検食簿の書き方|30分前に食べて何を見るか
目次
検食簿は毎日つけている。ところが「おいしい」「普通」といった感想が並ぶだけで、何のために書いているのかが伝わっていない。担当が代わると、書き方も変わります。
この記事では、検食簿を、何のための記録か・見る項目・書き方の3つに分けて整理します。読み終えたときに、自社の様式を決められる状態を目指します。
結論:子どもが食べる前に、異常が無いかを確かめる
検食簿とは、提供する食事を、子どもが食べる前に職員が食べて、異常が無いかを確かめた記録のことです。
目的は、食中毒や異物の混入を、提供の前に見つけることです。感想を書くためのものではありません。
ポイントはここです。食べるのは、提供のおおむね30分前とされている形が一般的です。異常があったときに、提供を止める時間を確保するためです。
食べた後に書くのではなく、食べながら見るものです。見る項目が決まっていないと、感想になります。
見る項目
確かめるのは5つです。
1つ目は、異物の混入です。髪の毛、包装の破片、金属、虫。
2つ目は、味と匂いです。酸味、変な匂い、いつもと違う味。
3つ目は、加熱の状態です。中心まで火が通っているか。肉や魚の中が赤くないか。
4つ目は、量と大きさです。年齢に合っているか。大きすぎると誤嚥につながります。
5つ目は、温度です。熱すぎないか、冷たすぎないか。
3つ目と4つ目が、安全に直結します。加熱が不十分だと食中毒、大きすぎると誤嚥。どちらも提供の前に止められます。
アレルギーの除去食も、別に検食します。間違ったものが入っていないかを、提供の前に確かめます。
書き方
記録に残すのは6つです。
日付と食事の区分。給食、おやつ、離乳食。
検食した時刻。提供の何分前か。
検食した人の氏名。
5つの項目の結果。異常の有無。
気づいたこと。異常があった場合の内容。
取った対応。
選択式にすると続きます。「異物:なし/あり」「加熱:良/不良」。丸を付けたうえで、気づいたことだけ書く形にします。
「おいしかった」は記録として意味が薄くなります。味は「異常な味がしないか」を見る項目であって、好き嫌いを書く欄ではありません。
誰が検食するか
検食する人を決めておきます。決めるのは3つです。
1つ目は、担当者です。施設長や、あらかじめ決めた職員。
2つ目は、不在のときの代わりです。毎日のことなので、休みの日も回る形にします。
3つ目は、調理した人以外が行うかです。作った人が自分で確かめるより、別の人のほうが気づきやすくなります。
2つ目を決めていないと、担当が休んだ日に検食が飛びます。記録に空白の日ができます。
離乳食やアレルギーの除去食がある場合、それぞれ検食します。普通食だけを確かめても、除去食の異常は分かりません。
異常があったときの流れ
異常を見つけたときの動きを決めておきます。4段です。
1つ目は、提供を止めることです。まず出さない。
2つ目は、報告です。施設長、調理の担当。
3つ目は、原因の確認です。どこで混入したか、どの工程か。
4つ目は、代わりの食事の手当てです。提供できるものを用意します。
1つ目がいちばん大事です。「少しだけだから」と出してしまうと、後から問題になります。
記録には、止めた理由と、代わりに何を出したかを書きます。保護者への説明が必要になる場合もあります。
止めた判断は、責められるものではありません。止めたことを評価する空気にしておかないと、次から報告が上がりません。
保存食との違い
検食と似た言葉に、保存食があります。別のものです。
検食は、提供の前に食べて確かめること。
保存食は、提供した食品を、後から調べられるように保存しておくこと。
保存食は、食中毒などが起きたときに原因を調べるためのものです。原材料と調理済みの食品を、定められた期間と温度で保存する形が案内されています。
2つは別に行います。検食したから保存食が不要、ということにはなりません。
保存の方法(量、容器、温度、期間)は、衛生管理の手引きなどで示されています。所管の自治体や保健所に確かめます。
給食日誌とのつながり
検食簿と給食日誌を、別に持つか一緒にするかを決めます。
給食日誌には、献立、食数、調理の状況、残食などを書きます。検食の結果を同じ紙に書いている施設もあります。
一緒にする利点は、1枚で済むことです。分ける利点は、検食の記録だけを抜き出せることです。
どちらでもかまいませんが、検食の項目が埋まっているかが分かる形にします。日誌の隅に「検食済」とだけ書く形だと、何を見たかが残りません。
