事故防止検討委員会とは?30分で回す議題の型
目次
委員会は開いている。ところが議題がその月の事故の読み上げだけで終わり、30分が過ぎる。何も決まらないまま次の月が来る。多くの事業所が同じところで止まっています。
この記事では、事故防止検討委員会を、求められること・議題の型・続け方の3つに分けて整理します。読み終えたときに、自社の委員会を30分で回せる状態を目指します。
結論:委員会・指針・研修・担当者の4点で1組
事故防止検討委員会とは、事故の発生や再発を防ぐために、定期的に開く会議のことです。介護保険の運営基準で求められています。
求められているのは委員会だけではありません。事故の発生や再発を防止するための指針、職員への研修、担当者の配置とあわせて4点で1組になっています。
ポイントはここです。事故が起きていない月でも開きます。開催の記録が残っていないと、体制が無いものとして扱われます。
身体拘束適正化委員会、虐待防止委員会、感染症対策委員会と同じ作りです。合同で開ける場合があるので、まとめて日を取ると回しやすくなります。
議題の型
その月の事故の読み上げだけだと、時間が余るか、逆に何も決まりません。型を決めておきます。5つです。
1つ目は、今月の発生の状況です。件数と、内容の傾向。件数がゼロでも「ゼロだった」と記録します。
2つ目は、1件の掘り下げです。その月の中から1件選んで、原因を下ろします。全部を扱おうとしないことが要点です。
3つ目は、前回の対策の確認です。前の月に決めたことが実行されたか。
4つ目は、ヒヤリハットの傾向です。同じ内容がくり返し出ていないか。
5つ目は、研修と指針の確認です。次の研修の予定、指針の見直しの要否。
3つ目がいちばん効きます。決めたことを確かめる場が無いと、決めても実行されません。議事録の冒頭に、前回の対策を書いておく形にすると、自然に確認できます。
30分の配分
時間を決めておくと、終わります。配分の目安は次のとおりです。
発生の状況の共有に5分。数字と傾向だけ。1件ずつ読み上げると時間が足りません。
1件の掘り下げに15分。なぜを3回下ろすか、人・物・方法・管理の4つの側から見ます。
前回の対策の確認に5分。やったかどうかだけ。
その他に5分。研修、指針、ヒヤリハットの傾向。
掘り下げに15分を確保するのが要点です。ここが短いと、「気をつけましょう」で終わります。
時間内に決まらなければ、次回に持ち越すと決めておきます。無理に結論を出すと、実行されない対策が増えます。
誰を入れるか
委員会の構成は、事業所の規模によって変わります。入れておきたいのは4つの立場です。
管理者。決める権限がある人。
現場の職員。実際に介護をしている人。入っていないと、回らない対策が決まります。
看護職。医療の側から見られる人。
相談員やケアマネ。家族や外部との関係を知っている人。
小規模な事業所では、全員が参加する形もあります。人数が少ないほど、委員会と申し送りの区別が曖昧になります。議事録を残すことで、委員会として開いたことを示します。
現場の職員は、持ち回りにすると全員が一度は参加します。参加すると、報告の意味が分かるので、レポートが出やすくなります。
議事録に書くこと
議事録は、開いたことを示す唯一の証拠です。書く項目は6つです。
開催の日時と場所。
出席者。氏名と職種。
議題。何を扱ったか。
検討の内容。どういう話が出たか。結論だけでなく、途中の話も少し残します。
決めたこと。誰が、いつまでに、何をするか。
次回の予定。日付を入れておきます。
抜けやすいのは「決めたこと」の主語と期限です。「注意を促す」では、誰が何をするか分かりません。
保存の期間は、介護保険の記録の保存に合わせる形が一般的です。完結の日から2年が国の基準で、条例で5年としている自治体があります。
指針に書くこと
委員会とあわせて、指針が求められます。書く内容はおおむね決まっています。
事故防止に関する基本的な考え方。
委員会その他の組織に関すること。
職員研修に関すること。
事故が発生した場合の対応。
報告の体制。
再発防止のための手順。
指針は、ひな形から作れます。自社の建物や体制に合わせて削る作業が要ります。
作った後、発生したときに開くものとして置き場所を決めます。事務室の書棚の奥にあると、使われません。
研修をどう組むか
研修も4点のうちの1つです。回数は事業所の区分によって定められています。
年間の計画に入れておくと抜けません。委員会の議題の5つ目に「次の研修の予定」を入れておくと、毎月確かめられます。
