フェイスシート|1枚で人が分かる形に
目次
新しい職員が入って、最初に渡されるのがフェイスシート。ところが書いてあるのは住所と生年月日と要介護度だけ。その人がどんな人かは、何も分からないという形になっていることがあります。
この記事では、介護のフェイスシートを、何を書くか・誰が更新するか・現場で使われる形の3つに分けて整理します。1枚で人が分かる紙にすることを中心に書きます。
結論:使われていない紙になっていないか
フェイスシートとは、利用者の基本の情報を1枚にまとめた用紙です。顔(フェイス)という名のとおり、その人を知るための最初の1枚です。
ポイントはここです。現場で使われていますか。ファイルの1ページ目にあるだけで、誰も開いていない紙になっている事業所は多くあります。
使われるかどうかを分けるのは、書いてある内容です。住所と要介護度だけなら、契約の書類を見れば分かります。フェイスシートにしか書けないことを書いてください。
基本の情報として書く6つ
まず、基本の情報です。
1つ目は、氏名と生年月日です。呼ばれたい呼び方も書きます。
2つ目は、住所と連絡先です。
3つ目は、家族の構成です。同居か別居か、主に関わる人は誰か。
4つ目は、要介護度と認定の有効期間です。
5つ目は、主治医と協力医療機関です。
6つ目は、利用しているサービスです。
1つ目の「呼ばれたい呼び方」を入れてください。苗字にさん付けか、下の名前か。最初の一言で関係が変わります。
4つ目の有効期間は、更新の管理にも使えます。切れる月が一覧で分かる形にしておくと、手続きが遅れません。
その人が分かる5つ
ここからが、フェイスシートの本体です。
1つ目は、これまでの暮らしです。仕事、住んでいた場所、家族との関わり。
2つ目は、好きなことと苦手なことです。
3つ目は、1日の過ごし方です。起きる時間、食事、寝る時間。
4つ目は、大事にしていることです。
5つ目は、関わるときの注意点です。耳が遠い、急がせると混乱する、右側から声をかける。
5つ目が、いちばん現場で使われる欄です。初めて入る職員が、これを読んでから関われるかどうかで、その日の関わりが変わります。
1つ目は、認知症のある方ほど大事になります。昔の話が通じる糸口になり、混乱したときに落ち着く材料になります。
書きにくい項目をどう埋めるか
「大事にしていること」「これまでの暮らし」は、聞き取りが要ります。
聞き方は3つです。
1つ目は、契約のときに一度に聞かないことです。関係ができてから聞くほうが出てきます。
2つ目は、家族に聞くことです。本人が話せない場合も、家族が知っています。
3つ目は、日々の会話から拾うことです。「昔は魚屋さんだった」という一言を、その日に書き足します。
3つ目がいちばん自然です。聞き取りの時間を作らなくても、話に出たことを1行ずつ足していけば、半年で厚みのある1枚になります。
アセスメントとの違い
フェイスシートとアセスメントは、別のものです。
フェイスシートは、その人を知るための紙です。
アセスメントは、支援の必要性を判断するための紙です。
フェイスシートに評価を書き込まないでください。「入浴に一部介助が必要」といった内容はアセスメントの領域です。混ぜると、どちらの紙も使いにくくなります。
役割を分けておくと、フェイスシートは更新の頻度が低く済みます。アセスメントほど頻繁に書き換える必要がありません。
誰が、いつ更新するか
更新の決まりが無いと、何年も前の内容のままになります。
決めるのは3つです。
1つ目は、更新する人です。担当の職員を決めます。
2つ目は、更新する時期です。年に1回、認定の更新に合わせる形が多くあります。
3つ目は、随時足す仕組みです。日々の会話から拾ったことを、その場で書き足せる形。
3つ目が大事です。年に1回の更新だけだと、途中で分かったことが行き場を失います。余白を作っておいて、日付とともに書き足す形にしてください。
現場で使われる形にする
置き場所と形で、使われるかどうかが決まります。
工夫は3つです。
1つ目は、1枚に収めることです。2枚になると2枚目が読まれません。
