ADL維持等加算|測り方をそろえる
目次
評価は職員が手分けして入力した。ところが同じ利用者を別の職員が見たら、点数が20点違った。ADL維持等加算でつまずくのは要件ではなく、測り方がそろっていないことです。
この記事では、ADL維持等加算を、測り方・提出の段取り・計算の考え方の3つに分けて整理します。点数がぶれない形を作ることを中心に書きます。
結論:点数がぶれたら成り立たない
ADL維持等加算とは、利用者の日常生活動作の状態を測ってLIFEに提出し、一定の改善が見られた事業所を評価する加算です。
単位数は加算(I)が月30単位、加算(II)が月60単位です。(II)のほうが高い改善を求められます。
ポイントはここです。測り方がそろっていないと、加算そのものが成り立ちません。開始時と6か月後を比べる仕組みなので、測る人や場面が違うと、改善したのか測り方が違うのか分かりません。
対象となるサービスと要件は、所轄の指定権者(都道府県または市町村)の資料で確かめてください。
使う指標はバーセルインデックス
評価には、バーセルインデックスという指標を使います。食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段、着替え、排便、排尿の10項目で点数を付けます。
点数の付け方は決まっています。自分たちの感覚で付けると、事業所ごとにばらつきます。項目ごとの基準を印刷して、手元に置いてください。
慣れるまでは、2人で同じ人を測って突き合わせるのが早道です。差が出た項目が、その事業所のばらつきの元です。
ぶれやすい4項目
実際にばらつくのは、次の4つです。
1つ目は、移乗です。見守りだけなのか、手を添えているのか。
2つ目は、トイレ動作です。どこまで自分でできているか、後始末まで見るか。
3つ目は、歩行です。杖や歩行器を使った状態で測るのか。
4つ目は、入浴です。通所と自宅で、環境がまったく違います。
4つ目がいちばん難しいところです。通所の浴室は手すりが整っていて、自宅は違う。どちらの環境で測るかを事業所として決めてください。
決めた内容は、評価の用紙に書いておきます。担当が替わっても同じ測り方が続きます。
測る場面をそろえる
同じ人でも、朝と夕方では動きが違います。測る場面をそろえるのが、点数を安定させる方法です。
決めるのは3つです。
1つ目は、時間帯です。午前中に統一する事業所が多くあります。
2つ目は、体調のよい日に測ることです。発熱の翌日などは避けます。
3つ目は、複数の日を見て決めることです。1日だけの様子で決めない。
3つ目が効きます。その日だけできなかったことを点数にすると、6か月後に「改善した」ように見えてしまいます。日ごろの記録を見て、いつもの状態で付けてください。
提出の段取り
提出するのは、利用開始の月と、そこから6か月目のADL値です。ここを取り違えると、そもそも算定の対象になりません。
段取りは4段です。
1つ目は、対象になる利用者を決めることです。評価の対象期間に一定以上の利用がある方。
2つ目は、開始時の値を測ることです。
3つ目は、6か月目の値を測ることです。
4つ目は、LIFEに提出することです。
3つ目を忘れる事業所があります。開始時は入れたが、6か月目が抜けた。利用者ごとに次の測定の月を一覧に書いておいてください。
対象になる人数の条件
この加算には、評価の対象になる利用者の人数の条件があります。
一定期間に一定以上の利用があった方の総数が、決められた人数以上であることが求められます。小規模な事業所は、この人数で届かないことがあります。
始める前に、自分の事業所で対象になる人が何人いるかを数えてください。数えてみて足りないなら、その期は見送る判断もあります。
条件の細かい数字は変わることがあるので、最新の資料で確かめてください。
改善の計算の考え方
加算の可否は、測った値から計算した結果で決まります。単純に「良くなった人が何人いるか」ではありません。
考え方は3つです。
1つ目は、要介護度などによる補正があることです。状態が重い方の改善は、より評価される仕組みです。
