協力医療機関連携加算|会議の記録の残し方
目次
協力医療機関とは契約を結んでいる。往診にも来てもらっている。それなのに加算を取っていない、あるいは取っているが記録が残っていない。実地指導で「会議をした証拠を見せてください」と言われて詰まる事業所が多くあります。
この記事では、協力医療機関連携加算を、会議の開催・記録の残し方・要件が変わった点の3つに分けて整理します。単位数や要件の一覧ではなく、何を書いて残せば算定を説明できるかを中心に書きます。
結論:加算の実体は「会議を開いた記録」
協力医療機関連携加算とは、介護保険施設などが協力医療機関と定期的に会議を開き、利用者の病歴などの情報を共有している場合に算定する加算です。
名前は「連携」ですが、算定の根拠として外から見えるのは、会議を開いた記録だけです。契約書があっても、往診の実績があっても、会議の記録が無ければ説明できません。
ポイントはここです。会議の記録に、出席者と共有した内容が書いてあるかどうか。日付と「実施した」だけの記録では足りません。
単位数と算定できるサービスの種類は、施設の区分や協力医療機関の種類によって分かれています。最新の単位数は、所轄の指定権者(都道府県または市町村の介護保険担当課)が出している資料で確かめてください。
2026年6月から、会議の頻度の扱いが変わった
協力医療機関連携加算で、いちばん手が止まるのが会議の頻度です。ここが2026年6月から変わりました。
従来は、会議を定期的に開催するという要件について、おおむね月1回以上という扱いが示されていました。月1回は実務としては重く、算定をあきらめた事業所もあります。
2026年5月に出た通知(介護保険最新情報)で、電子的なシステムによって協力医療機関が入所者・入居者の情報を随時確認できる体制が確保されている場合は、会議は年1回以上で足りるとされました。令和8年6月の算定分からの扱いです。
変わったのは頻度の扱いであって、記録が要らなくなったわけではありません。むしろ年1回になるほど、その1回の記録が算定の全体を支えることになります。
なお、電子的なシステムで情報を確認できる体制という部分は、何をもってその体制と言えるかが事業所ごとに違います。ここは自己判断で決めず、所轄の指定権者に確かめてから運用を決めるのが安全です。
会議の記録に残す6つ
会議の記録に残すのは6つです。
1つ目は、開催した日時です。年月日と開始・終了の時刻まで書きます。
2つ目は、出席者です。施設側と医療機関側の両方。氏名と職種を書きます。
3つ目は、開催の方法です。対面か、オンラインか。オンラインなら使った手段も書きます。
4つ目は、共有した利用者の範囲です。全入所者か、対象を絞ったか。
5つ目は、共有した内容です。病歴、服薬、急変時の対応方針など。
6つ目は、決めたことです。次回の開催予定、変更した手順、引き継いだ事項。
2つ目と5つ目が抜けやすいところです。出席者が「医療機関1名」としか書かれていない記録、共有した内容が「情報共有を行った」で終わっている記録。どちらも、後から見て何をしたか分かりません。
氏名を書くのが難しい場面もあります。その場合でも、職種と人数は必ず残します。医師が出たのか、看護師だけだったのかで、会議の中身は変わります。
同意をどう残すか
情報を共有する会議は、利用者の同意を得て行うものとされています。ここの記録も要ります。
同意の取り方は2つあります。
1つ目は、契約時にまとめて取る形です。重要事項説明書や個人情報の同意書に、協力医療機関との情報共有を含めておきます。多くの施設がこの形です。
2つ目は、会議のたびに取る形です。対象を絞って共有する場合に向いています。
1つ目を取る場合は、同意書の文言に「協力医療機関との情報共有」が入っているかを確かめてください。古い様式のままだと、個人情報の利用目的に医療機関との共有が書かれていないことがあります。
同意を取り直した場合は、取り直した日付を残します。入れ替えて古いほうを捨ててしまうと、いつからの同意なのかが分からなくなります。
会議で何を話すか
会議の中身が決まらず、集まっただけで終わってしまう事業所があります。話す順番を決めておくと、短い時間でも記録に書ける内容が残ります。