2つ目は、すぐ手に取れる場所に置くことです。
3つ目は、新しく入る職員に必ず渡すことです。
1つ目を守るために、項目を絞ってください。書けることを全部書くと、大事な行が埋もれます。関わるときの注意点は、いちばん上か、目立つ場所に。
書き方で気をつけること
フェイスシートは、本人や家族が読む可能性のある紙です。書き方に気をつけます。
守るのは4つです。
1つ目は、評価の言葉を使わないことです。「頑固」「わがまま」ではなく、事実で書きます。
2つ目は、事実と推測を分けることです。「〜と思われる」は推測だと分かる形に。
3つ目は、家族の悪口にならないようにすることです。
4つ目は、書いた人が分かるようにすることです。
1つ目がいちばん起きます。「頑固で介助を拒む」と書くと、読んだ職員は身構えて関わります。「自分のやり方で進めたい気持ちが強い。急がせると断ることがある」と書けば、関わり方が見えます。
言葉を変えるだけで、次に入る職員の態度が変わります。書いた一行が、その人の扱われ方を決めてしまうことを忘れないでください。
1年たったら見直す
フェイスシートは、古くなっていることに気づきにくい紙です。基本の情報は変わらないので、そのままにしてしまいます。
見直すのは4つです。
1つ目は、家族の状況です。主に関わる人が変わっていないか。
2つ目は、主治医です。変わっていることがあります。
3つ目は、できることの変化です。
4つ目は、関わるときの注意点です。
3つ目と4つ目がいちばん変わります。1年前にできていたことが、今はできない。古い注意点のまま関わると、事故につながります。
見直した日を、紙に残してください。いつの情報かが分かるだけで、読む側の扱いが変わります。
個人の情報の扱い
フェイスシートには、個人の情報が集まっています。扱いの決まりが要ります。
決めるのは3つです。
1つ目は、持ち出しの可否です。訪問系では持ち歩くことがあります。
2つ目は、写しの管理です。何枚あるか、誰が持っているか。
3つ目は、終了したときの扱いです。
1つ目でひやりとする場面があります。車の中に置いたまま、鞄ごと置き忘れた。必要な情報だけを抜き出した携行用の用紙を別に作る方法もあります。
利用が終わったあとも、保存の期間が定められています。すぐに捨てず、決められた年数を保管してください。
緊急時に使う情報を上に置く
急な場面で開かれるのが、この紙です。探して見つからない情報があると、そこで止まります。
上のほうに置くのは4つです。
1つ目は、緊急の連絡先です。続柄と、つながりやすい時間帯まで。
2つ目は、主治医と医療機関の電話番号です。
3つ目は、持病と飲んでいる薬です。
4つ目は、アレルギーです。
1つ目に、つながりやすい時間帯を書いてください。日中は仕事で出られない家族に、昼間にかけ続けることになります。次にかける相手まで書いておくと、迷いません。
この4つは、別の色の枠に入れるか、上半分にまとめてください。急いでいる人は、紙を上から下まで読みません。
多職種で共有する
フェイスシートは、事業所をまたいで役に立ちます。
共有する相手は3つです。
1つ目は、ケアマネジャーです。
2つ目は、ほかのサービスの事業所です。
3つ目は、入院したときの病院です。
3つ目がいちばん助かる場面です。救急で運ばれたとき、その人がどんな人かを伝えられる紙があると、対応が変わります。
共有するときは、本人の同意が要ります。契約のときに、どこまで共有してよいかを確かめておいてください。
新しい職員への渡し方
紙を渡すだけでは読まれません。
やることは3つです。
1つ目は、最初の1週間で読む時間を作ることです。
2つ目は、読んだうえで関わってもらうことです。
3つ目は、気づいたことを足してもらうことです。
3つ目を頼んでください。新しい人は、慣れた職員が見落としていることに気づきます。書き足してよい紙にしておくと、内容が育ちます。
まとめ
フェイスシートは、1枚でその人が分かる紙です。住所と要介護度だけなら、契約の書類を見れば分かります。
