リハビリ実施計画書|説明と同意の残し方
目次
計画は作ってある。訓練もしている。それなのに「医師が説明した記録はありますか」と聞かれて出てこない。リハビリテーション実施計画書で最も多い指摘が、説明と同意の記録です。
この記事では、リハビリテーション実施計画書を、誰が作るか・何を書くか・説明と同意の残し方の3つに分けて整理します。書類として成立する形にすることを中心に書きます。
結論:医師が関わった記録が要る
リハビリテーション実施計画書とは、医師やリハビリの専門職が共同で作り、本人と家族に説明して同意を得たうえで進める計画です。
ポイントはここです。医師が関わった記録が残っているか。計画書に医師の名前の欄があるだけでは足りません。説明した日と、誰が説明したかを残します。
対象となるサービスは、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション、介護老人保健施設などです。様式と要件はサービスによって違うので、所轄の指定権者(都道府県または市町村)の資料で確かめてください。
誰が関わって作るか
作成に関わるのは4つの職種です。
1つ目は、医師です。方針を決め、説明します。
2つ目は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士です。評価と訓練の内容を組み立てます。
3つ目は、看護職員です。体調の管理に関わります。
4つ目は、介護職員です。日常の生活の場面を知っています。
4つ目を入れている事業所は多くありません。訓練の場面だけを見ていると、ふだんの生活でどう困っているかが抜けます。介護職員が1人入るだけで、計画の現実味が変わります。
関わった職種は、計画書に名前を残してください。共同で作ったことの証になります。
計画書に書く6つ
書くのは6つです。
1つ目は、心身の状態です。評価の結果。
2つ目は、本人と家族の希望です。
3つ目は、目標です。短期と長期。
4つ目は、訓練の内容です。何を、どの頻度で、誰が。
5つ目は、留意すべき事項です。血圧の上限、痛みが出たときの対応。
6つ目は、見直しの時期です。
5つ目が、現場を守る欄です。「収縮期血圧180以上で中止」といった線が書いてあると、その場で判断できます。書いていないと、職員が個別に判断することになります。
目標は生活の場面で書く
目標は、訓練室の中ではなく生活の場面で書きます。
書き方の決まりは3つです。
1つ目は、場面を入れることです。「トイレまで手すりを使って歩く」。
2つ目は、数えられる形にすることです。距離、回数、介助の有無。
3つ目は、期間を書くことです。
1つ目がいちばん大事です。「筋力の向上」では、本人にも家族にも何が変わるのか伝わりません。生活の場面で書くと、達成したときに本人が実感できます。
短期の目標は3か月で届く大きさにします。届かない目標を置くと、見直しのたびに「変化なし」と書くことになります。
説明と同意をどう残すか
いちばん指摘が多いのが、ここです。残すのは4つです。
1つ目は、説明した日です。
2つ目は、説明した人です。医師か、医師の指示を受けた専門職か。
3つ目は、説明を受けた人です。本人か家族か、両方か。
4つ目は、同意の証です。署名か記名。
2つ目を書いてください。「事業所から説明」では、誰が説明したか分かりません。氏名を書く欄が無ければ、余白に書き足して構いません。
家族が遠方の場合は、電話で説明して後日に署名をもらう形もあります。その経過を記録に残します。
見直しの時期
見直すのは、定期の時期と、状態が変わったときです。
定期は、おおむね3か月ごとを目安にしている事業所が多くあります。サービスの種類によって決まりが違うので、確かめてください。
見直しの流れは4段です。
1つ目は、評価し直すことです。始めたときと同じ項目で。
2つ目は、目標に対する動きを見ることです。
3つ目は、計画を直すことです。
4つ目は、説明して同意を得ることです。
4つ目が毎回抜けます。見直したのに、同意が最初の1回だけ。内容が変わったら、そのつど同意を取り直します。
評価の項目をそろえる
見直しのたびに違う項目で評価すると、比べられません。