衛生管理とのつながり
検食は、衛生管理の一部です。あわせて確かめることが3つあります。
1つ目は、調理する人の健康管理です。下痢や嘔吐、手の傷。出勤前の確認の記録。
2つ目は、調理室の衛生です。温度、清掃、器具の管理。
3つ目は、食材の管理です。納品の確認、保存の温度、期限。
この3つと検食がそろって、はじめて備えになります。検食だけを行っていても、手前の工程で問題があれば防げません。
大量調理の衛生管理に関する手引きなどが示されています。自社の規模で何が求められるかを確かめます。
アレルギーのある子の検食
アレルギーの除去食や代替食を出している園では、その食事についても確かめる必要があります。通常の検食だけでは足りません。
確かめるのは4つです。
1つ目は、除去されているかです。原因の食品が入っていないか。献立表と現物を突き合わせます。
2つ目は、取り違えが起きない形になっているかです。トレーの色、名札、置く場所。
3つ目は、調理の順番です。混入が起きない順番で作られているか。
4つ目は、受け渡しの人です。誰が運び、誰が確かめて、誰が配るか。
4つを検食簿とは別の欄か別紙に残します。通常の検食簿に紛れさせると、確かめた記録が探せなくなります。アレルギーは、命に関わる事故につながります。
職員が交代しても続く形にする
検食は、担当が休んだ日に抜けやすい記録です。続く形にしておきます。
工夫は3つあります。
1つ目は、担当を2人決めることです。主と副。休みの日は副が行います。
2つ目は、時刻を固定することです。「子どもが食べ始める30分前」を、園の時程に組み込みます。時刻が決まっていれば、誰でも動けます。
3つ目は、見る項目を印刷しておくことです。毎回同じ項目を確かめる形にすると、人による差が減ります。
空欄の日が出たら、原因はほぼ時刻の問題です。「あとで書く」にすると、食べる前に確かめるという意味がなくなります。
監査で見られるところ
検食簿は、指導監査で確かめられる書類の1つです。見られる部分は決まっています。
見られるのは4つです。
1つ目は、毎日あるかです。給食を提供した日の分が揃っているか。
2つ目は、食べた時刻です。提供の前の時刻になっているか。
3つ目は、書いた人です。名前があるか。
4つ目は、異常があった日の対応です。異常を書いた日に、その後どうしたかが残っているか。
4つのうち抜けやすいのは2つ目です。時刻の欄が無い様式を使っていると、提供の前に食べたことを示せません。時刻の欄がある様式に替えるだけで、この指摘は消えます。
保存の期間は自治体によって扱いが違うので、所轄の市町村の保育担当課に確かめてください。
様式に入れておきたい欄
検食簿の様式は、園によって中身がまちまちです。入れておくと役に立つ欄は決まっています。
入れるのは5つです。
1つ目は、日付と食べた時刻です。提供の前であることを示せます。
2つ目は、献立名です。あとから献立表と突き合わせられます。
3つ目は、確かめた項目の欄です。異物、におい、加熱、味、量、温度。印を付ける形にします。
4つ目は、異常の有無と内容です。有無を丸で囲み、有りのときだけ書きます。
5つ目は、検食した人の名前です。
5つで1行になる形にすると、1日1行で1か月が1枚に収まります。枚数が減ると、見返しやすくなります。
まとめ
検食簿は、提供の前に職員が食べて、異常が無いかを確かめた記録です。感想を書くためのものではありません。
食べるのは提供のおおむね30分前とされている形が一般的です。異常があったときに、提供を止める時間を確保するためです。
見るのは5つ。異物、味と匂い、加熱の状態、量と大きさ、温度。3つ目と4つ目が安全に直結します。
検食と保存食は別のものです。検食は提供の前に食べて確かめること、保存食は後から調べられるように保存すること。方法は、所管の自治体や保健所に確かめるのが確実です。
よくある質問
Q. 検食は毎食必要ですか。 A. 提供する食事について行う形が基本です。給食、おやつ、離乳食、アレルギーの除去食。それぞれ確かめます。1つの記録にまとめる場合も、区分ごとに欄を分けておくと抜けません。
Q. 誰が検食しますか。 A. 施設長やあらかじめ決めた職員が行う形が一般的です。調理した人以外のほうが気づきやすくなります。担当が不在のときの代わりも決めておかないと、記録に空白の日ができます。
