介護の記録書き方2026.07.25 公開KK-49

送迎記録とは?加算と事故の両方に関わる記録

目次

送迎は毎日のことなので、記録が形だけになりがちです。乗車の時刻だけが並んでいて、その日の様子は何も残らない。ところが、事故が起きたときに求められるのは、まさにその残っていない部分です。

この記事では、送迎記録を、何のための記録か・書く項目・事故への備えの3つに分けて整理します。読み終えたときに、自社の様式を見直せる状態を目指します。

サービス提供記録の全体から確かめたい方は、こちらを読むと早いです。→ サービス提供記録とは

結論:報酬の根拠と、事故の備えを兼ねる

送迎記録とは、利用者の送迎について、日時、経路、同乗者、その日の様子を残す記録のことです。

役割は2つあります。1つは、サービスを提供した事実の記録。もう1つは、事故が起きたときの備えです。

2つの役割がある報酬の根拠提供時間と分けて示す事故の備え時刻と同乗者が要る
報酬の根拠と、事故の備えという2つの役割を並べた層の図

ポイントはここです。2つの役割で、必要な項目が違います。報酬の側は時刻と人数、事故の側は経路と様子。両方を満たす様式にします。

送迎に関する減算や加算がある場合、その要件も記録に関わります。自社が何を算定しているかを確かめます。

書く項目

入れる項目は7つです。

日付。

車両。どの車を使ったか。

運転者と同乗者。誰が運転し、誰が付き添ったか。

利用者の氏名と、乗降の時刻。1人ずつ書きます。

経路。どの順に回ったか。

走行の距離。

特記事項。その日の様子、いつもと違ったこと。

主な項目と、抜けやすいところ項目抜けやすいところ出発と到着の時刻事業所を出た時刻も乗車と降車の時刻人ごとに書く運転した人同乗者の名前も車両複数台あるなら番号
主な項目と、抜けやすいところを並べた表

抜けやすいのは、乗降の時刻を1人ずつ書くことと、特記事項です。まとめて「8時出発、9時到着」だけだと、誰がいつ乗ったかが分かりません。

特記事項は、書くことが無い日ほど大事です。「変わりなし」と書いてあれば、見ていたことが残ります。

事故に備える

事故が起きたときに、記録が説明の材料になります。備えとして書いておくのは3つです。

1つ目は、乗車の状況です。シートベルトの着用、座席の位置、車いすの固定。

2つ目は、乗降の介助です。誰が、どう介助したか。

3つ目は、その日の本人の状態です。体調、ふらつき、覚醒。

3つの備え備え確かめること乗車ベルトと座る位置介助乗り降りの手すりと段差状態車内での様子と体調
乗車・介助・状態という3つの備えを並べた表

車いすのまま乗る場合、固定の確認は必ず記録に残します。固定が不十分なまま走行すると、急ブレーキで動きます。

乗降のときの転倒が、送迎でいちばん多い事故とされています。段差、傾斜、天候。降車する場所の状況も書いておくと、後から見直せます。

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実際に使える様式が必要な方へ

業務日誌のExcelの様式が、商い屋の介護向けのページにあります。この記事は送迎に絞った話です。

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車両の点検

送迎に使う車両の点検も、記録に関わります。決めておくのは3つです。

1つ目は、日常点検です。運行の前に確かめる項目。タイヤ、灯火、ブレーキ、車いす用の設備。

2つ目は、定期点検と車検です。期限の管理。

3つ目は、車内の備品です。消火器、救急セット、毛布、タオル。

車の管理は3つ日常点検運転の前に確かめる定期点検車検と法定の点検備品消火器と救急用品
日常点検・定期点検・備品という3つを並べた層の図

車いす用のリフトやスロープは、日常点検の項目に入れておきます。動かなくなると、その日の送迎が止まります。

期限は1枚の表で管理します。車検、保険、定期点検。免許証の更新も同じ表に入れておくと、見に行く先が1つで済みます。

運転する職員の管理

送迎を行う職員についても、確かめることがあります。3つです。

1つ目は、免許証です。有効期限、条件(眼鏡等)。年に1回は現物を確かめます。

2つ目は、運転前の状態です。体調、飲酒。アルコールの確認が求められる場合があります。

3つ目は、事故や違反の有無です。

運転する人の3つ確かめること残し方免許期限を一覧にする運転前の状態体調と飲酒の確認事故と違反起きたら記録に残す
免許・運転前の状態・事故と違反という3つを並べた表