書く価値があるのは、これまでの暮らし、好きなことと苦手なこと、1日の過ごし方、大事にしていること、関わるときの注意点の5つです。最後の1つが、いちばん現場で使われます。
聞き取りは、契約のときに一度に済ませようとしないでください。日々の会話から1行ずつ足していけば、半年で厚みのある1枚になります。
更新は、年に1回だけでなく、随時足せる形にします。余白を作って、日付とともに書き足してください。個人の情報が集まっている紙なので、持ち出しと写しの扱いを決めておきます。
よくある質問
Q. フェイスシートとは何ですか。 A. 利用者の基本の情報を1枚にまとめた用紙です。その人を知るための最初の1枚です。
Q. アセスメントとどう違いますか。 A. フェイスシートはその人を知るための紙、アセスメントは支援の必要性を判断するための紙です。混ぜないでください。
Q. 何を書けばよいですか。 A. 基本の情報に加えて、これまでの暮らし、好き嫌い、1日の過ごし方、大事にしていること、関わるときの注意点です。
Q. いちばん現場で使われる欄はどこですか。 A. 関わるときの注意点です。「耳が遠い」「急がせると混乱する」といった内容が、初めて入る職員を助けます。
Q. 呼ばれたい呼び方も書きますか。 A. 書いてください。最初の一言で関係が変わります。
Q. 昔の仕事まで書く必要がありますか。 A. 認知症のある方ほど大事になります。昔の話が通じる糸口になり、混乱したときに落ち着く材料になります。
Q. 本人が話せません。 A. 家族に聞いてください。本人が話せなくても、家族が知っています。
Q. 聞き取りの時間が取れません。 A. 日々の会話から拾って1行ずつ足してください。半年で厚みのある1枚になります。
Q. 誰が更新しますか。 A. 担当の職員を決めてください。年に1回、認定の更新に合わせる形が多くあります。
Q. 途中で分かったことはどこに書きますか。 A. 余白を作って、日付とともに書き足す形にしてください。年1回の更新だけだと行き場がありません。
Q. 1枚に収まりません。 A. 項目を絞ってください。2枚になると2枚目が読まれません。関わるときの注意点は目立つ場所に置きます。
Q. 訪問のときに持ち歩いてもよいですか。 A. 持ち出しの決まりを作ってください。必要な情報だけを抜き出した携行用の用紙を別に作る方法もあります。
Q. ほかの事業所と共有できますか。 A. 本人の同意があれば共有できます。契約のときに、どこまで共有してよいかを確かめてください。
Q. 入院のときにも使えますか。 A. 使えます。その人がどんな人かを伝えられる紙があると、病院の対応が変わります。
Q. 写しはどう管理しますか。 A. 何枚あるか、誰が持っているかを決めてください。増えすぎると回収できなくなります。
Q. 利用が終わったら捨てますか。 A. 保存の期間が定められています。すぐに捨てず、決められた年数を保管してください。
Q. 新しい職員に読んでもらうには。 A. 最初の1週間で読む時間を作り、気づいたことを書き足してもらってください。新しい人は、慣れた職員が見落としていることに気づきます。
Q. 緊急のときに使えますか。 A. 使える形にしておいてください。緊急の連絡先、主治医、持病と薬、アレルギーを上半分にまとめるか別の枠に入れます。急いでいる人は上から下まで読みません。
Q. 連絡先は何を書きますか。 A. 続柄と、つながりやすい時間帯まで書いてください。次にかける相手も書いておくと迷いません。
Q. 「頑固」と書いてもよいですか。 A. 事実で書いてください。「自分のやり方で進めたい気持ちが強い。急がせると断ることがある」と書けば、関わり方が見えます。書いた一行が、その人の扱われ方を決めます。
Q. 1年たったら何を見直しますか。 A. 家族の状況、主治医、できることの変化、関わるときの注意点です。古い注意点のまま関わると事故につながります。
Q. 様式は決まっていますか。 A. 決まった様式はありません。1枚に収まることと、関わるときの注意点が目立つことを優先して作ってください。