科学的介護推進体制加算|LIFEに出す項目と記録
目次
加算は取り始めた。ところが担当者が1人でLIFEに入力していて、その人が休んだ月に提出が止まる。返ってきたフィードバックは開かれないまま、フォルダにたまっていく。よくある形です。
この記事では、科学的介護推進体制加算を、何を出すか・いつ出すか・出したあとに何を記録に残すかの3つに分けて整理します。加算を続けられる段取りを作ることを中心に書きます。
結論:出すことより、続けることが難しい
科学的介護推進体制加算とは、利用者ごとの心身の状況をLIFEに提出し、返ってきた情報を使ってサービスの内容を見直している場合に算定する加算です。
LIFE(ライフ)は、国が運営している科学的介護情報システムのことです。事業所が入力した情報を集め、全国の傾向と比べた結果を返してきます。
単位数は、通所系・居住系・多機能系のサービスで月40単位です。施設系のサービスは区分が分かれていて、月40単位から60単位の幅があります。自分の事業所がどの区分にあたるかは、所轄の指定権者(都道府県または市町村)の資料で確かめてください。
ポイントはここです。始めるより、続けるほうが難しい加算です。提出が1回抜けた月が出ると、その月は算定できません。担当者が1人だけの体制だと、その人の休みや退職でそのまま止まります。
LIFEに出す項目
提出するのは、利用者ごとの心身の状況です。一般には次のような区分で入力します。
1つ目は、基本の情報です。氏名、生年月日、要介護度、既往歴、服薬の状況。
2つ目は、日常の動作です。食事、移乗、排せつ、入浴などの自立の度合い。
3つ目は、栄養です。身長、体重、食事の摂取量、体重の変化。
4つ目は、口腔です。歯や入れ歯の状態、飲み込み、口の清潔。
5つ目は、認知症に関する状況です。日常生活の自立度、行動や心理の状態。
2つ目から5つ目は、ふだんの記録から拾えます。新しく測り直すのではなく、毎日の記録とアセスメントに入っている情報を集める形にすると続きます。
入力する項目は、加算の区分やサービスの種類によって違います。必須の項目が抜けているとエラーになるので、最初の1人分を入れるときに全部の欄を通して確かめてください。
いつ出すか
提出の時期でつまずく事業所が多くあります。目安は3つです。
1つ目は、サービスを始めたときです。新しく利用が始まった方の情報を入れます。
2つ目は、定期の提出です。少なくとも数か月に1回の間隔で出すこととされています。
3つ目は、状態が変わったときです。入院や退院、要介護度の変更など。
提出の期限は、その月のうちではありません。翌月の決められた日までに出す形になっているので、月末の忙しさに巻き込まれない段取りにできます。具体的な期限は最新の案内で確かめてください。
2つ目を固定の予定にします。「3か月に1回」と決めても、予定表に入っていなければ流れます。担当者の予定に、提出する日を先に入れておくのが確実です。
利用者ごとに提出の時期がずれると、管理が難しくなります。事業所として月を決めて、その月に全員分を出す形にしている事業所もあります。どちらの形にするかを最初に決めて、対象者の一覧に次回の提出月を書いておいてください。
3つ目の「状態が変わったとき」は、見落としやすいところです。入院から戻った方、要介護度が変わった方を、毎月の申し送りで拾う流れにしておくと抜けません。
提出を止めないための3つ
担当者が1人だけの体制は、いちばん危ない形です。止めないための工夫が3つあります。
1つ目は、入力できる人を2人以上にすることです。アカウントの管理を含めて、2人が触れる状態にします。
2つ目は、提出の記録を残すことです。いつ、誰が、何人分を出したか。画面の中だけで完結させないのが要点です。
3つ目は、提出の前に一覧で確かめることです。対象者の名簿と、入力が済んだ人を突き合わせます。
2つ目が後から効きます。実地指導で「いつ提出しましたか」と聞かれたとき、システムの画面を開いて探すことになります。紙でもファイルでも、提出した日を並べた一覧が1枚あれば説明が終わります。
提出が漏れた月が出た場合は、その月は算定しない判断をします。出していないのに算定した状態は、返戻や返還につながります。