Q. 30分前でないといけませんか。 A. おおむね30分前とされている形が一般的です。異常があったときに提供を止め、代わりを用意する時間が必要なためです。直前だと、止める判断がしにくくなります。
Q. アレルギーの除去食も検食しますか。 A. します。除去食は、間違ったものが入っていないかを確かめる意味が大きくなります。普通食だけを確かめても、除去食の異常は分かりません。区分ごとに記録を残します。
Q. 「おいしい」と書いてはいけませんか。 A. 書いてはいけないわけではありませんが、それだけだと確かめた項目が残りません。異物・味と匂い・加熱・量と大きさ・温度の5つを選択式で残したうえで、気づいたことを書く形にします。
Q. 異常を見つけたら、必ず止めますか。 A. 止めるのが基本です。「少しだけだから」と出すと、後から問題になります。止めた判断は責められるものではありません。止めやすい空気にしておかないと、次から報告が上がりません。
Q. 保存食はどれくらい保存しますか。 A. 量、容器、温度、期間について示されているものがあります。所管の自治体や保健所に確かめます。検食とは別に必要なので、両方を行います。
Q. 外部から給食を搬入している場合も検食しますか。 A. 提供する食事について確かめる形になります。搬入元でも検食が行われていても、提供する側で確かめる意味は変わりません。搬入時の温度の確認もあわせて記録します。
Q. 記録は何年残しますか。 A. 保存の期間は自治体の基準によります。衛生管理に関する記録とあわせて残している施設が多くあります。所管の自治体に確かめます。
Q. 給食日誌と一緒にしてもよいですか。 A. 一緒にしている施設もあります。ただし、検食の項目が埋まっているかが分かる形にします。日誌の隅に「検食済」とだけ書く形だと、何を見たかが残りません。
Q. 検食は園長が行わなければなりませんか。 A. 園長や施設長が行う形が多く使われていますが、行える人の範囲は自治体の指導によって違います。行った人の名前が残ることが前提です。所轄の市町村の保育担当課に確かめてください。
Q. 午後のおやつも検食しますか。 A. 提供するものは確かめる形が基本です。おやつの欄を検食簿に設けておくと、抜けません。市販の個包装のものだけの日も、開封して確かめた記録を残します。
Q. 感想を書く欄は必要ですか。 A. 味や量の感想は、献立の見直しに使えます。ただし感想だけの記録にしないことです。異物、におい、加熱、温度といった安全に関わる項目を先に置いて、感想はそのあとに置きます。
Q. 検食簿と保存食の記録は同じ紙にできますか。 A. 分けたほうが確かめやすくなります。保存食は採取した日時と保存の温度、廃棄した日を残すもので、見る目的が違います。同じファイルに並べて綴じる形で足ります。
Q. 異常を見つけたら、その日の給食はどうしますか。 A. 提供を止めて、代わりの食事を出します。止める判断ができるように、代替の食事の手順を先に決めておいてください。判断が遅れる理由は、多くの場合「代わりが無い」ことです。
Q. 検食をしないで提供してしまった日がありました。 A. さかのぼって書かないことです。実施していない事実を残し、なぜできなかったかを書きます。時刻や担当の決め方に原因があることが多いので、その日のうちに手順を見直してください。
Q. 給食を外部の業者に委託しています。検食は園で行いますか。 A. 委託していても、園として確かめる形が求められることが一般的です。委託先の記録とは別に、園の検食簿を残してください。扱いは所轄の市町村の保育担当課に確かめます。
Q. 検食の量はどのくらいですか。 A. 一人分をそのまま食べる形が基本です。量を減らすと、量が適当かどうかを確かめられません。食べきれない場合も、全品を口にする形にしてください。
Q. 検食簿は保護者に見せることがありますか。 A. 求められたときに見せる形にしている園があります。見せる前提で書くと、感想の欄の言葉づかいが整います。個人の名前が入る書類ではないので、公開しやすい記録です。
Q. 給食を提供しない日の扱いはどうしますか。 A. 提供していない日は、その旨を1行書きます。空欄にすると、実施し忘れたのか提供が無かったのかが分かりません。行事で弁当の日も、同じように残します。
Q. 検食簿を電子で付けてもよいですか。 A. 構いません。ただし印刷して出せる状態にしておきます。指導監査ではその場で確かめられるので、端末でしか見られない形にしないでください。