通所介護計画書|一日の流れに落とす
目次
利用者が20人いれば、計画書も20枚。ところが並べて読むと、目標の欄がほとんど同じ言葉で埋まっている。「心身機能の維持」「他者との交流」が並ぶ通所介護計画書は、よく見かけます。
この記事では、通所介護計画書を、一日の流れへの落とし方・目標の書き方・見直しの3つに分けて整理します。同じ言葉が並ばない形にすることを中心に書きます。
結論:一日の流れに落ちているか
通所介護計画書とは、ケアプランにもとづいて、通所介護として何をどう提供するかを書いた計画です。作るのは管理者で、生活相談員や機能訓練指導員などが関わります。
ポイントはここです。その人の一日の流れに落ちているかどうか。到着してから帰るまでの中で、その人にだけ行うことが書いてあるかを見ます。
送迎、入浴、昼食、レクリエーション。ここまでは全員同じです。計画書に書く価値があるのは、そのあとの部分です。
全員同じにならない3か所
同じ言葉にならないのは、次の3か所です。
1つ目は、その人が通う目的です。入浴のためか、家族の休息のためか、人と話すためか。
2つ目は、通所の中で個別に行うことです。歩行の練習、口腔の体操、役割を持ってもらう。
3つ目は、家での生活とのつながりです。通所で行ったことが、家でどう続くか。
1つ目を本人と家族に聞いてください。「デイに行くことで、何が楽になりますか」。この答えが、そのまま計画の背骨になります。
答えが「家族が休める時間ができる」でも構いません。それは立派な目的です。書きにくいからと、本人の機能の話にすり替えないことです。
目標の書き方
目標は、通所の場面で確かめられる形にします。
決まりは3つです。
1つ目は、場面を入れることです。「入浴のとき、浴槽をまたぐ動作を自分で行う」。
2つ目は、数えられる形にすることです。回数、距離、時間、介助の有無。
3つ目は、期間を書くことです。3か月か6か月か。
1つ目と2つ目がそろうと、記録が書きやすくなります。「今日はまたげた」「今日は介助した」と書くだけで、達成の度合いが積み上がります。
一日の流れへの落とし方
計画を一日の流れに落とすときは、時間で区切ります。
到着から昼食まで。昼食から午後の活動まで。帰りの支度から送迎まで。
この3つの区切りのどこで、その人に何をするかを書きます。
書くのは1つか2つで足ります。全部の時間に個別の関わりを入れると、現場が回りません。その人にとって大事な場面を1つ選ぶのが現実的です。
選ぶ基準は、目標に近い場面です。歩行が目標なら移動の場面、口腔なら昼食の前後。
職員に伝わる形にする
計画書は、送迎の運転手から入浴の介助に入る職員までが読むものです。
伝える工夫は3つです。
1つ目は、1人1行の一覧を作ることです。利用者の名前と、その日に気をつけること。
2つ目は、朝の申し送りで読み上げることです。
3つ目は、変わった人だけ知らせることです。全員分を毎日読み上げると、誰も聞かなくなります。
3つ目が要点です。変わっていない人の情報は、聞く側にとって雑音になります。今日変わった2人だけを伝えるほうが届きます。
送迎の情報も計画に入れる
通所介護で、いちばん事故が起きやすいのは送迎です。ところが計画書には書かれていないことが多くあります。
書いておくのは4つです。
1つ目は、乗り降りの介助の内容です。どこまで手を出すか。
2つ目は、玄関までの経路です。段差、階段、雨の日の動線。
3つ目は、家族の在宅の状況です。帰りに誰もいない日があるか。
4つ目は、鍵の扱いです。預かっている場合は、その手順まで。
3つ目を書いていないと、帰りに困ります。誰もいない家に送り届けてよいのか、その場で判断することになります。事前に決めて書いておくのが、事故を防ぐいちばん確実な方法です。
送迎の担当は替わります。運転手が替わっても同じ対応ができる書き方にしてください。
同意と交付
計画書は、利用者に説明して同意を得て、交付します。
残すのは3つです。説明した日、同意の証、交付した日。
サービスを始める前に同意を得てください。同意の日が開始の日より後になっている書類は、実地指導で必ず指摘されます。
