行だけ足す2月の途中15日にまとめる3週ごとに分ける5人ずつ書く
訪問ごとに1行・月の途中で一度・週ごとに分けるという3段のフロー

1つ目がいちばん効きます。書くのは1行です。「体温37度台が3日続いた」「食事の量が戻った」。月末には、その行を並べ替えて文章にするだけです。

記録のソフトを使っているなら、報告書に自動で拾える項目があるかを販売元に確かめてください。手で写している部分が減ります。

書く時間をどこに置くか

報告書を書く時間は、訪問と訪問のあいだに置くのがいちばん現実的です。事業所に戻ってからでは、次の用事が入ります。

置き方は3つあります。

1つ目は、訪問の直後に車の中で書くことです。1行で足りるので、5分もかかりません。

2つ目は、午前の訪問が終わった昼に、まとめて書くことです。

3つ目は、週に1回、時間を取ることです。

1つ目ができると、いちばん楽になります。記憶が新しいので、書く内容に迷いません。思い出す時間が、書く時間より長いというのが、月末にためたときの正体です。

事業所として、この時間を勤務の中に入れてください。記録を書く時間が勤務に入っていないと、持ち帰りになります。

報告書が使われる場面

報告書は、出して終わりではありません。次の3つの場面で使われます。

1つ目は、指示書の更新です。医師が次の指示を出すときの材料になります。

2つ目は、サービス担当者会議です。ほかの職種が状態を知る手がかりになります。

3つ目は、入院や受診のときです。病院に経過を伝える材料になります。

3つ目のときに価値が出ます。救急で運ばれたとき、直近の報告書があると、経過を短く説明できます。報告書の控えを、すぐ出せる場所に置いておいてください。

使われる場面を知っていると、書き方が変わります。誰かがこれを読んで判断するという前提で書くと、埋めるだけの文章になりません。

特記事項に書くこと

特記すべきことの欄は、空欄にしないでください。空欄の月が続くと、何も起きなかったのか、書き漏らしたのかが分かりません。

書くのは4つです。

1つ目は、受診や入院です。日付と結果。

2つ目は、医師に相談した内容と指示です。

3つ目は、事故やひやりとした場面です。

4つ目は、家族からの相談です。

特記事項に書く4つ書くこと抜けやすい点受診や入院日付と結果医師への相談返ってきた指示事故やひやり小さい件も家族の相談そのままの言葉
特記事項に書く4つと、書き漏らしやすい点を並べた表

2つ目を必ず書いてください。電話で指示をもらった内容は、報告書に残しておかないと、次の受診のときに医師の手元にありません。

何も無ければ「特記事項なし」と書きます。書いたという事実が残ります。

家族の様子も書く

在宅の療養では、家族の状態が本人の状態に直結します。

書くのは3つです。

1つ目は、介護している人の体調です。

2つ目は、介護の負担の変化です。夜間の対応が増えた、など。

3つ目は、家族から出た不安です。

3つ目は、そのままの言葉で書いてください。「このまま家で見られるか不安」という一言が、医師やケアマネジャーの判断を変えることがあります。

家族の話を聞く時間は、訪問のたびに5分もありません。帰り際の一言を書き留めるだけで足ります。

3か月に1度、まとめて読み返す

毎月出していると、1か月ごとの小さな変化しか見えなくなります。3か月に1度、まとめて読み返す時間を取ってください。

読み返すと分かるのは3つです。

1つ目は、ゆっくり進む変化です。体重が毎月200グラムずつ減っている、といった動き。1か月では気づけません。

2つ目は、繰り返している出来事です。同じ理由の発熱、同じ時期の転倒。

3つ目は、書いていないことです。3か月分を並べると、空白の欄が目立ちます。

1つ目がいちばん価値があります。在宅の方の状態は、階段ではなく坂で落ちます。月ごとの報告では坂に見えません。

気づいたことは、次の報告書の特記事項に書いてください。「3か月で体重が0.6キロ減少」と1行あるだけで、医師の見方が変わります。

医師から返事が来ないとき

報告書を出しても、反応が無いことがあります。それ自体は珍しくありません。

確かめるのは3つです。

1つ目は、届いているかです。ファクスなら送信の控え、郵送なら投函の記録。

2つ目は、急ぎの内容が混ざっていないかです。報告書に書いた内容で、返事が要るものがあるなら電話します。

3つ目は、次の指示書に反映されているかです。

2つ目が大事です。報告書は報告であって、相談ではありません。返事が欲しい内容は、別に電話で伝えてください。報告書に書いたから伝わっている、と考えると危ない場面があります。