返ってきたものをどう使うか
この加算は、出して終わりではありません。返ってきた情報をサービスの見直しに使うことが要件に入っています。
使い方は3段です。
1つ目は、見る場を決めることです。担当者会議や、毎月のミーティングの議題に入れます。
2つ目は、1つだけ決めることです。返ってきた内容から、取り組む点を1つに絞ります。
3つ目は、記録に残すことです。いつ、誰が見て、何を決めたか。
2つ目がいちばん大事です。フィードバックには項目がたくさん並んでいます。全部に手をつけようとすると、結局どれも動きません。今月はここ、と1つだけ決める形が続きます。
決めたことは、次のケアプランやサービスの計画に反映します。見ただけで終わると、要件を満たしたと説明しづらくなります。
入力の手間を減らす
入力そのものが重いと、どんな段取りを作っても続きません。手間を減らす方法が4つあります。
1つ目は、紙で先にそろえることです。入力する項目を並べた用紙を作り、担当の職員が記入してから、まとめて入力します。画面を見ながら情報を探す時間が消えます。
2つ目は、記録のソフトから出す機能を使うことです。介護ソフトによっては、LIFEに出す形式で書き出せるものがあります。導入しているソフトに機能があるかを、販売元に確かめてください。
3つ目は、入力の順番を固定することです。利用者の五十音順など、毎回同じ順番で入れます。途中で止めても、どこまで終わったかが分かります。
4つ目は、時間を測っておくことです。1人あたり何分かかるかを1回測ると、必要な時間が見積もれます。見積もりがあると、予定に入れられます。
1つ目から始めてください。紙に書き出す形は、どの事業所でもすぐ試せます。慣れてきたら、そのまま入力する人が減らせます。
入力の時間は、利用者が増えるほど積み上がります。20人で1人5分なら100分です。月に1回の作業として予定に入るかどうかを、始める前に見ておきます。
利用者への説明と同意
情報をLIFEに提出することは、利用者に説明しておきます。
説明で伝えるのは3つです。
1つ目は、何を出すかです。心身の状況の情報であること。
2つ目は、何に使われるかです。全国の状況と比べた結果が返り、サービスの見直しに使うこと。
3つ目は、個人が特定される形では扱われないことです。
契約のときの説明にまとめて入れておく形が一般的です。重要事項説明書や個人情報の同意書に、LIFEへの提出が含まれているかを確かめてください。古い様式のままだと書かれていないことがあります。
つまずきやすい4つ
実際に止まりやすいのは4つです。
1つ目は、担当者が1人だけの体制です。その人が休むと止まります。
2つ目は、提出したかどうかが分からなくなることです。記録が画面の中にしかない状態。
3つ目は、フィードバックを開いていないことです。提出はしているが、使っていない。
4つ目は、入力の内容がふだんの記録と食い違うことです。LIFEには自立と入れたのに、日々の記録では介助が必要と書かれている、という形。
4つ目は見落とされがちです。入力する人と、日々の記録を書く人が違うと起こります。入力の前に、直近の記録を見てから入れる手順にしておくと防げます。
まとめ
科学的介護推進体制加算は、利用者の心身の状況をLIFEに提出し、返ってきた情報をサービスの見直しに使うことで算定します。通所系・居住系・多機能系は月40単位、施設系は区分により月40単位から60単位の幅があります。
出す項目は、基本の情報・日常の動作・栄養・口腔・認知症に関する状況です。ふだんの記録とアセスメントから拾える形にすると続きます。
いちばん難しいのは続けることです。入力できる人を2人以上にし、提出した日の一覧を紙かファイルで持つ。この2つで、止まる事故のほとんどは防げます。
返ってきた情報は、見る場を決めて、1つだけ取り組む点を決めて、記録に残します。全部に手をつけると動きません。区分・単位数・提出の期限は、所轄の指定権者と最新の案内で確かめてください。
よくある質問
Q. 科学的介護推進体制加算の単位数はいくらですか。 A. 通所系・居住系・多機能系は月40単位です。施設系は区分により月40単位から60単位の幅があります。自分の区分は指定権者の資料で確かめてください。
