訪問看護報告書|月末にためない書き方
目次
月末になると、20人分の訪問看護報告書を一気に書く。訪問の記録をさかのぼって読み返し、思い出しながら埋めていく。月末の2日が報告書で消える事業所は珍しくありません。
この記事では、訪問看護報告書を、何を書くか・いつ出すか・ためない書き方の3つに分けて整理します。様式の説明より、毎月の作業を軽くする形を中心に書きます。
結論:訪問の記録から積み上げる
訪問看護報告書とは、その月に行った訪問看護の内容と、利用者の状態を主治医に報告する書類です。
計画書と対になっています。計画書がこれからのこと、報告書が実際にどうだったかです。
ポイントはここです。月末に思い出して書くものではありません。訪問のたびの記録から積み上げれば、月末の作業は10分で終わります。
積み上げる形にできるかどうかで、毎月の負担がまったく変わります。
報告書に書く5つ
書くのは5つです。
1つ目は、訪問した日です。日付を並べます。
2つ目は、病状の経過です。その月の状態の動き。
3つ目は、看護の内容です。行った処置と関わり。
4つ目は、家庭での療養の状況です。家族の関わり、生活の様子。
5つ目は、特記すべきことです。変化、受診、事故、相談した内容。
2つ目と5つ目が、医師がいちばん見るところです。処置の一覧より、前の月と比べて何が変わったかを知りたがっています。
「変化なし」で構いません。ただし、変化なしと書けるのは、毎回の記録を見て判断したときだけです。
病状の経過は3つの軸で書く
経過の欄が埋まらないときは、軸を決めると書けます。
1つ目は、数値です。体温、血圧、体重、血糖値。動きがあった数値だけ書きます。
2つ目は、できることの変化です。歩ける距離、食べられる量、眠れる時間。
3つ目は、症状です。痛み、むくみ、息切れ、傷の状態。
2つ目がいちばん医師に伝わります。検査の数値は病院でも取れますが、家でどう暮らせているかは訪問した人しか分かりません。
比べる相手は、先月の報告書です。先月の文章を横に置いて書くと、変化が自然に出てきます。
いつ、誰に出すか
提出先は主治医です。期限は法律で決まっていないのが通常です。
一般的な形は、月末までの内容を、翌月の初旬までに出すというものです。7日から10日までを目安にしている事業所が多くあります。
決めておくのは3つです。
1つ目は、出す日です。毎月何日までに出すか。
2つ目は、出す方法です。郵送、持参、ファクス、電子。
3つ目は、控えの残し方です。
1つ目を決めていない事業所が多くあります。期限が無いので後回しになり、気づくと2か月分たまっている、という形です。事業所として日を決めてください。
ケアマネジャーにも共有しておくと、サービス担当者会議で話が早くなります。
ためない書き方
月末にためない方法は3つです。
1つ目は、訪問のたびに1行だけ足すことです。その日の記録を書くときに、報告書の下書きに1行写します。
2つ目は、月の途中で一度見ることです。15日ごろに、それまでの分をまとめておきます。
3つ目は、利用者を分けて書くことです。月末に20人分をまとめてやらず、週ごとに5人ずつ。
1つ目がいちばん効きます。書くのは1行です。「体温37度台が3日続いた」「食事の量が戻った」。月末には、その行を並べ替えて文章にするだけです。
記録のソフトを使っているなら、報告書に自動で拾える項目があるかを販売元に確かめてください。手で写している部分が減ります。
書く時間をどこに置くか
報告書を書く時間は、訪問と訪問のあいだに置くのがいちばん現実的です。事業所に戻ってからでは、次の用事が入ります。
置き方は3つあります。
1つ目は、訪問の直後に車の中で書くことです。1行で足りるので、5分もかかりません。
2つ目は、午前の訪問が終わった昼に、まとめて書くことです。
3つ目は、週に1回、時間を取ることです。
1つ目ができると、いちばん楽になります。記憶が新しいので、書く内容に迷いません。思い出す時間が、書く時間より長いというのが、月末にためたときの正体です。
事業所として、この時間を勤務の中に入れてください。記録を書く時間が勤務に入っていないと、持ち帰りになります。