そろえるのは3つです。
1つ目は、使う指標です。歩行の距離、立ち上がりの回数、握力。事業所として決めます。
2つ目は、測る場面です。朝か午後か、訓練の前か後か。条件が違うと結果が変わります。
3つ目は、測る人です。できるだけ同じ職員が測ります。
2つ目が見落とされます。訓練のあとに測れば、当然よい数字が出ます。毎回同じ条件でなければ、変化なのか測り方の差なのか分かりません。
決めた条件は、計画書か評価の用紙に書いておいてください。担当が替わっても同じ測り方が続きます。
通所と訪問で違うところ
同じ実施計画書でも、通所と訪問では見る範囲が違います。
違いは3つです。
1つ目は、環境です。通所は設備が整った場所、訪問は実際に暮らす家。
2つ目は、家族の関わりです。訪問では家族が見ている前で行います。
3つ目は、目標の現実味です。訪問のほうが、生活の場面に直結します。
3つ目を生かしてください。訪問では、その家の段差でその動作ができるかを直接見られます。通所で歩けても、家の廊下で歩けるとは限りません。
通所の場合は、家の様子を聞き取って計画に入れる必要があります。家族に写真を撮ってきてもらう事業所もあります。
中止と再開の判断
リハビリは、中止する日が必ず出ます。体調、痛み、本人が乗り気でない。
決めておくのは3つです。
1つ目は、中止する基準です。血圧、体温、痛みの程度。
2つ目は、誰が判断するかです。その場の職員か、看護職員に確認するか。
3つ目は、記録の書き方です。中止した理由と、そのときの状態。
3つ目を空欄にしないでください。記録が飛んでいると、実施したのか、し忘れたのかが分かりません。
中止が続くようなら、計画の見直しの合図です。3か月を待たずに、内容が合っているかを確かめてください。
加算との関係
リハビリテーション実施計画書は、いくつかの加算の土台になります。
科学的介護推進体制加算やリハビリに関する加算では、計画の内容をLIFEに提出する要件があるものがあります。
提出する項目を先に見てから、計画書の様式を決めてください。後から項目を拾おうとすると、書き写す手間が増えます。
加算ごとに別の計画を作ると、目標が食い違います。1つの計画書から、必要な項目を出す形にするのが現実的です。
訓練の記録との対応
計画と実施の記録は、対になっていることが必要です。
残すのは4つです。
1つ目は、実施した日です。
2つ目は、行った内容です。計画のどの項目か。
3つ目は、実施した人です。
4つ目は、本人の様子です。
2つ目を、計画の項目の番号で書くと、対応が一目で分かります。「計画2の歩行練習を実施」と書くだけで、突き合わせが終わります。
家族に伝わる形にする
計画書は、家族が読むものでもあります。
工夫は3つです。
1つ目は、専門の言葉を減らすことです。
2つ目は、家でしてほしいことを1つ書くことです。
3つ目は、3か月後に結果を伝えることです。
2つ目が効きます。訓練は週に1回か2回です。残りの日をどう過ごすかで結果が変わります。家族ができる1つだけをお願いしてください。
終わりをどう決めるか
リハビリは、いつまでも続けるものではありません。終わりを決めていない計画が、惰性で続いていることがあります。
考えるのは3つです。
1つ目は、目標に届いたかです。届いたら、次の目標を立てるか、終えるかを決めます。
2つ目は、生活の中で続けられるかです。訓練の時間が無くても、日常の動作で保てる状態になっていれば、それが目指した形です。
3つ目は、本人の希望です。
2つ目が本来の着地です。訓練室でしかできないことを増やすのではなく、家の中の暮らしに戻すのが目的です。
終えるときは、その後どうするかを決めてから終えます。家での過ごし方、通いの場、家族の関わり。何も決めずに終えると、数か月で元に戻ります。
実地指導で見られるところ
見られるのは4つです。
1つ目は、医師の関わりです。
2つ目は、説明と同意の記録です。
3つ目は、見直しの記録です。
4つ目は、実施の記録との一致です。
2つ目がいちばん多い指摘です。計画書はあるのに、いつ誰が説明したかが書かれていない。欄を1つ足すだけで済む話なので、様式を見直してください。
まとめ