2つ目は、全員分の合計で見ることです。1人の大きな改善だけでは決まりません。
3つ目は、値が下がった人も含まれることです。
3つ目を隠さないでください。下がった方を外して計算することはできません。正しく測って、正しく出すのがこの加算の前提です。
計算の方法は資料に示されています。介護ソフトが計算してくれる場合もあるので、販売元に確かめてください。
記録との対応
LIFEに入れた値は、日々の記録と食い違わないことが大事です。
確かめるのは3つです。
1つ目は、入力の前に直近の記録を見ることです。
2つ目は、大きく動いた項目の理由を残すことです。なぜ変わったか。
3つ目は、評価した人の氏名を残すことです。
2つ目が後から効きます。6か月で大きく改善した項目があれば、何をしたから変わったのかを書いておきます。次の計画の材料になり、実地指導の説明にもなります。
測った値をケアに戻す
加算のために測って、そのまま提出して終わり。これでは現場には何も残りません。測った値は、ケアの材料になります。
使い方は3つです。
1つ目は、下がった項目を見ることです。そこに支援の足りない場所があります。
2つ目は、上がった項目の理由を探すことです。何をしたから変わったのかが分かれば、ほかの人にも使えます。
3つ目は、家族に伝えることです。数字で示すと、家での関わりが変わることがあります。
2つ目がいちばん価値があります。偶然の改善なのか、関わりの結果なのか。記録を見返して理由を書き留めると、事業所の財産になります。
数字が動かない人もいます。維持していること自体が結果である場合も多くあります。そこを家族に伝えられると、通い続ける理由になります。
6か月の間にやること
開始時と6か月後を測るだけでは、間の半年が空白になります。途中で1回見ると、手が打てます。
やることは3つです。
1つ目は、3か月目に一度測ることです。提出は要りませんが、様子が分かります。
2つ目は、下がっている項目があれば計画を直すことです。
3つ目は、記録に残すことです。
1つ目を入れている事業所は多くありません。6か月後に下がっていることが分かっても、その時点では手遅れです。途中で気づけば、まだ間に合います。
3か月目の測定は、個別機能訓練加算の見直しの時期と重なります。同じ日にまとめて行うと、手間が増えません。
職員への伝え方
評価は、現場の職員が行います。加算のためだと伝えると、良く付けようという力が働きます。
伝えるのは3つです。
1つ目は、正しく測ることが目的だということです。
2つ目は、下がった値も必要だということです。
3つ目は、測った結果をケアに使うことです。
2つ目を必ず伝えてください。下がった値は、支援が足りていない場所を教えてくれます。加算が取れるかどうかより、そちらのほうが現場には価値があります。
ほかの加算との関係
ADL維持等加算は、LIFEに提出する加算の1つです。科学的介護推進体制加算や個別機能訓練加算と、入力する項目が重なります。
どの加算でどの項目が要るかを、一覧にしておいてください。重なる項目を二度入力している事業所が実際にあります。
提出の時期も加算によって違います。加算ごとの提出の月を1枚の表にすると、抜けが減ります。
測り方を1枚の紙にする
決めたことを頭の中に置いておくと、担当が替わった時点で消えます。1枚の紙にしてください。
書くのは4つです。
1つ目は、項目ごとの判断の基準です。
2つ目は、測る時間帯と条件です。
3つ目は、迷ったときの相談先です。
4つ目は、決めた日と、決めた人です。
4つ目を入れておくと、見直せます。「いつ決めたか」が分かると、制度が変わったときに直す対象として見つけられます。
この紙は、新しく入った職員に最初に渡すものにもなります。口頭で伝えると、伝えた人によって内容が変わります。
つまずきやすい4つ
実際に多いのは4つです。
1つ目は、測り方がばらつくことです。
2つ目は、6か月目の測定が抜けることです。
3つ目は、対象の人数が足りないことです。
4つ目は、記録と入力が食い違うことです。
1つ目が全部の土台です。測り方がそろっていないと、ほかを直しても意味がありません。2人で測って突き合わせる日を、年に1回作ってください。