Q. LIFEとは何ですか。 A. 国が運営している科学的介護情報システムのことです。事業所が入力した情報を集め、全国の傾向と比べた結果を返します。
Q. 提出はどのくらいの頻度ですか。 A. 開始時、定期、状態が変わったときの3つが目安です。定期の間隔は最新の案内で確かめ、予定表に提出する日を入れておいてください。
Q. 提出を忘れた月はどうなりますか。 A. その月は算定しない判断になります。出していないのに算定すると、返戻や返還につながります。
Q. 入力する情報は新しく測り直しますか。 A. ふだんの記録とアセスメントから拾えます。新しく測り直す前提にすると、負担が重くなって続きません。
Q. 誰が入力しますか。 A. 決まりはありません。ただし1人だけにすると、その人が休んだ月に止まります。2人以上が触れる状態にしてください。
Q. フィードバックは必ず見なければいけませんか。 A. 返ってきた情報をサービスの見直しに使うことが要件に入っています。見た記録と、決めたことを残してください。
Q. フィードバックの内容が多すぎて使いきれません。 A. 1つだけ選んで構いません。今月はここ、と決めた記録が残っていれば説明できます。全部に手をつけると結局動きません。
Q. 利用者の同意は要りますか。 A. 説明しておきます。契約のときの重要事項説明書や個人情報の同意書に、LIFEへの提出が入っているかを確かめてください。
Q. ほかのLIFE関連の加算と一緒に取れますか。 A. 併せて算定できる加算があります。入力する項目が重なることもあるので、どの加算でどの項目が要るかを一覧にしておくと楽です。
Q. 入力の内容と日々の記録が食い違っていました。 A. 入力の前に直近の記録を見る手順にしてください。食い違いに気づいたら、どちらが正しいかを確かめて両方を直します。
Q. 提出の記録はどう残しますか。 A. いつ、誰が、何人分を出したかを1枚の一覧にします。紙でもファイルでも構いません。画面の中だけに置かないのが要点です。
Q. 途中で利用をやめた方の情報はどうしますか。 A. 終了の時点の情報を出す扱いになる場合があります。対象者の名簿を更新して、誰が対象かを毎回はっきりさせてください。
Q. 実地指導では何を見られますか。 A. 提出の状況、フィードバックを使った記録、利用者への説明の3つです。この3つが同じ場所から出てくると説明が早く終わります。
Q. 加算を取るのをやめたくなったら。 A. 体制の変更として届け出る形になります。やめる月の扱いを窓口に確かめてください。出していないのに算定した状態のまま放置しないことが大事です。
Q. 入力に時間がかかりすぎます。 A. 紙で先にそろえてからまとめて入力する形を試してください。介護ソフトに書き出しの機能があることもあります。1人あたりの時間を1回測ると、予定に入れられます。
Q. 提出の形式が分かりません。 A. LIFEの操作の手引きが公開されています。最初の1人分を入れるときに、必須の欄を通して確かめると、その後が早くなります。
Q. 利用者が入院しました。その月はどうなりますか。 A. サービスを提供していない月の扱いは、加算の区分によって違います。対象者の一覧に入退院の日を書いておき、提出の対象かどうかを毎月確かめてください。
Q. 職員が交代するときは何を引き継ぎますか。 A. アカウントの管理、提出した日の一覧、次回の提出月、フィードバックの置き場所の4つです。この4つが書いてあれば、引き継いだ人がその月から続けられます。
Q. 提出の担当は事務の職員でもよいですか。 A. 構いません。ただし入力する内容は利用者の状態なので、現場の職員が書いた記録を見ながら入れる形にしてください。事務だけで完結させると、実態と食い違います。
Q. 同じ内容を何度も入れ直すことになります。 A. 前回の内容を写して、変わった項目だけ直す形にできる場合があります。操作の手引きで確かめてください。毎回ゼロから入れる運用は続きません。
Q. 小さな事業所でも取れますか。 A. 規模の条件はありません。ただし入力の手間が固定でかかるので、入力できる人を2人にできるかを先に考えてから始めるのが安全です。