内容は、指針の読み合わせ、その年に起きた事故の共有、他の事業所の事例など。自社で起きたことを扱うと、いちばん残ります。
新しく入った職員には、採用時に行う形が求められる場合があります。年間の計画に、採用時の分も入れておきます。
記録には、実施した日、内容、参加者、講師を残します。参加できなかった人へのフォローも記録しておくと、全員に行き渡ったことが示せます。
担当者を置く
4点目が、事故防止のための担当者です。誰が担うかを決めて、記録に残します。
担当者の仕事は、委員会の準備、記録の取りまとめ、対策の進み具合の確認が中心になります。
管理者が兼ねている事業所が多くありますが、現場の職員を担当にする形もあります。現場から見える課題が議題に上がりやすくなります。
担当者が辞めたときのことも考えておきます。1人しか分かっていない状態にしないよう、議事録と様式を共有の場所に置きます。
続かない委員会の直し方
開催が飛ぶ、議題が埋まらない、決めたことが実行されない。よくある3つの詰まり方に、それぞれ手があります。
開催が飛ぶ場合。日を固定します。「毎月第3火曜の15時」と決めて、年間の予定表に入れておきます。他の委員会と合同にするのも手です。
議題が埋まらない場合。型の5つを毎回使います。発生がゼロでも、前回の対策の確認とヒヤリハットの傾向は必ずあります。
決めたことが実行されない場合。対策が大きすぎることが多くあります。主語・期限・確かめ方が入っているかを、決めるときに確かめます。
3つとも、型を決めておけば起きにくくなります。毎回ゼロから考えていると、忙しい月に飛びます。
議事録を次につなげる
議事録を書きっぱなしにすると、次の委員会で前回の話が出てきません。つなげる工夫が3つあります。
1つ目は、議事録の冒頭に前回の決めごとを書くことです。次の委員会の資料として、そのまま使えます。
2つ目は、番号を振ることです。決めたことに通し番号を付けると、どれが済んでどれが残っているかが分かります。
3つ目は、置き場所を決めることです。過去の議事録がすぐ出せる場所に。
1つ目だけでも効きます。前回の決めごとが書いてあれば、確認しないと議事が進みません。
年に1回、1年分の議事録を並べて見ます。同じ議題がくり返し出ているなら、手が打てていないということです。
委員会の決定を現場に届ける
事故防止検討委員会でいちばん多い詰まりは、決めたことが現場に届かないことです。
届ける形は4つあります。
1つ目は、決定を3つ以内に絞ることです。多いと伝わりません。
2つ目は、その場で紙にすることです。議事録を作ってから配ると、届くのが1週間後になります。会議の最後の5分で、決定だけを1枚にします。
3つ目は、口頭でも伝えることです。申し送りで、委員が自分の言葉で伝えます。
4つ目は、次の委員会で確かめることです。やられているかを見に行った結果を持ち寄ります。
4つ目が無いと、決定が積み上がるだけになります。前回の決定の確認を、議題の1番目に固定してください。新しい事故の話から始めると、前回の話は二度と出てきません。
まとめ
事故防止検討委員会は、指針・研修・担当者とあわせて4点で1組です。事故が起きていない月でも開きます。
議題の型は5つ。発生の状況、1件の掘り下げ、前回の対策の確認、ヒヤリハットの傾向、研修と指針。このうち「前回の対策の確認」がいちばん効きます。
30分の配分は、共有5分・掘り下げ15分・確認5分・その他5分。掘り下げに15分を確保するのが要点です。
議事録には、決めたことの主語と期限を必ず書きます。合同で開ける場合があるので、他の委員会と同じ日にまとめると回しやすくなります。開催の頻度と保存の期間は、所管の自治体に確かめるのが確実です。
よくある質問
Q. 開催の頻度はどれくらいですか。 A. 事業所の区分とサービスの種類によって定められています。おおむね3か月に1回以上、あるいは毎月とされている形があります。所管の自治体の案内で確かめます。間隔が空いていると、議事録の日付から分かってしまいます。
Q. 他の委員会と合同で開いてもよいですか。 A. 合同での開催が認められている場合があります。事故防止、感染症対策、虐待防止、身体拘束適正化を同じ日に続けて開く形が取られています。ただし、議事録は分けて残し、それぞれの議題を扱ったことが分かる形にします。
Q. 事故がゼロの月は何を話しますか。 A. 前回の対策の確認、ヒヤリハットの傾向、研修の予定、指針の見直し。この4つだけでも30分は埋まります。ゼロだったこと自体も記録します。ゼロが続く場合は、報告が上がっていない可能性も見ます。
