栄養ケア計画書|体重の変化から書く
目次
栄養ケア計画書の目標が「低栄養の予防」。3か月後の評価も「継続」。これを毎回繰り返している施設があります。書けてはいますが、何も決まっていない紙になっています。
この記事では、栄養ケア計画書を、体重の見方・目標の立て方・多職種での作り方の3つに分けて整理します。数字から書き始める形を中心に書きます。
結論:体重の変化が出発点
栄養ケア計画書とは、利用者ごとの栄養の状態を把握し、目標と取り組む内容を書いた計画です。管理栄養士を中心に、多職種で作ります。
ポイントはここです。体重の変化から書き始めてください。栄養の状態でいちばん確かな数字は体重です。ここが動いていれば、必ず理由があります。
見るのは、1か月で何キロ、3か月で何キロという幅です。短い期間で急に減っている方から順に手をつけます。
体重の測り方をそろえる
体重は、測り方で1キロくらい簡単に変わります。
そろえるのは3つです。
1つ目は、測る時間帯です。朝食の前など、決めた時間に。
2つ目は、服装です。着衣のままか、上着を脱ぐか。
3つ目は、測る機器です。車いすのまま測る機器と、立って測る機器では条件が違います。
3つ目が施設で起こりやすい問題です。歩ける方は立位で、そうでない方は車いす用で測る。それ自体は構いませんが、同じ人が途中で機器を変えると、変化が読めなくなります。
測れない月があっても構いません。測れなかったと書いてください。空欄だと、減ったのか測っていないのか分かりません。
食事量の見方
体重の次に見るのは、食事の量です。
見るのは3つです。
1つ目は、主食と副食を分けた割合です。主食だけ残る、おかずだけ残る。理由が違います。
2つ目は、時間帯による差です。朝は食べるが夕は食べない、といった形。
3つ目は、水分です。食事量が保てていても、水分が足りない方がいます。
1つ目が手がかりになります。主食が残るならかむ力や飲み込み、副食が残るなら味や食べにくさ。どちらが残るかで、次に打つ手が変わります。
計画に書く5つ
栄養ケア計画書に書くのは5つです。
1つ目は、今の状態です。体重、食事量、血液の検査の値があればそれも。
2つ目は、課題です。何が起きているか。
3つ目は、目標です。
4つ目は、取り組む内容です。食事の形、量、補助の食品、食べる環境。
5つ目は、評価の時期です。
3つ目を数字で書いてください。「体重を維持する」ではなく「3か月で体重の減少を1キロ以内にとどめる」。評価の日に判断できる形にします。
増やす目標が現実的でない方もいます。減り方を緩めるという目標も、立派な目標です。
取り組む内容は現場が回る形に
計画に書く内容は、厨房と現場が実際に回せるかで決まります。
確かめるのは4つです。
1つ目は、厨房でできるかです。個別の対応がどこまで可能か。
2つ目は、現場の手間です。声かけ、姿勢の調整、食べる時間。
3つ目は、費用です。補助の食品を使う場合の負担。
4つ目は、本人が受け入れるかです。
4つ目が抜けやすいところです。栄養の面では正しくても、本人が食べたくないものを出しても残ります。好きなものを1品入れるほうが、結果として量が入ることがあります。
厨房との相談は、計画を作る前にしてください。作ってから「できません」となると、計画を作り直すことになります。
食べる環境を変える
食事の内容を変える前に、食べる環境で変わることがあります。ここは費用がかかりません。
見るのは4つです。
1つ目は、姿勢です。足が床に着いているか、テーブルの高さが合っているか。
2つ目は、席の位置です。にぎやかな場所が苦手な方、人の顔が見えると落ち着く方。
3つ目は、時間です。急がされると食べられない方がいます。
4つ目は、介助する人の位置です。立ったまま口に運ばれると、顎が上がって飲み込みにくくなります。
1つ目から確かめてください。足が浮いていると、体が安定せず力が入りません。足台を1つ置くだけで食事量が変わったという例は珍しくありません。
環境を変えたら、変えた日を記録に残してください。あとで効果を確かめられます。
家族に伝えること
施設や通所で見ている食事は、その人の1日の一部です。家での食事と合わせないと、全体が見えません。