記録と報告書がずれないようにする

報告書は、訪問の記録から作ります。両方が食い違うと、どちらが正しいか分かりません。

防ぎ方は3つです。

1つ目は、記録を先に完成させることです。

2つ目は、報告書を書くときに記録を開くことです。

3つ目は、書いた後に日付を突き合わせることです。訪問した日の数が合っているか。

3つ目で気づく間違いがあります。訪問した回数と、記録の件数と、請求の回数。この3つが合っているかを月末に見てください。

実地指導で見られるところ

見られるのは4つです。

1つ目は、計画書との対応です。計画の目標に対して、報告があるか。

2つ目は、提出の実績です。主治医に出しているか。

3つ目は、訪問の記録との一致です。

4つ目は、特記事項の内容です。

実地指導で見られる4点見られる点そろえ方計画書との対応目標の言葉を使う提出の実績送った控えを残す記録との一致訪問の回数を合わせる特記事項空欄を作らない
見られる4点と、そろえ方を並べた表

1つ目がいちばん見られます。計画に書いた目標と、報告書の経過がつながっていない。目標の言葉を報告書にも使うだけで、対応が取れます。

まとめ

訪問看護報告書は、月末に思い出して書くものではありません。訪問のたびに1行足す形にすれば、月末の作業は10分で終わります。

書くのは5つ。訪問した日、病状の経過、看護の内容、家庭での療養の状況、特記すべきこと。医師がいちばん見るのは、経過と特記事項です。

経過は3つの軸で書きます。数値、できることの変化、症状。2つ目は訪問した人にしか分かりません。

提出は主治医へ。期限は定められていないのが通常なので、事業所として出す日を決めてください。決めていない事業所は、気づくと2か月分たまります。

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実際に使える様式が必要な方へ

介護記録のExcelの様式が、商い屋の介護向けのページにあります。訪問のたびの記録から報告書を組み立ててください。

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よくある質問

Q. 訪問看護報告書は誰に出しますか。 A. 主治医です。ケアマネジャーにも共有しておくと、サービス担当者会議で話が早くなります。

Q. 提出の期限はありますか。 A. 法律で定められていないのが通常です。月末までの内容を翌月の初旬までに出す形が一般的で、7日から10日を目安にしている事業所が多くあります。

Q. 計画書と何が違いますか。 A. 計画書はこれから何をするか、報告書は実際に何をしてどうだったかです。

Q. 病状の経過が書けません。 A. 数値、できることの変化、症状の3つの軸で書いてください。先月の報告書を横に置くと、変化が出てきます。

Q. 変化がない月はどう書きますか。 A. 「変化なし」で構いません。ただし、毎回の記録を見たうえで判断してください。

Q. 月末の作業が重すぎます。 A. 訪問のたびに1行だけ足す形にしてください。月末には並べ替えて文章にするだけです。

Q. 特記事項に書くことがありません。 A. 「特記事項なし」と書いてください。空欄にすると、書き漏らしと区別がつきません。

Q. 医師に電話で相談した内容も書きますか。 A. 書いてください。報告書に残さないと、次の受診のときに医師の手元にありません。

Q. 医師から返事が来ません。 A. 報告書は報告であって相談ではありません。返事が欲しい内容は別に電話で伝えてください。

Q. 家族の様子も書きますか。 A. 書いてください。介護している人の体調、負担の変化、出た不安の3つです。不安はそのままの言葉で書きます。

Q. 記録と報告書がずれていました。 A. 記録を先に完成させ、報告書を書くときに記録を開いてください。訪問の回数、記録の件数、請求の回数の3つが合っているかも見ます。

Q. 前月分を写してもよいですか。 A. 構いませんが、今月の内容に直すところまでを手順にしてください。写したままの報告書は、読めば分かります。

Q. 利用者が入院した月は。 A. 入院した日までの内容を書き、入院の事実を特記事項に残します。退院後の再開の予定も書いておくと、次につながります。

Q. 看取りの時期はどう書きますか。 A. 状態の変化と、本人や家族の意向を残してください。看取りの記録の考え方と合わせて書きます。

Q. 複数の看護師が訪問しています。 A. 1つの報告書にまとめます。誰が書いたかを記録に残し、内容に食い違いが無いかを確かめてください。

Q. ファクスで送っても控えは要りますか。 A. 送信の控えを残してください。届いているかを確かめる手段になります。

Q. 報告書の保存期間は。 A. 介護保険や医療の記録と同じ扱いです。制度や自治体によって違うので確かめてください。

Q. 訪問の回数が計画と違いました。 A. 実際に行った回数を書きます。計画と違う理由を特記事項に1行添えてください。休みや入院で減ることは普通にあります。

Q. 3か月分を読み返す意味はありますか。 A. ゆっくり進む変化が見えます。在宅の方の状態は階段ではなく坂で落ちます。月ごとの報告では坂に見えません。

Q. 書く時間が勤務に入っていません。 A. 事業所として勤務の中に入れてください。入っていないと持ち帰りになります。訪問の直後に1行なら5分で終わります。

Q. 報告書に写真を付けてもよいですか。 A. 傷の経過などは写真があると伝わります。本人の同意を得てから撮り、取り扱いの決まりを作ってください。

Q. ソフトから自動で作れますか。 A. 販売元に確かめてください。訪問の記録から拾える項目があれば、手で写す部分が減ります。