保育の記録と安全書き方2026.08.07 公開HK-51

検食簿の書き方|30分前に食べて何を見るか

目次

検食簿は毎日つけている。ところが「おいしい」「普通」といった感想が並ぶだけで、何のために書いているのかが伝わっていない。担当が代わると、書き方も変わります。

この記事では、検食簿を、何のための記録か・見る項目・書き方の3つに分けて整理します。読み終えたときに、自社の様式を決められる状態を目指します。

アレルギーへの対応から確かめたい方は、こちらを読むと早いです。→ アレルギー対応の手順

結論:子どもが食べる前に、異常が無いかを確かめる

検食簿とは、提供する食事を、子どもが食べる前に職員が食べて、異常が無いかを確かめた記録のことです。

目的は、食中毒や異物の混入を、提供の前に見つけることです。感想を書くためのものではありません。

食べる前に確かめる130分前担当が一人分を食べる2確かめる異物・におい・加熱・3記録時刻と確かめた人4異常あり止めて代わりを出す
提供前の検食から、異常があったときの流れを示したフロー

ポイントはここです。食べるのは、提供のおおむね30分前とされている形が一般的です。異常があったときに、提供を止める時間を確保するためです。

食べた後に書くのではなく、食べながら見るものです。見る項目が決まっていないと、感想になります。

見る項目

確かめるのは5つです。

1つ目は、異物の混入です。髪の毛、包装の破片、金属、虫。

2つ目は、味と匂いです。酸味、変な匂い、いつもと違う味。

3つ目は、加熱の状態です。中心まで火が通っているか。肉や魚の中が赤くないか。

4つ目は、量と大きさです。年齢に合っているか。大きすぎると誤嚥につながります。

5つ目は、温度です。熱すぎないか、冷たすぎないか。

主な見る項目項目気づきたいこと異物髪・包装の切れ端・骨におい酸っぱい・薬っぽい加熱と温度中心まで火が通ったか味と量濃すぎないか、多すぎないか
主な見る項目と、気づきたいことを並べた表

3つ目と4つ目が、安全に直結します。加熱が不十分だと食中毒、大きすぎると誤嚥。どちらも提供の前に止められます。

アレルギーの除去食も、別に検食します。間違ったものが入っていないかを、提供の前に確かめます。

書き方

記録に残すのは6つです。

日付と食事の区分。給食、おやつ、離乳食。

検食した時刻。提供の何分前か。

検食した人の氏名。

5つの項目の結果。異常の有無。

気づいたこと。異常があった場合の内容。

取った対応。

様式の主な項目項目抜けやすいところ日付と食べた時刻提供の前の時刻か献立名献立表と照合できるか確かめた項目印を付ける形に異常の有無と記入者有りのときだけ書く
様式の主な項目と、抜けやすいところを並べた表

選択式にすると続きます。「異物:なし/あり」「加熱:良/不良」。丸を付けたうえで、気づいたことだけ書く形にします。

「おいしかった」は記録として意味が薄くなります。味は「異常な味がしないか」を見る項目であって、好き嫌いを書く欄ではありません。

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実際に使える様式が必要な方へ

検食簿のExcelの様式が、商い屋の保育向けのページにあります。この記事は書き方の話です。

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誰が検食するか

検食する人を決めておきます。決めるのは3つです。

1つ目は、担当者です。施設長や、あらかじめ決めた職員。

2つ目は、不在のときの代わりです。毎日のことなので、休みの日も回る形にします。

3つ目は、調理した人以外が行うかです。作った人が自分で確かめるより、別の人のほうが気づきやすくなります。

担当を決めておく主の担当園長や施設長など副の担当休みの日に代わる作った人検食はしない
担当・代わり・作った人との関係という3つを並べた層の図

2つ目を決めていないと、担当が休んだ日に検食が飛びます。記録に空白の日ができます。

離乳食やアレルギーの除去食がある場合、それぞれ検食します。普通食だけを確かめても、除去食の異常は分かりません。

異常があったときの流れ

異常を見つけたときの動きを決めておきます。4段です。

1つ目は、提供を止めることです。まず出さない。

2つ目は、報告です。施設長、調理の担当。

3つ目は、原因の確認です。どこで混入したか、どの工程か。

4つ目は、代わりの食事の手当てです。提供できるものを用意します。

異常があったときの4段1止める提供をその場で止める2報告園長と調理の責任者へ3確認同じ材料の他の料理も4代替代わりの食事を出す
止める・報告・確認・代替という4段のフロー

1つ目がいちばん大事です。「少しだけだから」と出してしまうと、後から問題になります。

記録には、止めた理由と、代わりに何を出したかを書きます。保護者への説明が必要になる場合もあります。

止めた判断は、責められるものではありません。止めたことを評価する空気にしておかないと、次から報告が上がりません。

保存食との違い

検食と似た言葉に、保存食があります。別のものです。

検食は、提供の前に食べて確かめること。

保存食は、提供した食品を、後から調べられるように保存しておくこと。

検食と保存食は別検食提供の前に食べる安全を確かめる出すかどうかを決める保存食提供のときに採る一定期間冷凍する後から原因を調べる
検食と保存食で、目的と時点が違うことを並べた比較の図

