介護の記録書き方2026.07.30 公開KK-50

介護の研修記録|義務の研修を一覧にして回す

目次

研修は年に何度かやっている。ところが「どの研修が義務で、年に何回必要か」と聞かれると、すぐには出てきません。実地指導の前に一覧を作り始めて、足りていないことに気づく。よくある形です。

この記事では、介護の研修記録を、義務の研修の一覧・記録に残すこと・年間の計画の3つに分けて整理します。読み終えたときに、自社の1年を組める状態を目指します。

委員会の回し方から確かめたい方は、こちらを読むと早いです。→ 事故防止検討委員会とは

結論:義務の研修は複数あり、回数もそれぞれ違う

介護の研修記録とは、職員に対して行った研修の内容と参加者を残す記録のことです。

介護保険の運営基準では、いくつかの分野について研修を行うことが求められています。分野ごとに回数が違い、採用時の実施が求められるものもあります。

分野ごとに回数と対象が違う全員が毎年虐待防止・拘束・感染・事故職種で分かれる認知症ケアなど入職時速やかに一巡
分野ごとに回数と対象が違うことを並べた層の図

ポイントはここです。まとめて「年2回の研修」ではありません。分野ごとに定められているため、一覧にしないと抜けます。

自社が該当する分野は、サービスの種類によって変わります。所管の自治体の案内で確かめて、一覧を作るのが最初の作業です。

義務の研修を一覧にする

よく挙がる分野を並べます。自社に該当するものを選びます。

身体拘束適正化。定期と、新規採用時。

高齢者虐待防止。定期と、新規採用時。

感染症対策。定期と、新規採用時。訓練も別に求められます。

業務継続計画(BCP)。定期。訓練も別に求められます。

事故発生の防止。定期と、新規採用時。

認知症介護。サービスの種類によって求められる形があります。

主な分野と、定期・採用時の別分野実施の形虐待防止定期と採用時身体的拘束の適正化定期と採用時感染対策定期と訓練事故防止定期
主な分野と、定期・採用時の別を並べた表

「定期」と「採用時」の両方が求められるものが多くあります。定期だけを回していると、途中で入った人が受けていない状態になります。

訓練が別に求められるもの(感染症、業務継続計画)は、研修と混ぜて記録すると片方が抜けます。

記録に残すこと

研修の記録に残すのは6つです。

実施した日時。

実施の方法。集合、オンライン、資料の配付、録画の視聴。

内容。何を扱ったか。

講師。社内か外部か、氏名。

参加者。氏名。人数だけだと誰が受けたか分かりません。

参加できなかった人への対応。いつ、どう補ったか。

主な項目と、抜けやすいところ項目抜けやすいところ日時と場所複数回に分けた日も全部内容扱った項目を3つ書く講師外部なら所属も出席者と資料職種と配った資料
主な項目と、抜けやすいところを並べた表

抜けやすいのは、最後の2つです。参加者の氏名が無いと、全員に行き渡ったことを示せません。

資料も一緒に綴じます。何を伝えたかが後から分かる形にしておきます。

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実際に使える様式が必要な方へ

研修の記録のExcelの様式が、商い屋の介護向けのページにあります。この記事は回し方の話です。

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年間の計画を作る

思い出したときにやる形だと、回数が足りなくなります。年度の初めに計画を作ります。

書くのは5つです。

実施の月。他の行事と重ならないように。

分野。義務の研修の一覧から。

内容。その回で扱うこと。

担当者。準備と進行。

方法。集合かオンラインか。

年間計画の見本研修年間計画分野虐待防止実施月6月と11月担当氏名で決める対象全職員形式集合と録画年度の初めに配る担当は氏名で決める対象を書いておく
5つの項目を並べた年間計画の見本

委員会と同じ日に続けて行う形にすると、集まる回数が減ります。委員会のあとに30分の研修、という組み方があります。

採用時の研修は、計画に人数の見込みを入れておきます。採用のたびに個別に行うことになるので、様式と資料を用意しておきます。

全員に行き渡らせる

シフト制の職場では、1回で全員は集まりません。方法が4つあります。

1つ目は、複数回やることです。同じ内容を2回か3回。

2つ目は、録画を使うことです。撮っておけば、後から見てもらえます。

3つ目は、資料を渡して読んでもらう形です。読んだことを記録に残します。

4つ目は、伝達の研修です。参加した人が、参加できなかった人に伝えます。

行き渡らせる4つの方法方法効きどころ複数回やる日勤帯と夜勤帯録画で配るシフトが合わない人資料と問い読んだことを示せる未受講の一覧毎月出すと動く
複数回・録画・資料・伝達という4つの方法を並べた表