家族が同席していない場合は、電話で説明して、後日に署名をもらう形でも構いません。その経過を記録に残します。
家族に見せる形にする
計画書は、家族に読んでもらうと効果が出ます。通所の中でのことは、家族には見えていません。
伝わる工夫は3つです。
1つ目は、専門の言葉を減らすことです。「ADLの維持」ではなく「自分でズボンを上げられる状態を保つ」。
2つ目は、家でしてほしいことを1つ書くことです。通所でやっていることが、家で続くと効果が変わります。
3つ目は、3か月後に結果を伝えることです。
2つ目を入れている計画書は多くありません。「帰ってから30分、座って過ごす時間を作ってください」といった一言があると、家族が関わる余地ができます。
無理な負担をお願いしないことです。家族ができる1つだけを選んでください。
見直しの時期
見直すのは4つの場面です。
1つ目は、ケアプランが変わったときです。
2つ目は、状態が変わったときです。
3つ目は、目標の期間が終わったときです。
4つ目は、提供する内容を変えたときです。
4つ目が抜けます。入浴の介助の方法を変えた、食事の形態を変えた。現場が変えて、計画書が古いままという形です。
変えたら、その日に1行足します。全部を作り直す必要はありません。
モニタリングで何を見るか
見直しの材料は、日々の記録とモニタリングです。
見るのは4つです。
1つ目は、目標に対する動きです。
2つ目は、参加の様子です。休みが増えていないか、活動を断ることが増えていないか。
3つ目は、家での様子です。送迎のときに家族から聞きます。
4つ目は、体調の変化です。
2つ目が早い合図になります。来なくなる前に、断ることが増えます。理由を聞いて計画に反映すると、続けて通ってもらえます。
休みが続いたときの扱い
通所は、来なくなることがあるサービスです。休みが続いたときの動きも決めておきます。
段取りは3段です。
1つ目は、2回続けて休んだら連絡することです。
2つ目は、理由を記録に残すことです。体調か、気持ちか、家族の都合か。
3つ目は、ケアマネジャーに伝えることです。
2つ目の理由が大事です。体調なら医療につなぎ、気持ちなら計画を見直し、家族の都合ならほかのサービスの調整が要ります。理由によってやることが全部違います。
1か月以上空いた方が再開するときは、計画を作り直すかどうかを判断してください。空いている間に状態が変わっていることがあります。
加算との関係
通所介護では、計画書がいくつかの加算の土台になります。
個別機能訓練加算は個別機能訓練計画、口腔機能向上加算は口腔機能向上の計画が要ります。
別々に作ると、目標が食い違います。通所介護計画書の目標と、加算の計画の目標が違う方向を向いていると、現場が混乱します。
先に通所介護計画書の目標を決めて、加算の計画をそこにぶら下げる形にしてください。
20人分を書く段取り
計画書をまとめて作り直す時期は、事務が止まります。段取りを決めておきます。
1つ目は、期限を分散させることです。全員同じ月に切れないよう、契約のときにずらします。
2つ目は、下書きを分担することです。目標は相談員、機能訓練の部分は指導員。
3つ目は、書く順番を決めることです。状態が変わった人から書きます。
1つ目を最初にやってください。全員の期間が同じだと、毎回20枚をまとめて作ることになります。
実地指導で見られるところ
見られるのは4つです。
1つ目は、ケアプランとの整合です。
2つ目は、同意と交付の記録です。
3つ目は、記録との一致です。計画にある個別の関わりが、記録から追えるか。
4つ目は、見直しの記録です。
3つ目でつまずきます。計画には「歩行の練習」と書いてあるのに、日々の記録には何も残っていない。やっているなら書いてください。やっていないなら計画を直します。
まとめ
通所介護計画書は、その人の一日の流れに落ちているかが要点です。送迎、入浴、昼食までは全員同じ。書く価値があるのは、そのあとの部分です。
同じ言葉にならないのは3か所。通う目的、個別に行うこと、家での生活とのつながり。1つ目は本人と家族に聞いてください。