安全運転管理者の選任が必要になる場合があります。車両の台数によって決まります。該当するかを確かめておきます。

該当する場合、運転前後のアルコールの確認と記録が求められます。送迎記録とは別の記録になります。

家族との受け渡し

送迎は、家族と接する場面でもあります。決めておくのは3つです。

1つ目は、不在だった場合の扱いです。連絡がつかない、鍵が開いている。どこまで待つか、誰に連絡するか。

2つ目は、引き渡しの確認です。家族に直接渡すのか、玄関までか。

3つ目は、伝言の扱いです。家族からの伝言を、誰にどう伝えるか。

3つの場面の決め方場面決めておくこと不在待つ時間と連絡の順番引き渡し誰に渡すかを名前で伝言受けた人と伝える先
不在・引き渡し・伝言という3つの場面を並べた表

1つ目を決めていないと、その場で判断することになります。「10分待って連絡がつかなければ、事業所とケアマネジャーに連絡する」といった形で決めておきます。

伝言は、記録に書いて申し送る形にします。口頭だけだと、伝わらないことがあります。

記録を見直す

送迎記録は、溜まってから見ると分かることがあります。年に1回、並べて見ます。

見るのは3つです。

1つ目は、時間です。乗車から降車までが長くなっていないか。利用者の負担につながります。

2つ目は、経路です。回る順番が効率的か。増えた人、減った人で変わっているか。

3つ目は、事故やヒヤリハットです。同じ場所で起きていないか。

1つ目が見落とされやすいところです。利用者が増えるたびに経路が伸び、最初に乗る人の乗車時間が長くなります。

見直した結果は、経路の変更や、便を分けることにつながります。記録が無いと、感覚での判断になります。

送迎の時間をどう記録するか

送迎の記録でいちばん問われるのが、時間の書き方です。ここが揃っていないと、提供時間の根拠が崩れます。

書くのは4つです。

1つ目は、出発の時刻です。事業所を出た時刻。

2つ目は、乗車と降車の時刻です。人ごとに書きます。

3つ目は、到着の時刻です。事業所に着いた時刻。

4つ目は、運転した人と同乗者です。名前で書きます。

4つのうち、乗車と降車の時刻がいちばん抜けます。全員分を1枚に並べた様式にして、名前の横に時刻を書く形にすると埋まります。あとから思い出して書くことはできません。

事故が起きたときの流れ

送迎は、道路で起きる事故という点が他の記録と違います。流れを決めておきます。

流れは4段です。

1つ目は、けがの確認と安全の確保です。利用者を優先します。

2つ目は、警察への連絡です。人身でも物損でも、届け出が求められているとされています。

3つ目は、事業所への連絡です。残りの利用者の送迎をどうするかを決めます。代わりの車と運転者を出せるかどうか。

4つ目は、家族と市町村への報告です。利用者にけががあった場合は、市町村への報告が必要になることがあります。報告の対象となる範囲は市町村で違うので、所轄の市町村に確かめてください。

4段を1枚にして、全部の車に載せておきます。運転している人が、その場で見られる形にします。

車両と運転者の管理

送迎記録とセットで、車と運転する人の管理が要ります。ここが抜けている事業所が多くあります。

確かめるのは4つです。

1つ目は、運転する人の免許です。有効期限を一覧にして、切れる前に確かめます。

2つ目は、車検と保険です。期限を一覧にします。

3つ目は、日常点検です。運転する前に確かめる項目を決めて、記録に残します。

4つ目は、飲酒の確認です。事業所の形態によっては、確認と記録が求められる場合があります。該当するかどうかは所轄の警察署に確かめてください。

4つは送迎の記録とは別の紙にします。混ぜると、どちらも探しにくくなります。ただし保管する場所は同じにしておきます。

送迎中の様子も記録に残す

送迎の時間は、利用者の様子が分かる時間でもあります。時刻だけの記録にしないことです。

残すと役に立つのは3つです。

1つ目は、乗り降りの様子です。段差を越えられたか、手すりを使ったか。自宅での動きは、事業所の中では見られません。

2つ目は、自宅の様子です。玄関の状態、家族の様子。ケアマネジャーに伝える材料になります。

3つ目は、車内での様子です。酔う、眠る、話す。体調の変化に気づけることがあります。

3つは毎回書く必要はありません。気づいたときだけ書く欄を1つ置いておけば足ります。送迎の担当者しか知らない情報が、記録に残らないまま消えていることが多くあります。

経路と時間の見直し

送迎の記録は、次の経路を決める材料になります。溜めるだけにしないことです。

見るのは3つです。

1つ目は、乗っている時間の長さです。最初に乗る方が、いちばん長く乗ることになります。同じ人が毎回最初にならない形にできないかを見ます。

2つ目は、遅れが出る区間です。同じ時間帯の同じ道で遅れているなら、経路か出発時刻を変えます。

3つ目は、1台あたりの人数です。多すぎると、乗り降りの介助に手が回りません。

3つを3か月に1回見直します。利用者の増減があると、前の経路が合わなくなります。見直した内容は、送迎の担当者だけでなく相談員にも共有します。家族への説明が要る場合があるからです。

悪天候のときの決め方

雪や大雨のとき、送迎をどうするかの判断は先に決めておきます。その日に決めると、判断が人によって変わります。

決めるのは3つです。

1つ目は、中止の基準です。警報の種類、積雪の量。数字か公的な情報で線を引きます。

2つ目は、決める人と時刻です。「朝6時に管理者が決める」という形にします。

3つ目は、伝える順番です。利用者と家族、職員、ケアマネジャー。連絡網を1枚にしておきます。

中止したときも記録を残します。その日のサービスを提供していないことになるので、扱いが変わります。請求に関わるので、所轄の市町村に取り扱いを確かめておいてください。