一般には、次の4つを順に扱っている施設が多くあります。
1つ目は、前回からの変化です。入退所、入院した方、状態が変わった方。名前を挙げて短く共有します。
2つ目は、急変時の対応方針です。夜間や休日に何かあったとき、どこへ連絡し、どこまで施設で対応するか。ここが決まっていないと、現場は毎回迷います。
3つ目は、服薬と受診の段取りです。定期の往診の日、処方の変更、受診に付き添う方の調整。
4つ目は、次回の予定です。日程だけでなく、次に扱う話題も決めておきます。
2つ目がいちばん現場の役に立つ部分です。加算のための会議という意識で進めると、要件の確認だけで終わります。実際に夜勤の職員が困っていることを1つ持ち込むと、会議の内容が具体的になり、記録にも書けます。
話したことをその場で書けるように、記録の用紙を先に配っておく形にしている施設もあります。会議のあとにまとめて書こうとすると、細かい部分が落ちます。
算定までの流れ
算定までは4段です。
1つ目は、協力医療機関の確認です。契約の内容が、加算で求められている対応を含んでいるかを見ます。
2つ目は、届出です。所轄の指定権者へ、決められた様式で届け出ます。
3つ目は、会議の開催です。要件に合う頻度で開き、記録を残します。
4つ目は、請求です。算定する月の請求に反映します。
2つ目でつまずくことがあります。届出の様式と提出先は自治体によって案内が違います。ホームページに様式が置かれている自治体もあれば、窓口に取りに行く形の自治体もあります。
届出をした控えは、会議の記録と同じつづりに入れておきます。実地指導では、届出と記録を並べて見られます。
協力医療機関の側にも記録が残る
この加算は、施設と医療機関の両方に記録が残る形になります。
医療機関の側も、診療報酬の枠組みの中で連携の実績を扱っています。会議の日時や出席者が食い違うと、どちらかの記録が誤っていることになります。
そろえるのは3つです。
1つ目は、開催した日時です。同じ日時で書きます。
2つ目は、出席者です。双方の出席者を、両方の記録に書きます。
3つ目は、次回の予定です。次に開く時期を、その場で決めて双方に残します。
3つ目を決めずに終わると、次の開催が流れます。年1回の運用にする場合はなおさらで、1年後に「そういえば開いていない」となりがちです。開いた日に次を決めるのが、いちばん確実な形です。
つまずきやすい4つ
実地指導で指摘されやすいのは4つです。
1つ目は、記録に出席者が書かれていないことです。「関係者で実施」では、誰が出たか分かりません。
2つ目は、共有した内容が具体的でないことです。何の情報を、どの範囲で共有したかを書きます。
3つ目は、同意の記録が見当たらないことです。契約書のつづりに入っていて、会議の記録から辿れない形も含みます。
4つ目は、頻度が要件と合っていないことです。要件が変わった時期をまたぐ場合、どちらの扱いで運用していたかを説明できるようにします。
4つ目は、2026年6月をまたぐ事業所で起きます。改正前の記録と改正後の記録が同じつづりに並ぶので、どの時期にどの要件で運用していたかをひと言書き足しておくと、説明が早くなります。
記録をどこに置くか
会議の記録は、探せる場所に置くことが大事です。
置き方は3つあります。
1つ目は、医療連携の専用のつづりを作る形です。協力医療機関との契約書、届出の控え、会議の記録をまとめます。
2つ目は、委員会の記録と同じつづりにする形です。事故防止や感染症の委員会と並べて時系列で追えます。
3つ目は、電子化して共有の場所に置く形です。会議をオンラインで行っている場合は、こちらが扱いやすくなります。
1つ目を勧めます。加算の説明に必要なものが1か所にそろい、担当者が替わっても引き継げます。
保存する期間は、介護保険の記録と同じ扱いになります。自治体の条例で年数が違うので、介護の書類の保存期間の考え方と合わせて決めてください。
まとめ
協力医療機関連携加算は、会議を開いた記録が算定の実体です。契約書や往診の実績があっても、会議の記録が無ければ説明できません。
会議の記録に残すのは6つ。日時、出席者、開催の方法、共有した利用者の範囲、共有した内容、決めたこと。出席者と共有した内容が抜けやすいところです。