目標は、場面を入れて数えられる形にします。「入浴のとき、浴槽をまたぐ動作を自分で行う」という書き方です。
見直しは、提供する内容を変えたときが抜けます。現場が変えて計画書が古いまま、という形がいちばん多い指摘です。加算の計画は、通所介護計画書の目標にぶら下げてください。
よくある質問
Q. 通所介護計画書は誰が作りますか。 A. 管理者です。生活相談員や機能訓練指導員が関わって作る形が一般的です。
Q. ケアプランとどう違いますか。 A. ケアプランは生活全体の計画、通所介護計画書は通所介護として何をどう提供するかの計画です。
Q. 目標が全員同じになります。 A. 通う目的を本人と家族に聞いてください。「デイに行くことで何が楽になりますか」という質問が効きます。
Q. 「家族が休める時間ができる」は目標になりますか。 A. なります。立派な目的です。本人の機能の話にすり替えないでください。
Q. 個別の関わりはいくつ書きますか。 A. 1つか2つで足ります。全部の時間に入れると現場が回りません。
Q. どの場面を選びますか。 A. 目標に近い場面です。歩行が目標なら移動の場面、口腔なら昼食の前後を選びます。
Q. 職員に読んでもらえません。 A. 1人1行の一覧を作り、今日変わった人だけを朝に伝えてください。全員分を読み上げると聞かれなくなります。
Q. 同意はいつ取りますか。 A. サービスを始める前です。同意の日が開始の日より後になっている書類は必ず指摘されます。
Q. 家族が来られません。 A. 電話で説明して後日に署名をもらう形でも構いません。その経過を記録に残してください。
Q. 見直しはどのくらいの頻度ですか。 A. 目標の期間の終わりと、状態が変わったときです。提供する内容を変えたときも対象です。
Q. 入浴の方法を変えました。 A. 計画書に1行足してください。現場が変えて計画が古いまま、という形がいちばん多い指摘です。
Q. 個別機能訓練計画と別に作りますか。 A. 別の書類ですが、目標は同じ方向を向かせてください。先に通所介護計画書の目標を決めて、加算の計画をぶら下げます。
Q. 全員の計画書が同じ月に切れます。 A. 契約のときに期限を分散させてください。毎回20枚をまとめて作ることになります。
Q. モニタリングでは何を見ますか。 A. 目標に対する動き、参加の様子、家での様子、体調の変化の4つです。断ることが増えたら早い合図です。
Q. 利用者が活動に参加しません。 A. 理由を聞いて計画に反映してください。来なくなる前に、断ることが増えます。
Q. 記録に個別の関わりが残っていません。 A. やっているなら書いてください。やっていないなら計画を直します。どちらかです。
Q. 様式は決まっていますか。 A. 自治体が示していることがあります。示されていない場合も、一日の流れを書ける欄がある様式を選んでください。
Q. 認知症の方の目標はどう書きますか。 A. できることを数える形にします。「名前を呼ばれて席に着ける」「昼食を最後まで席で食べられる」。その日の様子で上下するので、回数で見てください。
Q. 短時間の利用でも計画は要りますか。 A. 要ります。時間が短いぶん、個別の関わりを1つに絞ってください。入浴だけの利用なら、入浴の場面に集中させます。
Q. 家族に計画書を読んでもらえません。 A. 専門の言葉を減らし、家でしてほしいことを1つだけ書いてください。「帰ってから30分、座って過ごす時間を」といった一言で、関わる余地ができます。
Q. 再開するときは計画を作り直しますか。 A. 1か月以上空いた方は、状態が変わっていることがあります。作り直すかどうかを判断してください。
Q. 送迎のことも計画書に書きますか。 A. 書いてください。乗り降りの介助、玄関までの経路、家族の在宅の状況、鍵の扱いの4つです。帰りに誰もいない日の対応を決めておくと、その場で迷いません。
Q. 休みが続いています。 A. 2回続けて休んだら連絡し、理由を記録してください。体調か気持ちか家族の都合かで、次にやることが全部違います。
Q. 保存期間は。 A. 介護保険のほかの記録と同じ扱いです。自治体の条例を確かめてください。