まとめ

送迎記録は、サービスを提供した事実の記録と、事故が起きたときの備えの2つの役割を持ちます。

書く項目は7つ。抜けやすいのは、乗降の時刻を1人ずつ書くことと、特記事項です。「変わりなし」と書いてあれば、見ていたことが残ります。

事故への備えとして、乗車の状況・乗降の介助・その日の状態を書きます。車いすのまま乗る場合、固定の確認は必ず残します。

車両の点検と、運転する職員の管理も記録に関わります。安全運転管理者の選任が必要になる場合があるので、車両の台数で確かめます。要件は、所轄の警察署と所管の自治体に確かめるのが確実です。

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実際に使える様式が必要な方へ

業務日誌のExcelの様式が、商い屋の介護向けのページにあります。送迎の欄を足せば、そのまま使えます。

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よくある質問

Q. 乗降の時刻は、分単位で書きますか。 A. 分まで書いておくと、乗車時間の長さを後から確かめられます。分単位が負担なら5分刻みでもかまいませんが、まとめて1つの時刻にすると、誰がいつ乗ったかが分からなくなります。

Q. 送迎中の事故は、市町村に報告しますか。 A. 報告の基準は市町村によって異なります。受診した場合や、けがが生じた場合は対象になることが多くあります。基準を確かめて紙に控えておきます。交通事故としての手続きも別に必要です。

Q. 車いすの固定は、どこまで記録しますか。 A. 固定したことを確認した旨を残します。誰が確認したかも書いておくと確実です。固定の方法が車両によって違う場合は、手順を紙にして車内に置いておきます。

Q. 利用者が不在だった場合は。 A. 待つ時間と、連絡する先をあらかじめ決めておきます。玄関が開いている、応答がないといった場合の扱いも決めます。実際にあったことは記録に残し、ケアマネジャーにも伝えます。

Q. 安全運転管理者は必要ですか。 A. 使用する自動車の台数によって決まります。乗車定員11人以上を1台、またはその他の自動車を5台以上使用している事業所が該当するとされています。原動機付自転車の数え方もあるため、所轄の警察署に確かめます。

Q. アルコールの確認は必要ですか。 A. 安全運転管理者を選任する事業所では、運転前後の確認と記録が求められます。該当するかを確かめ、該当する場合は送迎記録とは別に記録簿を用意します。

Q. 送迎の記録は何年残しますか。 A. 介護保険の記録として、完結の日から2年が国の基準です。条例で5年としている自治体があります。事故に関わる記録は長めに残している事業所もあります。

Q. 経路を毎回書くのが負担です。 A. いつもの経路を印刷しておき、変更があった日だけ書き足す形にすると軽くなります。回る順番が変わった日、別の道を通った日。変更が無い日は丸を付けるだけで足ります。

Q. 同乗する職員がいない便もあります。 A. 運転者1人で行う場合、乗降の介助と運転を1人で担うことになります。その体制で安全かを確かめ、難しい場合は便を分けるか人を付けます。体制を記録に残しておくと、後から見直せます。

Q. 送迎の時間が長くなってきました。 A. 記録を並べて、最初に乗る人の乗車時間を見ます。長くなっているなら、便を分けるか経路を見直します。利用者の負担になっているかどうかは、送迎後の様子の記録からも分かります。

Q. 送迎の記録は何年残しますか。 A. サービス提供の記録と同じ扱いになります。年数は市町村の条例で違うので、所轄の市町村に確かめてください。提供時間の根拠になるので、揃えて残します。

Q. 家族の希望で送迎の場所を変えられますか。 A. 変えられる場合がありますが、扱いはサービスの区分と保険者の運用によります。所轄の市町村に確かめてください。変えた場合は、変えた理由と同意を記録に残します。

Q. 送迎の時間は、サービスの提供時間に含みますか。 A. 原則として含まない扱いとされていますが、区分や状況によって考え方が違います。所轄の市町村に確かめてください。記録には、送迎とサービスの時間を分けて書いておきます。

Q. 自家用車で送迎してもよいですか。 A. 職員の自家用車を使う場合、保険の範囲と事業所の規程を確かめる必要があります。事故が起きたときの責任の所在が変わります。使うなら書面で取り決めてください。

Q. 乗車を拒まれたときはどうしますか。 A. 無理に乗せません。理由を聞き、時間を置いて改めて誘います。それでも難しい場合は、事業所に連絡して判断を仰ぎます。その日の記録に、拒否の事実と対応を残します。

Q. 送迎の記録は、運転者が書きますか。 A. 運転者が書く形が基本です。ただし運転しながらは書けないので、同乗者がいる場合は同乗者が書きます。いない場合は、1人ずつ降ろしたあとにその場で書く形にします。

Q. 車内での見守りは誰が行いますか。 A. 同乗者がいればその人が行います。1人で運転する場合は、乗車位置と座席のベルトで安全を確保します。車内で介助が必要な方は、同乗者のいる便に回す形にしてください。