2026年6月から、電子的なシステムで協力医療機関が情報を随時確認できる体制がある場合、会議は年1回以上で足りるとされました。頻度が下がるほど、その1回の記録の重さが増します。
同意は、契約時にまとめて取る形が多くあります。同意書の文言に協力医療機関との情報共有が含まれているかを確かめてください。単位数・届出の様式・体制の判断は、所轄の指定権者(都道府県または市町村の介護保険担当課)に確かめてから運用を決めます。
よくある質問
Q. 協力医療機関連携加算は、どのサービスで算定できますか。 A. 介護保険施設や居住系のサービスが対象とされています。サービスの種類によって区分と扱いが違うので、所轄の指定権者の資料で確かめてください。
Q. 会議は対面でないといけませんか。 A. オンラインで行っている施設もあります。記録には、対面かオンラインかと、使った手段を書いておきます。
Q. 会議の時間はどのくらい必要ですか。 A. 時間の定めは示されていません。短くても、共有した内容が記録に書ければ足ります。形だけ長く開くより、内容を残すほうが大事です。
Q. 出席者は医師でないとだめですか。 A. 職種の定めが示されている場合があります。医師が出られない回もあるので、誰が出たかを記録に残して、後から説明できる形にしておきます。
Q. 会議の記録の様式は決まっていますか。 A. 決まった様式が無い場合が多くあります。自治体が様式を示していることもあるので、届出の案内と合わせて確かめてください。
Q. 2026年6月の変更で、もう月1回開かなくてよいのですか。 A. 電子的なシステムで協力医療機関が情報を随時確認できる体制が確保されている場合に、年1回以上で足りるとされました。体制があるかどうかの判断が先です。自己判断せず確かめてください。
Q. 電子的なシステムとは、具体的に何を指しますか。 A. 施設の記録を協力医療機関が随時見られる仕組みを指します。導入しているソフトで該当するかは、所轄の指定権者に確かめるのが確実です。
Q. 同意は毎回取り直しますか。 A. 契約時にまとめて取る形が多くあります。共有する範囲を変える場合は、取り直しておくと説明しやすくなります。
Q. 入所者が入れ替わったら、同意はどうなりますか。 A. 新しく入所した方については、入所の契約のときに取ります。同意が取れている人の範囲を一覧にしておくと抜けません。
Q. 届出はどこに出しますか。 A. 所轄の指定権者です。都道府県の場合と市町村の場合があります。様式も自治体ごとに違うので、ホームページか窓口で確かめてください。
Q. 届出を出し忘れていました。さかのぼれますか。 A. さかのぼっての算定は認められないのが一般的です。届出の受理日と算定の開始月の関係を、窓口に確かめてください。
Q. 会議の記録は何年残しますか。 A. 介護保険の記録と同じ扱いになります。自治体の条例で年数が違うので、条例を確かめて決めてください。
Q. 協力医療機関が複数あります。会議は別々に開きますか。 A. 医療機関ごとに連携の内容が違うので、別々に開いて別々に記録を残す形が分かりやすくなります。まとめて開く場合は、どの医療機関の話かが分かる記録にします。
Q. オンラインの会議で、画面の記録を残す必要はありますか。 A. 画面の保存までは求められていないのが通常です。出席者と内容を文字で残してあれば説明できます。
Q. 実地指導では何を見られますか。 A. 契約書、届出の控え、会議の記録、同意の記録です。この4つが同じ場所から出てくると、説明の時間が短くなります。
Q. 会議を開いたのに記録を書き忘れました。 A. 気づいた時点で、開催した事実にもとづいて書きます。後から書いた日付も残します。日付をさかのぼって書いたように見える記録は、かえって疑われます。
Q. 会議の記録は、誰が書きますか。 A. 決まりはありません。施設側で出た職員のうち1人を書く人に決めておくと、毎回同じ形で残ります。書いた人の氏名も記録に入れておくと、後から内容を確かめるときに聞ける相手が分かります。
Q. 職員が替わって、前の記録が見当たりません。 A. 残っている範囲で経緯を整理し、以降の記録の置き場所を決め直してください。専用のつづりを作り、引き継ぎの書類にその場所を書いておくと再発しません。