Q. 議事録は誰が書きますか。 A. 担当者か、持ち回りで決めます。書く人が毎回同じだと、その人が不在の月に議事録が残りません。様式を決めておけば、誰が書いても同じ形になります。その場で書き上げる形にすると、後回しになりません。
Q. 現場の職員が参加する時間が取れません。 A. 30分に収める、勤務時間内に開く、持ち回りにする、といった工夫があります。参加が難しい場合でも、議事録を読んでもらう形にします。読んだことを記録に残している事業所もあります。
Q. 委員会で決めたことを、どう職員に伝えますか。 A. 議事録を回覧する、申し送りで伝える、掲示する。複数の手段を組み合わせます。とくに決めたことは、誰が実行するかを本人に直接伝えます。回覧だけだと、自分のこととして受け取られません。
Q. 指針はどこで手に入りますか。 A. 自治体や事業者団体がひな形を公開しています。そのまま使うと自社に無い体制が残るため、削る作業が要ります。発生したときに実際に開く前提で、置き場所も決めておきます。
Q. 担当者に資格は要りますか。 A. 資格の要件が定められているわけではありません。ただし、記録の取りまとめや対策の確認ができる立場である必要があります。管理者が兼ねる形も、現場の職員を充てる形も取られています。
Q. 委員会の記録は何年残しますか。 A. 介護保険の記録の保存に合わせる形が一般的です。完結の日から2年が国の基準で、条例で5年としている自治体があります。年度ごとにつづりを分け、表紙に処分の予定年を書いておくと管理できます。
Q. 実地指導では何を見られますか。 A. 委員会の開催の記録、指針の有無、研修の記録、担当者の配置の4点です。開催の間隔、議事録の中身、決めたことが実行されているかが見られます。4点のうち1つでも欠けていると指摘の対象になります。
Q. 議事録に、どこまで詳しく書きますか。 A. 結論だけだと、次に同じ事故が起きたときに使えません。途中でどんな話が出たかを少し残します。ただし、個人を責める発言はそのまま書かず、内容として残します。
Q. 委員会を開く時間が取れません。 A. 30分の型を決めておくと、その時間で終わります。他の委員会と同じ日に続けて開く形も取れます。時間が取れないのではなく、終わりが決まっていないことが原因のことが多くあります。
Q. 委員会のメンバーを持ち回りにすると、話が続きません。 A. 管理者と担当者は固定し、現場の職員だけを持ち回りにする形が取られています。核が変わらなければ、話は続きます。参加した人が報告の意味を知るという効果も残ります。
Q. 事故がゼロの月が続いています。 A. 起きていないのか、報告が上がっていないのかを確かめます。日々の申し送りで小さな出来事が出ているなら、書かれていない可能性があります。ヒヤリハットの件数も合わせて見ます。
Q. 担当者と管理者が同じ人です。 A. 小規模な事業所では珍しくありません。ただし、管理者自身の判断が議題になる場面では、相談しにくくなります。外部の相談先(自治体、事業者団体)も知らせておくと、経路が残ります。
Q. 委員会に誰を入れるべきですか。 A. 管理者、各部門の代表、看護職、事務。現場で実際に動く人を必ず入れます。役職者だけだと、決めたことが現場で回らない形になります。
Q. 委員会の開催頻度はどれくらいですか。 A. 種別によって求められる頻度が違います。所轄の市町村や指定権者に確かめてください。回数を満たすことより、毎回同じ型で回すことが効きます。
Q. 議事録には何を書きますか。 A. 日時、出席者、扱った事例、決めたこと、担当と期限。決めたことが無い回は、その旨を書いてください。空欄より正確です。
Q. 事故が少ない月は、議題がありません。 A. ヒヤリハットを扱ってください。事故が無い月ほど、手前の場面を見る時間が取れます。議題が無い月をつくらないことが、委員会を続けるこつです。
Q. 委員会の時間が長引きます。 A. 議題ごとに時間を決めて、時計を見える場所に置いてください。30分で終わる委員会のほうが、毎月続きます。終わらなかった議題は次回の1番目に回します。
Q. 担当者は専任でなければいけませんか。 A. 兼務でよい場合が多くありますが、種別によって扱いが違います。所轄の市町村や指定権者に確かめてください。兼務でも、名前を決めて掲示することは同じです。