聞くのは3つです。
1つ目は、家で何をどのくらい食べているかです。
2つ目は、買い物と調理を誰がしているかです。
3つ目は、家族が困っていることです。
2つ目が効きます。調理する人が変わった時期と、体重が減り始めた時期が重なることがあります。食事の内容ではなく、作る人の事情が原因という場合です。
伝えるほうは、1つだけお願いしてください。「間食に牛乳を1本」といった形です。たくさん頼むと、どれも続きません。
多職種でどう作るか
栄養ケア計画書は、管理栄養士だけで作るものではありません。
持ち寄るものは4つです。
1つ目は、管理栄養士の評価です。
2つ目は、介護職員が見ている食事の場面です。どんな姿勢で、どのくらいの時間で食べているか。
3つ目は、看護職員が持つ体調の情報です。
4つ目は、歯科や言語聴覚士が関わっていれば、口や飲み込みの情報です。
2つ目がいちばん大事な情報です。食事の場面を毎日見ているのは介護職員です。食べる速さが落ちた、途中で寝てしまう。この観察が、いちばん早い合図になります。
口腔との関係
食べられない理由が、口の中にあることは多くあります。
確かめるのは3つです。
1つ目は、入れ歯が合っているかです。
2つ目は、口の中が痛くないかです。
3つ目は、飲み込みに問題がないかです。
栄養の計画を立てる前に、口を見てください。入れ歯が合っていないだけなら、そこを直すのがいちばん早い手です。口腔機能向上加算の取り組みと合わせて進めます。
急に減ったときの動き
1か月で2キロ以上といった減り方をしたときは、計画の見直しを待たずに動きます。
やることは4つです。
1つ目は、測り直すことです。機器の誤りや記入の間違いがないか。
2つ目は、直近の記録を見ることです。食事量、排せつ、発熱、薬の変更。
3つ目は、看護職員と医師に伝えることです。
4つ目は、家族に伝えることです。
1つ目を飛ばさないでください。書き間違いで2キロ動いていたという例は実際にあります。騒ぐ前に、もう一度測る。
本当に減っている場合、原因は栄養以外にあることが多くあります。感染、脱水、薬の影響、心の状態。栄養の計画だけで対応しようとせず、医療につないでください。
3か月ごとの評価
評価は、始めたときと同じ項目で行います。
流れは4段です。
1つ目は、数字を並べることです。体重、食事量。
2つ目は、目標と比べることです。
3つ目は、説明することです。本人と家族へ。
4つ目は、次を決めることです。続けるか、内容を変えるか、終えるか。
4つ目で「継続」とだけ書かないでください。何を続けるのか、何を変えるのかを書きます。同じ内容で3か月続けて変化が無かったなら、内容を変える時期です。
終わりの時期にどう書くか
看取りの時期に入ると、栄養の目標は変わります。増やすことが目的ではなくなります。
書き方は3つです。
1つ目は、目標を本人の快さに置くことです。「好きなものを口にできる」。
2つ目は、量を追わないことです。食べられないこと自体を課題にしない。
3つ目は、本人と家族の意向を書くことです。
3つ目を必ず残してください。食べられなくなったときに何を望むかは、あらかじめ聞いておかないと決められません。看取りの記録と合わせて残します。
この時期の計画書は、短くて構いません。書くことが減るのは、方針が定まった証でもあります。
加算との関係
栄養に関する加算では、計画書が要件の一部になっています。
確かめるのは3つです。
1つ目は、どの加算でこの計画書が要るかです。
2つ目は、LIFEへの提出が要る加算かです。
3つ目は、様式に必要な項目が入っているかです。
3つ目を先に確かめてください。手元の様式に項目が足りないと、加算のたびに書き足すことになります。必要な項目を含んだ1つの様式にまとめておくのが楽です。
記録の置き方
書類は、利用者ごとにまとめます。
置くのは4つです。計画書、同意の記録、体重と食事量の記録、評価の記録。
体重の記録は、1枚の表で1年分にしてください。月ごとにばらばらの紙にすると、変化が見えません。1枚に12か月分が並んでいれば、開いた瞬間に傾きが分かります。
まとめ
栄養ケア計画書は、体重の変化から書き始めます。栄養の状態でいちばん確かな数字が体重です。