まとめ
ADL維持等加算は、加算(I)が月30単位、加算(II)が月60単位です。バーセルインデックスで測った値をLIFEに提出します。
いちばん大事なのは、測り方をそろえることです。開始時と6か月後を比べる仕組みなので、測る人や場面が違うと比べられません。
ぶれやすいのは移乗、トイレ動作、歩行、入浴の4項目です。通所と自宅で環境が違うので、どちらで測るかを事業所として決めてください。
提出は、利用開始の月と6か月目です。6か月目が抜ける事故が多いので、利用者ごとに次の測定の月を一覧にしておきます。対象の人数と計算の方法は、最新の資料で確かめてください。
よくある質問
Q. ADL維持等加算の単位数はいくらですか。 A. 加算(I)が月30単位、加算(II)が月60単位です。(II)はより高い改善が求められます。
Q. どの指標で測りますか。 A. バーセルインデックスです。10項目で点数を付けます。基準を印刷して手元に置いてください。
Q. 職員によって点数が違います。 A. 2人で同じ人を測って突き合わせてください。差が出た項目が、その事業所のばらつきの元です。
Q. ばらつきやすいのはどの項目ですか。 A. 移乗、トイレ動作、歩行、入浴の4つです。入浴がいちばん難しいところで、通所と自宅で環境が違います。
Q. 杖を使った状態で測りますか。 A. 事業所として決めて、評価の用紙に書いておいてください。毎回同じ条件で測ることが大事です。
Q. いつ測りますか。 A. 時間帯をそろえ、体調のよい日に測ります。1日だけの様子で決めず、日ごろの記録を見て付けてください。
Q. 提出するのはいつの値ですか。 A. 利用開始の月と、そこから6か月目の値です。6か月目が抜けやすいので一覧を作ってください。
Q. 対象になる人数の条件がありますか。 A. あります。小規模な事業所は届かないことがあるので、始める前に数えてください。
Q. 値が下がった人は外せますか。 A. 外せません。正しく測って、正しく出すのが前提です。
Q. 計算が複雑です。 A. 介護ソフトが計算してくれる場合があります。販売元に確かめてください。計算の方法は資料に示されています。
Q. 記録と入力が食い違っていました。 A. 入力の前に直近の記録を見る手順にしてください。大きく動いた項目は、理由を残しておきます。
Q. 職員が良く付けようとします。 A. 加算のためではなく、正しく測ることが目的だと伝えてください。下がった値は支援が足りない場所を教えてくれます。
Q. ほかのLIFEの加算と項目が重なります。 A. どの加算でどの項目が要るかを一覧にしてください。二度入力している事業所が実際にあります。
Q. 提出の時期を忘れそうです。 A. 加算ごとの提出の月を1枚の表にしてください。利用者ごとの次回の月も同じ表に書きます。
Q. 途中で利用をやめた方は。 A. 対象から外れる場合があります。対象者の一覧を毎月更新して、誰が対象かをはっきりさせてください。
Q. 評価した人の名前は残しますか。 A. 残してください。後から測り方を確かめるときに、聞ける相手が分かります。
Q. 改善しなかった年は算定できませんか。 A. 計算の結果によります。測ること自体はケアの材料になるので、算定できない年でも続ける価値があります。
Q. 決めたことをどう残しますか。 A. 1枚の紙にしてください。項目ごとの基準、測る時間帯と条件、迷ったときの相談先、決めた日と決めた人の4つです。新しい職員に最初に渡す紙にもなります。
Q. 測った値はどう使いますか。 A. 下がった項目に支援の足りない場所があります。上がった項目は何をしたから変わったのかを書き留めてください。事業所の財産になります。
Q. 6か月の間は何もしませんか。 A. 3か月目に一度測ってください。提出は要りませんが、下がっていることに早く気づけます。個別機能訓練加算の見直しと同じ日にすると手間が増えません。
Q. 実地指導では何を見られますか。 A. 測った記録、提出の状況、日々の記録との一致です。測り方を決めた文書があると説明が早く終わります。