リハビリテーション実施計画書は、医師が関わった記録と説明と同意の記録で決まります。ここが最も多い指摘です。
作成に関わるのは医師、リハビリの専門職、看護職員、そして介護職員です。4つ目を入れると、ふだんの生活の困りごとが計画に入ります。
目標は、生活の場面で、数えられる形に書きます。「筋力の向上」では、本人にも家族にも何が変わるか伝わりません。
見直しのたびに、説明と同意を取り直してください。同意が最初の1回だけ、という形がいちばん多く見つかります。様式と要件はサービスごとに違うので、指定権者の資料で確かめてください。
よくある質問
Q. リハビリテーション実施計画書は誰が作りますか。 A. 医師とリハビリの専門職が共同で作ります。看護職員や介護職員が加わる形が望ましい形です。
Q. 医師は必ず関わりますか。 A. 関わる必要があるとされています。説明した日と、誰が説明したかを記録に残してください。
Q. 介護職員も入れるべきですか。 A. 入れてください。訓練の場面だけを見ていると、ふだんの生活でどう困っているかが抜けます。
Q. 目標が「筋力の向上」になっています。 A. 生活の場面で書き直してください。「トイレまで手すりを使って歩く」といった形です。
Q. 留意事項には何を書きますか。 A. 中止の基準を書きます。「収縮期血圧180以上で中止」といった線があると、その場で判断できます。
Q. 説明は誰がしますか。 A. 医師、または医師の指示を受けた専門職です。誰が説明したかを氏名で残してください。
Q. 家族が遠方で説明できません。 A. 電話で説明して後日に署名をもらう形もあります。経過を記録に残してください。
Q. 見直しはどのくらいの頻度ですか。 A. おおむね3か月ごとを目安にしている事業所が多くあります。サービスによって決まりが違うので確かめてください。
Q. 見直しのたびに同意が要りますか。 A. 内容が変わったら取り直します。同意が最初の1回だけという形がいちばん多く見つかります。
Q. 訓練を中止した日はどう書きますか。 A. 中止した理由と、そのときの状態を書きます。空欄にしないでください。
Q. 中止が続いています。 A. 計画の見直しの合図です。3か月を待たずに、内容が本人に合っているかを確かめてください。
Q. LIFEに提出する項目はどこで確かめますか。 A. 加算の要件に示されています。提出する項目を先に見てから、計画書の様式を決めると手間が減ります。
Q. 加算ごとに別の計画を作りますか。 A. 1つの計画書から必要な項目を出す形が現実的です。別々に作ると目標が食い違います。
Q. 実施の記録はどう書きますか。 A. 実施した日、行った内容、実施した人、本人の様子の4つです。計画の項目の番号で書くと対応が一目で分かります。
Q. 家族に読んでもらえません。 A. 専門の言葉を減らし、家でしてほしいことを1つだけ書いてください。訓練は週1回か2回、残りの日をどう過ごすかで結果が変わります。
Q. 短期と長期の目標はどう分けますか。 A. 短期は3か月で届く大きさ、長期はその先です。短期を先に決めると書きやすくなります。
Q. 様式はどこにありますか。 A. サービスによって示されている様式があります。所轄の指定権者の資料で確かめてください。
Q. リハビリはいつまで続けますか。 A. 目標に届いたか、生活の中で続けられるか、本人の希望の3つで考えます。訓練の時間が無くても保てる状態になれば、それが目指した形です。
Q. 終えるときに気をつけることは。 A. その後どうするかを決めてから終えてください。家での過ごし方、通いの場、家族の関わり。何も決めずに終えると数か月で元に戻ります。
Q. 評価のたびに数字がばらつきます。 A. 測る場面と測る人をそろえてください。訓練のあとに測れば当然よい数字が出ます。条件を計画書か評価の用紙に書いておきます。
Q. 通所と訪問で書き方は変わりますか。 A. 見る範囲が違います。訪問はその家の段差でその動作ができるかを直接見られます。通所の場合は家の様子を聞き取って計画に入れてください。
Q. 保存期間は。 A. 介護保険のほかの記録と同じ扱いです。自治体の条例を確かめてください。