訪問介護計画書|ケアプランの写しにしない
目次
ケアプランの目標をそのまま写して、サービスの内容も同じ言葉で埋める。訪問介護計画書が、ケアプランの縮小版になっている事業所は少なくありません。書けてはいますが、ヘルパーが読んでも動けない紙になっています。
この記事では、訪問介護計画書を、ケアプランとの違い・書き分ける4か所・見直しの時期の3つに分けて整理します。訪問に入る人が読んで動ける形にすることを中心に書きます。
結論:手順まで書いてあるか
訪問介護計画書とは、ケアプランにもとづいて、訪問介護として何をどう提供するかを具体的に書いた計画です。作るのはサービス提供責任者です。
ケアプランを作るのはケアマネジャー、訪問介護計画書を作るのは事業所。作る人も、書く細かさも違います。
ポイントはここです。手順まで書いてあるかどうか。「入浴介助」で終わるのがケアプランなら、訪問介護計画書は「浴室までの移動を見守り、洗身は背中のみ介助」まで書きます。
ここが書けていると、初めて入るヘルパーでも同じ介助ができます。書けていないと、人が替わるたびに介助の内容が変わります。
ケアプランと書き分ける4か所
書き分けるのは4か所です。
1つ目は、目標です。ケアプランの目標を受けて、訪問介護でどこまで担うかを書きます。
2つ目は、サービスの内容です。身体介護と生活援助の区分、具体的な行為。
3つ目は、手順です。どの順番で、どこまで介助するか。
4つ目は、時間の配分です。何分で何をするか。
3つ目と4つ目が、ケアプランには書かれていない部分です。ここを書くのが訪問介護計画書の役目です。
写しになっている計画書は、たいてい3つ目と4つ目が空いています。その2つを足すだけで、別の紙になります。
手順の書き方
手順は、その場の動きが目に浮かぶ言葉で書きます。
書き方の決まりは3つです。
1つ目は、動作で書くことです。「清潔の保持」ではなく「湯温を確認し、背中を洗う」。
2つ目は、どこまで手を出すかを書くことです。見守るのか、一部を介助するのか、全部行うのか。
3つ目は、本人がすることを書くことです。本人ができる部分を残すのが、生活を保つことにつながります。
3つ目を書いている計画書は多くありません。「本人が石けんを泡立て、ヘルパーが背中を流す」と書いてあると、できることを奪わない介助になります。
長く書く必要はありません。1つの行為につき2行で足ります。
生活援助と身体介護の区分を迷わせない
計画書の書き方で、現場がいちばん迷うのが区分です。ここが曖昧だと、同じ行為をヘルパーごとに違う区分で記録することになります。
はっきりさせるのは3つです。
1つ目は、行為ごとに区分を書くことです。まとめて「身体介護30分」ではなく、行為の横に区分を置きます。
2つ目は、続けて行う場合の並びを書くことです。身体介護のあとに生活援助が続く形は多くあります。どちらが先かを書いておきます。
3つ目は、迷ったときの相談先を書くことです。サービス提供責任者の名前と連絡先を、計画書の隅に書いておく事業所もあります。
1つ目を徹底するだけで、記録のばらつきがほとんど消えます。区分は請求に直結するので、ここが合っていないと返戻につながります。
見守り的援助のように、判断が分かれやすい行為があります。その行為だけは、計画書に理由まで書いてください。「転倒の危険があるため、調理の間は見守る」と書いてあれば、記録も請求も説明できます。
目標の書き方
目標は、3か月から6か月で届く大きさにします。
書くときの決まりは3つです。
1つ目は、本人の言葉から作ることです。「一人でトイレに行きたい」。
2つ目は、達成が分かる形にすることです。「手すりを使って自分でズボンを上げられる」。
3つ目は、訪問介護が担う範囲に絞ることです。医療や機能訓練が担う部分まで書き込まない。
1つ目を飛ばすと、事業所の言葉になります。本人に読んでもらったときに伝わらない目標は、続ける理由になりません。
長期と短期に分ける場合は、短期を先に決めると書きやすくなります。
同意をどう取るか
訪問介護計画書は、利用者に説明して同意を得て、交付します。
残すのは3つです。