体重は測り方で簡単に1キロ変わります。時間帯、服装、機器をそろえてください。測れなかった月は、測れなかったと書きます。
目標は数字で書きます。「体重を維持する」ではなく「3か月で減少を1キロ以内にとどめる」。減り方を緩めるという目標も立派な目標です。
取り組む内容は、厨房と現場が回せる形にします。本人が受け入れるかが抜けやすいところで、好きなものを1品入れるほうが量が入ることがあります。加算の要件と様式は、所轄の指定権者の資料で確かめてください。
よくある質問
Q. 栄養ケア計画書は誰が作りますか。 A. 管理栄養士を中心に、多職種で作ります。介護職員が見ている食事の場面がいちばん大事な情報です。
Q. 何から書き始めますか。 A. 体重の変化からです。1か月、3か月でどれだけ動いたかを見ます。
Q. 体重が測れない方がいます。 A. 測れなかったと書いてください。空欄だと、減ったのか測っていないのか分かりません。
Q. 測り方で数字が変わります。 A. 時間帯、服装、機器をそろえてください。同じ人が途中で機器を変えると、変化が読めなくなります。
Q. 目標が「低栄養の予防」になっています。 A. 数字で書き直してください。「3か月で体重の減少を1キロ以内にとどめる」といった形です。
Q. 増やす目標が立てられません。 A. 減り方を緩めるという目標も立派な目標です。現実的でない目標を置くと、毎回「達成できず」と書くことになります。
Q. 食事量はどう見ますか。 A. 主食と副食を分けて見てください。主食が残るならかむ力や飲み込み、副食が残るなら味や食べにくさと、理由が違います。
Q. 水分も見ますか。 A. 見てください。食事量が保てていても、水分が足りない方がいます。
Q. 厨房が個別の対応をできません。 A. 計画を作る前に相談してください。作ってから「できません」となると、作り直しになります。
Q. 本人が食べたがりません。 A. 好きなものを1品入れるほうが、結果として量が入ることがあります。栄養の面で正しくても、食べなければ意味がありません。
Q. 食べる速さが落ちてきました。 A. 早い合図です。体調、口の中、薬の影響のどれかを確かめてください。
Q. 口の中が原因のことはありますか。 A. 多くあります。栄養の計画を立てる前に口を見てください。入れ歯が合っていないだけなら、そこを直すのがいちばん早い手です。
Q. 評価は何か月ごとですか。 A. 3か月ごとを目安にしている施設が多くあります。加算の要件によって決まりが違うので確かめてください。
Q. 評価で「継続」とだけ書いています。 A. 何を続けるのか、何を変えるのかを書いてください。3か月変化が無かったなら、内容を変える時期です。
Q. 同意は要りますか。 A. 説明して同意を得る形が求められます。日付と、説明した相手を残してください。
Q. LIFEへの提出は必要ですか。 A. 加算によります。どの加算で何が要るかを一覧にしておいてください。
Q. 様式に項目が足りません。 A. 必要な項目を含んだ1つの様式にまとめておくと、加算のたびに書き足す手間が消えます。
Q. 看取りの時期はどう書きますか。 A. 目標を本人の快さに置き、量を追いません。食べられないこと自体を課題にしないでください。本人と家族の意向を必ず残します。
Q. 1か月で2キロ減っていました。 A. まず測り直してください。書き間違いで2キロ動いていた例は実際にあります。本当に減っているなら、原因は栄養以外にあることが多いので医療につなぎます。
Q. 食べる環境で変わりますか。 A. 変わります。姿勢、席の位置、時間、介助する人の位置の4つです。足台を1つ置くだけで食事量が変わったという例は珍しくありません。
Q. 家での食事はどう聞きますか。 A. 何をどのくらい食べているか、買い物と調理を誰がしているか、家族が困っていることの3つです。調理する人が変わった時期と体重が減り始めた時期が重なることがあります。
Q. 体重の記録はどう残しますか。 A. 1枚の表で1年分にしてください。12か月分が並んでいれば、開いた瞬間に傾きが分かります。