どの方法でも、記録に残せば実施として扱える形が一般的です。ただし、内容によっては実際に集まる必要があるものもあります。

年に1回、誰が何を受けたかの一覧を作ります。受けていない人が見つかったら、個別に行います。

中身を形だけにしない

記録は残っているが、内容が毎年同じ。この状態を避ける工夫が3つあります。

1つ目は、自社の事例を使うことです。その年に起きた事故、ヒヤリハット、気になった場面。いちばん残ります。

2つ目は、話し合う形にすることです。資料を読むだけでなく、「これはどうか」と考える時間を入れます。

3つ目は、前回の課題から始めることです。前回の研修で出た疑問を、次の回の冒頭で扱います。

現場につなげる3つ事例自社で出た場面を使う話し合い明日やることを1つ決める前回の課題冒頭で振り返る
事例・話し合い・前回の課題という3つの工夫を並べた層の図

1つ目がいちばん効きます。一般論の資料より、自分たちの現場の話のほうが記憶に残ります。

事例を使うときは、個人が特定されない形に直します。年齢や状況を変える、複数を混ぜる。

外部の研修を使う

外部の研修を受けさせる形もあります。使うときに決めるのは3つです。

1つ目は、義務の研修として数えられるかです。内容が該当する分野を扱っているか。

2つ目は、記録の残し方です。受講の証明、資料。事業所の記録としても残します。

3つ目は、社内への伝達です。受けた人が、社内で伝える機会を作ると、1人の受講が全員に届きます。

外部の研修は、費用と時間がかかります。年間の計画に入れて、予算と日程を確保します。

受講した記録は、個人ごとの一覧にもつなげます。誰がどんな研修を受けてきたかが分かると、次に誰を出すかを決められます。

実地指導で見られるところ

研修について確かめられるのは4つです。

1つ目は、義務の分野について実施しているかです。

2つ目は、回数を満たしているかです。

3つ目は、新規採用時の研修を行っているかです。

4つ目は、記録があるかです。参加者まで分かる形か。

3つ目でつまずく事業所が多くあります。定期の研修は回していても、採用時の分が抜けている形です。

指摘を受けたら、不足している分野を計画に入れ直します。過去にさかのぼって実施することはできないため、今後の計画で示します。

年間の計画を先に立てる

研修の記録が揃わない事業所は、年間の計画を立てていないことが多くあります。その都度決めていると、必ず抜けます。

立て方は4つです。

1つ目は、義務づけられている研修を先に置くことです。虐待防止、身体的拘束の適正化、感染対策、事故防止、認知症ケア、業務継続計画。種別によって必要なものと回数が違うので、所轄の市町村や指定権者に確かめてください。