1つ目は、説明した日です。
2つ目は、同意を得た証です。署名か記名。
3つ目は、交付した日です。
3つ目が抜けます。同意はもらったが、計画書を渡していない。手元にあるのは事業所の控えだけ、という形です。
同意の日が、サービスを始めた日より後にならないようにしてください。計画に同意していない状態でサービスを始めた形になります。
作るときの段取り
計画書は、思いついた順に書くと時間がかかります。順番を決めると30分で書けます。
段取りは4段です。
1つ目は、ケアプランを読むことです。目標と、訪問介護に求められている役割を押さえます。
2つ目は、本人と家族に聞くことです。困っていること、してほしいこと、自分でやりたいこと。
3つ目は、実際の場面を思い浮かべることです。玄関からどう入り、どの順で動くか。
4つ目は、書くことです。
3つ目を飛ばすと、手順が書けません。机の上で書こうとすると、目的の言葉だけが並びます。訪問した日の記憶が新しいうちに書くのがいちばん早い方法です。
新規の方なら、初回の訪問のあとに書きます。すでに入っている方なら、直近の記録を1か月分読んでから書くと、実際の動きが書けます。
見直しの時期
見直しは、決まった周期と、変化があったときの2つで行います。
見直すのは4つの場面です。
1つ目は、ケアプランが変わったときです。
2つ目は、本人の状態が変わったときです。入院、退院、要介護度の変更。
3つ目は、目標の期間が終わったときです。
4つ目は、サービスの内容を変えたときです。
4つ目が抜けやすいところです。現場の判断で介助の方法を変えたのに、計画書が古いまま。実際の提供内容と計画が違う状態は、実地指導で必ず指摘されます。
変えたら、その日に1行足すだけで構いません。全部を作り直す必要はありません。
ヘルパーに読んでもらう形にする
計画書は、訪問に入る職員が読むものです。事務所のファイルに入れたままでは意味がありません。
工夫は3つあります。
1つ目は、手順の部分を1枚にまとめることです。計画書の全部でなく、その日の動きが分かる部分。
2つ目は、変わった箇所に印を付けることです。前回から変わった行だけを見れば済みます。
3つ目は、新しく入る職員に口頭で伝えることです。紙を渡すだけでは読まれません。
2つ目がいちばん効きます。全文を読み直す時間は誰にもありません。変わった行が分かれば、そこだけ見ます。
実地指導で見られるところ
見られるのは4つです。
1つ目は、ケアプランとの整合です。ケアプランに無いサービスを提供していないか。
2つ目は、同意と交付の記録です。
3つ目は、実際の提供内容との一致です。記録と計画が合っているか。
4つ目は、見直しの記録です。
3つ目でいちばん多く指摘が出ます。サービス提供記録には書いてあるのに、計画書には無い行為。逆に、計画にあるのに記録に無い行為。どちらも説明が要ります。
月に1回、計画と記録を並べて見る時間を取ってください。5分で終わります。
家族への伝え方も書いておく
訪問介護は、家族が留守の時間に入ることが多くあります。やったことが家族に伝わらないと、後から食い違いが出ます。
決めておくのは3つです。
1つ目は、連絡ノートの置き場所です。
2つ目は、書く内容です。その日の様子と、してきたこと。
3つ目は、すぐ伝える場合の連絡先です。体調の変化や、家の中の異変。
3つ目を計画書に書いておいてください。その場でヘルパーが迷わずに済みます。誰に、どの順で連絡するか。携帯が出ない場合の次の相手まで書いておくと確実です。
家族と本人で希望が違う場面もあります。どちらの希望をどう扱うかも、計画書に書いておくと、現場が板挟みになりません。
まとめ
訪問介護計画書は、ケアプランの写しにしないことが要点です。作る人も、書く細かさも違います。
書き分けるのは4か所。目標、サービスの内容、手順、時間の配分。後ろの2つがケアプランには無い部分で、写しになっている計画書はここが空いています。
手順は、動作で書き、どこまで手を出すかを書き、本人がすることを書きます。1つの行為につき2行で足ります。