保存食は、食中毒などが起きたときに原因を調べるためのものです。原材料と調理済みの食品を、定められた期間と温度で保存する形が案内されています。

2つは別に行います。検食したから保存食が不要、ということにはなりません。

保存の方法(量、容器、温度、期間)は、衛生管理の手引きなどで示されています。所管の自治体や保健所に確かめます。

給食日誌とのつながり

検食簿と給食日誌を、別に持つか一緒にするかを決めます。

給食日誌には、献立、食数、調理の状況、残食などを書きます。検食の結果を同じ紙に書いている施設もあります。

一緒にする利点は、1枚で済むことです。分ける利点は、検食の記録だけを抜き出せることです。

どちらでもかまいませんが、検食の項目が埋まっているかが分かる形にします。日誌の隅に「検食済」とだけ書く形だと、何を見たかが残りません。

衛生管理とのつながり

検食は、衛生管理の一部です。あわせて確かめることが3つあります。

1つ目は、調理する人の健康管理です。下痢や嘔吐、手の傷。出勤前の確認の記録。

2つ目は、調理室の衛生です。温度、清掃、器具の管理。

3つ目は、食材の管理です。納品の確認、保存の温度、期限。

この3つと検食がそろって、はじめて備えになります。検食だけを行っていても、手前の工程で問題があれば防げません。

大量調理の衛生管理に関する手引きなどが示されています。自社の規模で何が求められるかを確かめます。

アレルギーのある子の検食

アレルギーの除去食や代替食を出している園では、その食事についても確かめる必要があります。通常の検食だけでは足りません。

確かめるのは4つです。

1つ目は、除去されているかです。原因の食品が入っていないか。献立表と現物を突き合わせます。

2つ目は、取り違えが起きない形になっているかです。トレーの色、名札、置く場所。

3つ目は、調理の順番です。混入が起きない順番で作られているか。

4つ目は、受け渡しの人です。誰が運び、誰が確かめて、誰が配るか。

4つを検食簿とは別の欄か別紙に残します。通常の検食簿に紛れさせると、確かめた記録が探せなくなります。アレルギーは、命に関わる事故につながります。

職員が交代しても続く形にする

検食は、担当が休んだ日に抜けやすい記録です。続く形にしておきます。

工夫は3つあります。

1つ目は、担当を2人決めることです。主と副。休みの日は副が行います。

2つ目は、時刻を固定することです。「子どもが食べ始める30分前」を、園の時程に組み込みます。時刻が決まっていれば、誰でも動けます。

3つ目は、見る項目を印刷しておくことです。毎回同じ項目を確かめる形にすると、人による差が減ります。

空欄の日が出たら、原因はほぼ時刻の問題です。「あとで書く」にすると、食べる前に確かめるという意味がなくなります。

監査で見られるところ

検食簿は、指導監査で確かめられる書類の1つです。見られる部分は決まっています。

見られるのは4つです。

1つ目は、毎日あるかです。給食を提供した日の分が揃っているか。

2つ目は、食べた時刻です。提供の前の時刻になっているか。

3つ目は、書いた人です。名前があるか。

4つ目は、異常があった日の対応です。異常を書いた日に、その後どうしたかが残っているか。

4つのうち抜けやすいのは2つ目です。時刻の欄が無い様式を使っていると、提供の前に食べたことを示せません。時刻の欄がある様式に替えるだけで、この指摘は消えます。

保存の期間は自治体によって扱いが違うので、所轄の市町村の保育担当課に確かめてください。

様式に入れておきたい欄

検食簿の様式は、園によって中身がまちまちです。入れておくと役に立つ欄は決まっています。

入れるのは5つです。

1つ目は、日付と食べた時刻です。提供の前であることを示せます。

2つ目は、献立名です。あとから献立表と突き合わせられます。

3つ目は、確かめた項目の欄です。異物、におい、加熱、味、量、温度。印を付ける形にします。

4つ目は、異常の有無と内容です。有無を丸で囲み、有りのときだけ書きます。

5つ目は、検食した人の名前です。

5つで1行になる形にすると、1日1行で1か月が1枚に収まります。枚数が減ると、見返しやすくなります。

まとめ

検食簿は、提供の前に職員が食べて、異常が無いかを確かめた記録です。感想を書くためのものではありません。

食べるのは提供のおおむね30分前とされている形が一般的です。異常があったときに、提供を止める時間を確保するためです。

見るのは5つ。異物、味と匂い、加熱の状態、量と大きさ、温度。3つ目と4つ目が安全に直結します。

検食と保存食は別のものです。検食は提供の前に食べて確かめること、保存食は後から調べられるように保存すること。方法は、所管の自治体や保健所に確かめるのが確実です。

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実際に使える様式が必要な方へ

検食簿のExcelの様式が、商い屋の保育向けのページにあります。5つの項目を選択式にした形です。