報告書が使われる場面
報告書は、出して終わりではありません。次の3つの場面で使われます。
1つ目は、指示書の更新です。医師が次の指示を出すときの材料になります。
2つ目は、サービス担当者会議です。ほかの職種が状態を知る手がかりになります。
3つ目は、入院や受診のときです。病院に経過を伝える材料になります。
3つ目のときに価値が出ます。救急で運ばれたとき、直近の報告書があると、経過を短く説明できます。報告書の控えを、すぐ出せる場所に置いておいてください。
使われる場面を知っていると、書き方が変わります。誰かがこれを読んで判断するという前提で書くと、埋めるだけの文章になりません。
特記事項に書くこと
特記すべきことの欄は、空欄にしないでください。空欄の月が続くと、何も起きなかったのか、書き漏らしたのかが分かりません。
書くのは4つです。
1つ目は、受診や入院です。日付と結果。
2つ目は、医師に相談した内容と指示です。
3つ目は、事故やひやりとした場面です。
4つ目は、家族からの相談です。
2つ目を必ず書いてください。電話で指示をもらった内容は、報告書に残しておかないと、次の受診のときに医師の手元にありません。
何も無ければ「特記事項なし」と書きます。書いたという事実が残ります。
家族の様子も書く
在宅の療養では、家族の状態が本人の状態に直結します。
書くのは3つです。
1つ目は、介護している人の体調です。
2つ目は、介護の負担の変化です。夜間の対応が増えた、など。
3つ目は、家族から出た不安です。
3つ目は、そのままの言葉で書いてください。「このまま家で見られるか不安」という一言が、医師やケアマネジャーの判断を変えることがあります。
家族の話を聞く時間は、訪問のたびに5分もありません。帰り際の一言を書き留めるだけで足ります。
3か月に1度、まとめて読み返す
毎月出していると、1か月ごとの小さな変化しか見えなくなります。3か月に1度、まとめて読み返す時間を取ってください。
読み返すと分かるのは3つです。
1つ目は、ゆっくり進む変化です。体重が毎月200グラムずつ減っている、といった動き。1か月では気づけません。
2つ目は、繰り返している出来事です。同じ理由の発熱、同じ時期の転倒。
3つ目は、書いていないことです。3か月分を並べると、空白の欄が目立ちます。
1つ目がいちばん価値があります。在宅の方の状態は、階段ではなく坂で落ちます。月ごとの報告では坂に見えません。
気づいたことは、次の報告書の特記事項に書いてください。「3か月で体重が0.6キロ減少」と1行あるだけで、医師の見方が変わります。
医師から返事が来ないとき
報告書を出しても、反応が無いことがあります。それ自体は珍しくありません。
確かめるのは3つです。
1つ目は、届いているかです。ファクスなら送信の控え、郵送なら投函の記録。
2つ目は、急ぎの内容が混ざっていないかです。報告書に書いた内容で、返事が要るものがあるなら電話します。
3つ目は、次の指示書に反映されているかです。
2つ目が大事です。報告書は報告であって、相談ではありません。返事が欲しい内容は、別に電話で伝えてください。報告書に書いたから伝わっている、と考えると危ない場面があります。
記録と報告書がずれないようにする
報告書は、訪問の記録から作ります。両方が食い違うと、どちらが正しいか分かりません。
防ぎ方は3つです。
1つ目は、記録を先に完成させることです。
2つ目は、報告書を書くときに記録を開くことです。
3つ目は、書いた後に日付を突き合わせることです。訪問した日の数が合っているか。
3つ目で気づく間違いがあります。訪問した回数と、記録の件数と、請求の回数。この3つが合っているかを月末に見てください。
実地指導で見られるところ
見られるのは4つです。
1つ目は、計画書との対応です。計画の目標に対して、報告があるか。
2つ目は、提出の実績です。主治医に出しているか。
3つ目は、訪問の記録との一致です。
4つ目は、特記事項の内容です。
1つ目がいちばん見られます。計画に書いた目標と、報告書の経過がつながっていない。目標の言葉を報告書にも使うだけで、対応が取れます。