2つ目は、月に割り振ることです。繁忙期を避けて配置します。

3つ目は、担当者を決めることです。名前を年度の初めに決めます。

4つ目は、対象者を書くことです。全員か、特定の職種か。

4つを1枚の表にして、年度の初めに配ります。この1枚があるだけで、実施率が変わります。

全員に行き渡らせる方法

研修でいちばん難しいのが、全員が受けるという部分です。シフト勤務では、1回で全員は集まりません。

方法は4つあります。

1つ目は、同じ内容を複数回行うことです。日勤帯と夜勤帯で分けます。

2つ目は、録画を用意することです。当日の様子を撮って、見られなかった人に見てもらいます。視聴の記録を残せる形にします。

3つ目は、資料と確認テストを配ることです。読んだだけでは受講の証明になりにくいので、簡単な問いを3つ付けます。

4つ目は、未受講者の一覧を毎月出すことです。誰が残っているかが分かる形にします。

4つ目が効きます。一覧に名前が残っている状態が見えると、本人も担当者も動きます。

記録に残す項目

研修の記録は、あとから確かめられる形にします。写真だけでは足りません。

残すのは5つです。

1つ目は、日時と場所です。

2つ目は、内容です。題名だけでなく、扱った項目を3つ程度書きます。

3つ目は、講師です。外部の場合は所属も書きます。

4つ目は、出席者です。署名か、名簿に印。職種も書いておくと、対象者を満たしているかが分かります。

5つ目は、資料です。配ったものを1部綴じます。

5つが揃っていると、実地指導でその場で示せます。このうち抜けやすいのは資料です。データだけ残して印刷していないと、探すのに時間がかかります。

受けただけで終わらせない

研修は、受けたあとに現場が変わったかまで見ると意味が出ます。

やり方は3つです。

1つ目は、研修の最後に1つだけ決めることです。「明日から、これをやる」を1つ書いてもらいます。

2つ目は、1か月後に確かめることです。やれたかどうかを聞きます。責める形にはしません。

3つ目は、次の研修の冒頭で振り返ることです。前回決めたことがどうなったか。

3つを回すと、研修が現場とつながります。受講の記録だけが積み上がっている状態では、実施したことにはなっても、伝わったことにはなりません。

資料を使い回せる形にする

毎年ゼロから資料を作ると、担当者が替わった年に途切れます。使い回せる形にしておきます。

工夫は3つあります。

1つ目は、1本を10枚以内にすることです。多いと、直すのが億劫になります。

2つ目は、事例の部分だけを差し替え可能にすることです。制度の説明は変わりません。変わるのは事例です。

3つ目は、置き場所を決めることです。共有のフォルダに、研修の名前と年度で並べます。担当者の手元にだけあると、替わった時点で消えます。

3つを守ると、翌年の準備が1時間で終わります。準備に時間がかかることが、実施が遅れる最大の理由です。

まとめ

介護の研修は、分野ごとに定められていて、回数も対象も違います。まとめて「年2回」ではありません。一覧にしないと抜けます。

よく挙がるのは、身体拘束適正化、高齢者虐待防止、感染症対策、業務継続計画、事故発生の防止、認知症介護。「定期」と「採用時」の両方が求められるものが多くあります。

記録に残すのは6つ。抜けやすいのは、参加者の氏名と、参加できなかった人への対応です。

年度の初めに計画を作り、委員会と同じ日に続けて行う形にすると回しやすくなります。自社が該当する分野と回数は、所管の自治体に確かめるのが確実です。

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実際に使える様式が必要な方へ

研修の記録のExcelの様式が、商い屋の介護向けのページにあります。参加者と資料をひもづけられる形です。

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よくある質問

Q. 義務の研修は、どこで調べられますか。 A. 所管の自治体の案内や、運営基準の解釈通知に示されています。サービスの種類によって求められる分野と回数が変わるため、自社の区分で確かめます。一覧を作っておけば、毎年使えます。

Q. 複数の分野をまとめて1回の研修にできますか。 A. 内容がそれぞれ扱われていれば、同じ日に続けて行う形が取られています。ただし、記録は分野ごとに分けて残します。1つの記録にまとめると、どの分野を何回行ったかが分かりません。

Q. 新規採用時の研修は、いつまでに行いますか。 A. できるだけ早い時期に行う形が求められます。実際に介護に入る前に伝えておきたい内容なので、初日か最初の数日に組み込んでいる事業所があります。記録に日付を残します。

Q. 録画を見てもらう形でも実施になりますか。 A. 記録に残せば実施として扱える形が一般的です。ただし、内容によっては実際に動く必要があるもの(訓練など)があります。研修と訓練を分けて考えます。

Q. 参加できなかった人には、どう対応しますか。 A. 後日個別に行う、資料を渡す、録画を見てもらう。どの方法でもかまいませんが、対応した記録を残します。記録が無いと、全員に行き渡ったことを示せません。

Q. 講師は社内の人でもよいですか。 A. 資格の要件が定められているわけではありません。委員会のメンバーや、担当者が務める形が一般的です。持ち回りにすると、講師をする人がいちばん勉強になります。

Q. 資料はどこで手に入りますか。 A. 自治体や事業者団体が公開しているものがあります。自社の指針と、前回の資料があれば作れます。自社の事例を1つ加えると、一般論で終わらない研修になります。

Q. 研修の記録は何年残しますか。 A. 介護保険の記録として、完結の日から2年が国の基準です。条例で5年としている自治体があります。年度ごとにつづりを分け、資料も一緒に綴じておきます。

Q. パートや夜勤専従の職員も対象ですか。 A. 介護に関わる職員は対象になります。集まりにくい勤務形態ほど、複数回に分ける、録画を使うといった工夫が要ります。誰が受けたかの一覧で抜けを見つけます。

Q. 外部の研修は、義務の研修として数えられますか。 A. 内容が該当する分野を扱っていれば、数えられる場合があります。受講の証明と資料を事業所の記録として残します。判断に迷う場合は、所管の自治体に確かめます。

Q. 研修の記録は何年残しますか。 A. 運営に関する記録の保存年数に合わせます。年数は市町村の条例で違うので、所轄の市町村に確かめてください。義務づけられている研修の記録は、とくに揃えて残します。

Q. 外部の研修に参加した記録だけで、事業所の研修になりますか。 A. なりません。参加した人が戻って伝える形にして、伝達研修の記録を別に残します。参加証は資料として一緒に綴じます。

Q. 新しく入った人への研修は、いつまでに行いますか。 A. 種別によって求められる時期が違います。入職後速やかに行うことが求められるものがあるので、所轄の市町村に確かめてください。遅くとも1か月以内に一巡させる形が多く使われています。

Q. 研修の時間は勤務時間に含みますか。 A. 事業所が実施を指示した研修は、勤務時間として扱うのが一般的です。扱いに迷う場合は、所轄の労働基準監督署に確かめてください。時間外になる場合の手当も、あわせて決めておきます。

Q. 少人数で、講師を用意できません。 A. 都道府県や職能団体の教材、公表されている資料を使って、管理者が講師をする形で構いません。誰が講師をしたかを記録に残すことが要件になります。外部講師でなければならない決まりは、多くの場合ありません。

Q. 研修を録画するとき、利用者が映り込んでも大丈夫ですか。 A. 映り込まない場所で撮ります。事例を扱う場合も、個人が特定できる情報は外します。録画の保存期間と、見られる人の範囲も先に決めておいてください。

Q. 研修の担当者が毎年替わります。 A. 引き継ぎの紙を1枚作っておいてください。年間の予定、使った資料の場所、外部の講師の連絡先。この3つがあれば、替わっても続きます。