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よくある質問

Q. 検食は毎食必要ですか。 A. 提供する食事について行う形が基本です。給食、おやつ、離乳食、アレルギーの除去食。それぞれ確かめます。1つの記録にまとめる場合も、区分ごとに欄を分けておくと抜けません。

Q. 誰が検食しますか。 A. 施設長やあらかじめ決めた職員が行う形が一般的です。調理した人以外のほうが気づきやすくなります。担当が不在のときの代わりも決めておかないと、記録に空白の日ができます。

Q. 30分前でないといけませんか。 A. おおむね30分前とされている形が一般的です。異常があったときに提供を止め、代わりを用意する時間が必要なためです。直前だと、止める判断がしにくくなります。

Q. アレルギーの除去食も検食しますか。 A. します。除去食は、間違ったものが入っていないかを確かめる意味が大きくなります。普通食だけを確かめても、除去食の異常は分かりません。区分ごとに記録を残します。

Q. 「おいしい」と書いてはいけませんか。 A. 書いてはいけないわけではありませんが、それだけだと確かめた項目が残りません。異物・味と匂い・加熱・量と大きさ・温度の5つを選択式で残したうえで、気づいたことを書く形にします。

Q. 異常を見つけたら、必ず止めますか。 A. 止めるのが基本です。「少しだけだから」と出すと、後から問題になります。止めた判断は責められるものではありません。止めやすい空気にしておかないと、次から報告が上がりません。

Q. 保存食はどれくらい保存しますか。 A. 量、容器、温度、期間について示されているものがあります。所管の自治体や保健所に確かめます。検食とは別に必要なので、両方を行います。

Q. 外部から給食を搬入している場合も検食しますか。 A. 提供する食事について確かめる形になります。搬入元でも検食が行われていても、提供する側で確かめる意味は変わりません。搬入時の温度の確認もあわせて記録します。

Q. 記録は何年残しますか。 A. 保存の期間は自治体の基準によります。衛生管理に関する記録とあわせて残している施設が多くあります。所管の自治体に確かめます。

Q. 給食日誌と一緒にしてもよいですか。 A. 一緒にしている施設もあります。ただし、検食の項目が埋まっているかが分かる形にします。日誌の隅に「検食済」とだけ書く形だと、何を見たかが残りません。

Q. 検食は園長が行わなければなりませんか。 A. 園長や施設長が行う形が多く使われていますが、行える人の範囲は自治体の指導によって違います。行った人の名前が残ることが前提です。所轄の市町村の保育担当課に確かめてください。

Q. 午後のおやつも検食しますか。 A. 提供するものは確かめる形が基本です。おやつの欄を検食簿に設けておくと、抜けません。市販の個包装のものだけの日も、開封して確かめた記録を残します。

Q. 感想を書く欄は必要ですか。 A. 味や量の感想は、献立の見直しに使えます。ただし感想だけの記録にしないことです。異物、におい、加熱、温度といった安全に関わる項目を先に置いて、感想はそのあとに置きます。

Q. 検食簿と保存食の記録は同じ紙にできますか。 A. 分けたほうが確かめやすくなります。保存食は採取した日時と保存の温度、廃棄した日を残すもので、見る目的が違います。同じファイルに並べて綴じる形で足ります。

Q. 異常を見つけたら、その日の給食はどうしますか。 A. 提供を止めて、代わりの食事を出します。止める判断ができるように、代替の食事の手順を先に決めておいてください。判断が遅れる理由は、多くの場合「代わりが無い」ことです。

Q. 検食をしないで提供してしまった日がありました。 A. さかのぼって書かないことです。実施していない事実を残し、なぜできなかったかを書きます。時刻や担当の決め方に原因があることが多いので、その日のうちに手順を見直してください。

Q. 給食を外部の業者に委託しています。検食は園で行いますか。 A. 委託していても、園として確かめる形が求められることが一般的です。委託先の記録とは別に、園の検食簿を残してください。扱いは所轄の市町村の保育担当課に確かめます。

Q. 検食の量はどのくらいですか。 A. 一人分をそのまま食べる形が基本です。量を減らすと、量が適当かどうかを確かめられません。食べきれない場合も、全品を口にする形にしてください。

Q. 検食簿は保護者に見せることがありますか。 A. 求められたときに見せる形にしている園があります。見せる前提で書くと、感想の欄の言葉づかいが整います。個人の名前が入る書類ではないので、公開しやすい記録です。

Q. 給食を提供しない日の扱いはどうしますか。 A. 提供していない日は、その旨を1行書きます。空欄にすると、実施し忘れたのか提供が無かったのかが分かりません。行事で弁当の日も、同じように残します。

Q. 検食簿を電子で付けてもよいですか。 A. 構いません。ただし印刷して出せる状態にしておきます。指導監査ではその場で確かめられるので、端末でしか見られない形にしないでください。