見直しは、サービスの内容を変えたときが抜けやすいところです。変えたらその日に1行足してください。実際の提供内容と計画が違う状態が、いちばん多い指摘です。
よくある質問
Q. 訪問介護計画書は誰が作りますか。 A. サービス提供責任者です。ケアプランを作るケアマネジャーとは別です。
Q. ケアプランとどう違いますか。 A. ケアプランは生活全体の計画、訪問介護計画書は訪問介護として何をどう提供するかの計画です。手順と時間の配分が違いです。
Q. ケアプランを写してはいけませんか。 A. 写しただけでは、ヘルパーが読んでも動けません。手順と時間を足してください。
Q. 手順はどのくらい細かく書きますか。 A. 1つの行為につき2行で足ります。動作の言葉で、どこまで手を出すかを書きます。
Q. 本人ができることも書きますか。 A. 書いてください。できることを奪わない介助につながります。「本人が石けんを泡立て、ヘルパーが背中を流す」といった形です。
Q. 目標はどう書きますか。 A. 本人の言葉から作り、達成が分かる形にします。訪問介護が担う範囲に絞ってください。
Q. 同意は書面で取りますか。 A. 署名か記名をもらう形が一般的です。説明した日、同意を得た日、交付した日の3つを残してください。
Q. 計画書は利用者に渡しますか。 A. 交付します。控えだけが事業所にある状態にしないでください。
Q. 見直しはどのくらいの頻度ですか。 A. 目標の期間の終わりと、状態が変わったときです。サービスの内容を変えたときも見直しの対象です。
Q. 現場で介助の方法を変えました。 A. 計画書に1行足してください。実際の提供内容と計画が違う状態が、いちばん多い指摘です。
Q. ヘルパーが計画書を読んでくれません。 A. 手順の部分を1枚にまとめ、変わった箇所に印を付けてください。全文を読み直す時間は誰にもありません。
Q. 生活援助と身体介護の区分はどこに書きますか。 A. サービスの内容の欄に書きます。区分が請求に直結するので、現場が迷わない書き方にしてください。
Q. 複数のヘルパーが入る場合は。 A. 1つの計画書で構いません。担当によって介助が変わらないよう、手順を具体的に書いておきます。
Q. 期間はどう書きますか。 A. 目標の達成に必要な期間を書きます。ケアプランの期間と大きくずれないようにしてください。
Q. 新規の利用者の場合は。 A. サービスを始める前に作り、同意を得ます。訪問介護の初回加算の要件にも関わります。
Q. 計画書の様式は決まっていますか。 A. 自治体が様式を示していることがあります。示されていない場合は自由な形で構いませんが、手順と時間の欄がある様式を選んでください。
Q. 訪問の時間が足りません。 A. 計画に書いた内容が、その時間で終わるかを見直してください。入りきらない計画のまま回すと、記録と実際がずれます。ケアマネジャーに時間の変更を相談する形もあります。
Q. 利用者が計画に無いことを頼んできます。 A. その場で受けずに、サービス提供責任者に連絡する流れにしてください。必要なものなら計画に入れます。断ることが目的ではなく、計画に入れるのが目的です。
Q. 計画書の保存期間は。 A. 介護保険のほかの記録と同じ扱いです。自治体の条例で年数が違うので、条例を確かめてください。
Q. 目標が達成できたらどうしますか。 A. 次の目標を立てます。達成したという記録を残してから切り替えてください。同じ目標を惰性で続けないことです。
Q. 家族への連絡はどう決めますか。 A. 連絡ノートの置き場所、書く内容、すぐ伝える場合の連絡先の3つを計画書に書いておきます。携帯が出ない場合の次の相手まで書くと確実です。
Q. 本人と家族で希望が違います。 A. どちらの希望をどう扱うかを計画書に書いてください。書いていないと、現場のヘルパーが板挟みになります。
Q. 実地指導では何を見られますか。 A. ケアプランとの整合、同意と交付の記録、実際の提供内容との一致、見直しの記録の4つです。
Q. 計画と記録の突き合わせはいつやりますか。 A. 月に1回で足ります。5分で終わります。請求の前に見ると、ずれを直せます。