まとめ
訪問看護報告書は、月末に思い出して書くものではありません。訪問のたびに1行足す形にすれば、月末の作業は10分で終わります。
書くのは5つ。訪問した日、病状の経過、看護の内容、家庭での療養の状況、特記すべきこと。医師がいちばん見るのは、経過と特記事項です。
経過は3つの軸で書きます。数値、できることの変化、症状。2つ目は訪問した人にしか分かりません。
提出は主治医へ。期限は定められていないのが通常なので、事業所として出す日を決めてください。決めていない事業所は、気づくと2か月分たまります。
よくある質問
Q. 訪問看護報告書は誰に出しますか。 A. 主治医です。ケアマネジャーにも共有しておくと、サービス担当者会議で話が早くなります。
Q. 提出の期限はありますか。 A. 法律で定められていないのが通常です。月末までの内容を翌月の初旬までに出す形が一般的で、7日から10日を目安にしている事業所が多くあります。
Q. 計画書と何が違いますか。 A. 計画書はこれから何をするか、報告書は実際に何をしてどうだったかです。
Q. 病状の経過が書けません。 A. 数値、できることの変化、症状の3つの軸で書いてください。先月の報告書を横に置くと、変化が出てきます。
Q. 変化がない月はどう書きますか。 A. 「変化なし」で構いません。ただし、毎回の記録を見たうえで判断してください。
Q. 月末の作業が重すぎます。 A. 訪問のたびに1行だけ足す形にしてください。月末には並べ替えて文章にするだけです。
Q. 特記事項に書くことがありません。 A. 「特記事項なし」と書いてください。空欄にすると、書き漏らしと区別がつきません。
Q. 医師に電話で相談した内容も書きますか。 A. 書いてください。報告書に残さないと、次の受診のときに医師の手元にありません。
Q. 医師から返事が来ません。 A. 報告書は報告であって相談ではありません。返事が欲しい内容は別に電話で伝えてください。
Q. 家族の様子も書きますか。 A. 書いてください。介護している人の体調、負担の変化、出た不安の3つです。不安はそのままの言葉で書きます。
Q. 記録と報告書がずれていました。 A. 記録を先に完成させ、報告書を書くときに記録を開いてください。訪問の回数、記録の件数、請求の回数の3つが合っているかも見ます。
Q. 前月分を写してもよいですか。 A. 構いませんが、今月の内容に直すところまでを手順にしてください。写したままの報告書は、読めば分かります。
Q. 利用者が入院した月は。 A. 入院した日までの内容を書き、入院の事実を特記事項に残します。退院後の再開の予定も書いておくと、次につながります。
Q. 看取りの時期はどう書きますか。 A. 状態の変化と、本人や家族の意向を残してください。看取りの記録の考え方と合わせて書きます。
Q. 複数の看護師が訪問しています。 A. 1つの報告書にまとめます。誰が書いたかを記録に残し、内容に食い違いが無いかを確かめてください。
Q. ファクスで送っても控えは要りますか。 A. 送信の控えを残してください。届いているかを確かめる手段になります。
Q. 報告書の保存期間は。 A. 介護保険や医療の記録と同じ扱いです。制度や自治体によって違うので確かめてください。
Q. 訪問の回数が計画と違いました。 A. 実際に行った回数を書きます。計画と違う理由を特記事項に1行添えてください。休みや入院で減ることは普通にあります。
Q. 3か月分を読み返す意味はありますか。 A. ゆっくり進む変化が見えます。在宅の方の状態は階段ではなく坂で落ちます。月ごとの報告では坂に見えません。
Q. 書く時間が勤務に入っていません。 A. 事業所として勤務の中に入れてください。入っていないと持ち帰りになります。訪問の直後に1行なら5分で終わります。
Q. 報告書に写真を付けてもよいですか。 A. 傷の経過などは写真があると伝わります。本人の同意を得てから撮り、取り扱いの決まりを作ってください。
Q. ソフトから自動で作れますか。 A. 販売元に確かめてください。訪問の記録から拾える項目があれば、手で写す部分が減ります。